「万歳」はジャンプ競技に不要な動作

高梨沙羅「検査、いつもと違った」 スキー連盟に回答
日本経済新聞 2022年2月11日 7:22 (2022年2月11日 8:41更新)

【張家口=共同】北京冬季五輪ノルディックスキー・ジャンプ混合団体でスーツの規定違反で失格となった女子の高梨沙羅(25)=クラレ=が全日本スキー連盟(SAJ)の聞き取りに対して「検査方法がいつもと違った」とした趣旨の回答をしていることが分かった。SAJは国際スキー連盟(FIS)に意見書などを送付する方針。スキー日本チームの斉藤智治監督が10日、張家口で明らかにした。

高梨は7日の混合団体で、スーツの太もも回りが規定より2センチ大きいとして、1回目の成績が無効となった。斉藤監督によると、飛躍後の検査で通常はスパッツをはいたまま太ももを測定されるが、違反となった際には、スパッツを脱がされたと高梨が回答。腕も通常は体から30センチほど離した位置まで広げて検査を受けるが、万歳するように求められた。高梨は検査方法が違うとしてやり直しを求めたが、受け入れられなかったと話しているという。

SAJは検査方法の在り方について、五輪後にも意見書か提案書などをFISに送付する方針。斉藤監督は「今後の検査をフェアにしていかないと。こんなことで1人の選手をつぶしてはいけない」と話した。

混合団体では高梨を含めた4チームの女子5選手がスーツ違反を指摘された。2回目に失格となったノルウェーのアンナオディネ・ストレムもロイター通信に「これまでの検査方法と違い、少し奇妙だった」と語った。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODH110BC0R10C22A2000000/

 


すでに、いろいろ報道されている問題です。

 

今回の検査についての疑問。

 

1)スキーのジャンプ競技で、両腕を万歳のように高く上げる動作は普通はない。助走では極力、空気抵抗がないように体幹にくっつけ、あるいは後方に流し気味になっているのではないだろうか。
 また、「浮力を稼ぐ」べき空中でも、体幹にくっつけるか、比較的近い位置で後方に流しているのが通常ではなかろうか。
 そして、着陸時の動作としては、両手を左右に広げて「テレマーク姿勢」を取るのが理想で、それよりも高い位置に腕を上げることは普通はあり得ない。
 つまり、通常のジャンプ競技では取らない動作を、検査で要求されたということである。
 競技中、特に空中で不正に浮力を稼いでいるのではないか、という観点での検査なら、通常の競技中には取らない姿勢を要求することは、本来は意味がない。
 というより、「失格」を生み出すための検査ではなかったのか。

 

2)今回の混合団体で失格とされたのは、強豪4か国の女子選手のみである。では、点検を行ったのは、どの国(チーム)のどの選手であったのか、失格とならなかった選手を含めて明らかにすべきである。
 もし、優勝したスロベニアチームなどメダル獲得者を含めて検査を行い、それらのチームでは規定違反がなかった、ということが明確になれば、スロベニアなどの名誉は守られるであろう。検査を行ったチームが、「失格」とされた選手が属する4か国のみか、それに近い状況であれば、何らかの作意があったと考えるべきであろう。

 

まあ、この程度のことは、全日本スキー連盟や、ドイツなど他の「失格」被害国の団体も、考えていることでしょう。
補足しておくと、スロベニア側が、変な小細工を検査担当者などに働きかけた、などということはきわめて考えにくいことだと思います。そんなことをしなくても、スロベニアはぶっちぎりに優勝できる実力をもっていましたから。
(もちろん、銀や銅のメダル国も、意図したとは考えにくい。)
ただ、検査担当者や、その人物に働きかけたという人間がいたとしたら、そういう人物が何を考えていたか、ということは全くわかりません。

 

蛇足です。
こういう競技や検査のあり方については、少なくとも将来に向けて、何らかの形で検討、協議されていくだろうと思いますが、競技後に(仮に抽出ではなく全数検査であったとしても)検査を行うのはやめた方がよいと思います。
スポーツである以上、競技により筋肉の状態が変化し、スーツとの密着度が変るということは避けられないからです。
もし問題があり、検査を厳しくするとしても、それは競技開始前の検査で行うべきでしょう。

 

あと、検査やったオバハンでも、そそのかしたというオッサンでもええから、沙羅ちゃんや失格組チームの関係者全員に謝りなさい。メダルを返すのは無理だろうから。