ジェンダーギャップ指数4

では、次に中国のスコアの詳細を見てみます。
中国は156か国中107位で、120位の日本よりも上位となっています。

 

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日本の数値を緑色で書き込みました。

 

経済(経済活動の参加と機会)は日本の方が低いです。
管理職等に占める女性の割合は、中国も低いですが日本よりはマシです。専門技術職は、中国では女性の方が多くなっています(「専門技術職」の定義にもよりますが)。
ただし、推定勤労所得は、
 日本 女30.0/男53.4=0.563 (見た目の計算値と合ってないのは端数計算のためと推測)
 中国 女12.1/男19.8=0.612
ということで、日本女性の方が中国女性より絶対額は(かなり)高いのですが、男性との割合で見ると中国の方がマシ、となっていると思われます。
他の分野も、日本女性と中国女性との比較ではなく、日本の男女での比較値、中国の男女での比較値で判定されることに留意が必要です。

 

教育は日本の方が高いです。なお、前記事でも触れましたが、中等教育就学率については、日本の数値が低すぎるように(個人的には)思います。
あと、こういう統計では表に出ませんが、新疆ウイグルチベット内モンゴルなどでの民族語教育の制限(中国語教育の強要)については、本来なら国際的に考慮すべき問題ではないでしょうか。

 

健康(健康と生存)は日本の方が高いです。中国の「出生時の性比」が(女児の割合がかなり)低いのは、長年続いた「一人っ子政策」の影響があるように思います。
なお、健康寿命について、男女とも日本の方が長いのですが、男女比(女/男)で中国が0.002高いということで、2ランク日本の方が低くなっています。

 

政治(政治的エンパワーメント)は日中とも低いのですが、日本の方がより低くなっています。
政治体制や選挙制度が違うから単純比較はできませんが、少なくとも国会議員や閣僚の割合について日本が世界最低水準に近いのは事実でしょう。
ただし、元首在任年数(直近50年)については、多少疑問があります。日本は(首相であれ天皇であれ)女性在任年数ゼロで間違いありませんが、中国で0.8年(9か月余り)女性元首がいたことになっています。中国でそれらしい人物は、宋慶齢氏しかいないと思いますが・・・

宋慶齢氏は孫文夫人で、国家副主席や名誉主席、国家主席代行的な位置にあったことはありますが、0.8年という数値がどのような根拠で算出されたのかはわかりません。
なお、実質的な権限はなく、お飾り的な立場であったのは間違いないでしょう。
彼女が公的地位にあった時期の中国の実質的な最高位は、毛沢東劉少奇華国鋒、鄧小平といった人物でした。

一方、英国の元首はエリザベス2世(女王)で、少なくともこの50年は女性のみが元首ということになりますが、英国のデータを見ると、サッチャー、メイ両首相の在任期間しか計上されていないようです。女王が元首である他の立憲君主国も同様に、女性君主の在任期間では計算されていません。
立憲君主制ではない君主国では、その君主の性別で判断するのでしょう(たいてい男性だと思いますが)。このあたりについては、あまり統一性がないように思います。

 

(つづく)