生物、進化、遺伝、多様性

11月27日の記事で、
「何らかの異物が動物の中に入ったとしても、それが生殖機能に影響するという可能性は、通常は極めて低くなっています。」
と書きました。
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2022/11/27/140841

 

そして、
「もし何らかの問題物質がワクチンの中に入っていたとしても、解毒を司る肝臓のような臓器に、先に影響が出るはずです。」
とも書いています。


これらは不適当な表現で、新型コロナのワクチンはともかく、サリドマイドなど薬物より胎児などに影響が出たケースはあります。

 

まあ、眠剤や食品など、日常生活の中で常時、場合によっては長期間摂取するものと、ワクチンのように頻度が高くても数か月に1回、少量取り込むものとでは、全く同一に扱うことはできないとは思いますが、それでも11月27日の記事に不適当な部分があったのは事実。

その記事の該当部分は、見え消しで削除しました。

 

それで、なぜこのような記述をしてしまったのか、というと、その頃までにちょっと調べていたことが、悪影響を与えたのではないかと考えています。
感染症やワクチンなどには関係なく、生物の進化や遺伝子、多様性などについて、思考をめぐらせていました。

 

生物の個体レベルで何らかの変化が起きたとしても、それが生殖細胞精子卵子など)に起きなければ、次代には伝わらない。
頭がよくなる薬、身体機能がアップする薬のようなものを仮に作ったとしても、それが生殖細胞に伝わらなければ、1代限りで消えてしまう。
一方、突然変異などで生殖細胞を含めて変化が起これば、子の世代に変化が伝わる。
それがそのときの環境で生き抜くのに有利な変化であれば、その変化した生物の数は増えていくだろう。
しかしながら、生存に不利な変化なら、その子孫は増えず、いずれ消滅してしまう流れになるかもしれない。

 

そこから冒頭のような発想に至るまでは、ちょっとした飛躍があったと思います。
遺伝として子の代に引き継がれる変化と、遺伝に限らず子の代に何らかの悪影響を及ぼす変化との混同とか。
ともかく、ワクチンの安全性について考える材料としては、不適切な表現であったのは事実です。

 

しかし、現在の新型コロナのワクチンが、不妊や胎児への異常をもたらす、というのは(反ワクチン団体などがどのように主張していたとしても)否定されています。

 

(否定するQ&Aの例)
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ワクチンの成分や接種後にできる抗体が胎盤を攻撃すると聞きました。 これは本当ですか?
本当ではありません。
ワクチンの成分や接種後にできる抗体が胎盤を攻撃することはありません。

解説 :
ファイザー社の元社員が、「胎盤を形成するシンシチン-1 という蛋白とスパイク蛋白が似ているため、スパイク蛋白抗体がシンシチン-1 も攻撃する」と主張しました。
しかし、スパイク蛋白の抗体が反応する部分のアミノ酸の配列とシンシチン-1 のアミノ酸配列は似ているところが少ないことがわかりました。
また、実際にそのような反応が起きた ことは確認されていません。
三軒茶屋ウィメンズクリニックなど。同種の情報は日本産婦人科感染症学会の資料にも)
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こういうQ&Aは、偽情報に影響を受けていない方々には不要かもしれませんが。

 

それより、生物の進化について勉強していると、わくわくするような知識に出会ったりします。
真核生物(細菌や古細菌を除く、動植物や菌類、原生動物が全て含まれる)は、複数の生物が一緒になって生まれたらしいとか、ミトコンドリアも元々は別の生物が細胞内に入り込んだものと考えられているとか。

結局、別の生物だった者同士が(捕食ではなく)何らかの協力関係になれたもの、だけが、ヒトなど多細胞生物に進化することができた、ということなのでしょうか。