加藤選手の失格処分、覆られず

加藤未唯 全仏OP失格騒動に日本テニス協会が声明「従わざるを得ない」処分受け入れ方針<女子テニス>
tennis365.net 6/16(金) 5:31配信

日本テニス協会は、全仏オープン(フランス/パリ、レッドクレー、グランドスラム)女子ダブルス3回戦で失格となった加藤未唯について「現行のルールの中では従わざるを得ない」と声明を発表した。

加藤は全仏オープンにA・スーチャディ(インドネシア)とペアを組み女子ダブルスに出場。しかし、4日の3回戦でS・ソリベス=トルモ(スペイン)/ M・ブズコバ(チェコ)組と対戦した際に、第2セット途中で加藤がボールガールにボールをぶつけてしまい失格となっていた。

加藤にはその後、ポイントと賞金の没収に加え罰金処分が科された。加藤は納得がいかず大会に処分の取り消しを求めていたが、15日に訴えが認められなかったことを自身のSNSで報告した。

なお、加藤は女子ダブルスを失格となったのち、T・ポイツ(ドイツ)との混合ダブルスを制し、四大大会初優勝を成し遂げた。

日本テニス協会は今回の騒動について「加藤未唯選手の全仏混合複優勝について、ファンの皆さまへ」と題し声明を発表。

加藤未唯選手が、困難な状況を乗り越え、全仏オープンのミックスダブルスで優勝しました。日本テニス界にとっては、昨年の柴原瑛菜選手に続く快挙です。加藤選手のプレー、そしてティム・ポイツ選手とのコンビネーションは、とても素晴らしく感動的でした」

「温かいご声援を頂いた日本中のファンの皆さまには、心より感謝申し上げます」

「女子ダブルスで、故意でない行動により失格となってしまったことは残念でしたが、同時に、大会側が下した判断については、現行のルールの中では従わざるを得ないと感じています」

「ボールが当たってしまったボールパーソンの方には、心よりお見舞いを申し上げたいと思います」

「今回、ファンの皆さまから頂いたさまざまなご意見を重く受け止め、テニス界のさらなる発展のために引き続き努力してまいります。公益財団法人 日本テニス協会 専務理事 土橋 登志久」

(以下略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/24ae2de1b012313508ffba5f8b6e0f096b042b12

 


個人的には、さらにスポーツ仲裁裁判所に判断を仰いでみたら、とも思いますが、それは当事者(もちろん日本テニス協会ではなく加藤選手、あるいは彼女の女子ダブルスのパートナー)の判断ではあります。

主な問題点としては、
1)審判が警告と判定したにもかかわらず、相手ペアの「猛抗議」で覆したこと
2)ビデオを確認してほしいという(加藤選手側の)要望を受け入れずに失格判定(+賞金・ポイントの没収、罰金の賦課)したこと

特に2については、「ボールガールがあんなに長く泣き続けているから」という、草テニスレベルしか経験のない私ですら、聞くのが恥かしくなるような理由を述べたとのこと。

 

ところで、本件について、ボールガールが油断していたのが悪い、みたいな主張を(ネット上で)ごく少数ながら見かけますが、これは無理。
インプレー中ならともかく、プレーが一段落して別の選手にボールを渡していたり、その他、大会の補助に関する何事かをしていれば、別の空間から飛んでくるボールに気づくのが遅くなったとしても、彼女を責めることはできません。

 

そもそも、テニスのボールは、たとえば野球の硬式球はもちろん、軟式球などと比べても硬くはありません。
今はソフトテニスと呼ぶことが一般的になった軟式テニスのボールよりは、もちろん硬いですが、プレー中のスマッシュやサーブなどが当たることに比べれば、顔面以外に(今回のような)送球が当たったとしても意外に怪我はしません。
顔面は、さすがに目などに当たればヤバい場合はあります。

軟式、硬式を問わず、テニスのボールで一番危険ではないかと思うのは、転がっているボールに気づかずに踏んで、バランスを崩して転倒することだと思います。
頭を打てば、重度障害か、不運な場合は死亡もあり得ます。

まあ、それに比べれば、加藤選手のように(送球が)ボールが飛びすぎてノーバウンドで当たったとしても、怪我をすることは、ほぼ考えにくいことでした。

 

さて、記事中の日本テニス協会の声明ですが、「従わざるを得ない」の前に「処分の取り消しが認められなかったうえに罰金が科せられたのはきわめて遺憾だが」ぐらいのことは協会として言ってほしかったところです。
そういう主張が、今回は無駄のように見えても、たとえば将来の同様の(主催者による)不法行為を抑制する効果はあると思うのですが。