それでも沙羅は翔ぶ

北京冬季オリンピックの、あの件です。

 

なぜ女子だけ?高梨沙羅ら4か国5人がスーツ規定違反の大混乱…ノルウェー選手「通常の測定方法ではなかった」と訴え、ドイツ監督は「クレイジー!」と激怒
Yahoo!ニュース オリジナル THE PAGE 2/8(火) 6:44配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/6fe93efd3740860e08ca7c910c4be8d0560b3013

<以下抜粋>
日本の先頭バッターとして出場10か国のうち6番目に飛んだ高梨がK点を越える103.0mのビッグジャンプを見せ、女子が飛ぶグループ1が終わって暫定2位に食い込んだが、競技後の抜き打ち検査で「スーツ規定違反」を指摘され失格となった。
 ジャンプ競技では、国際スキー連盟(FIS)が、体重、身長に応じた板の長さから、グローブの縫い目の位置、長い髪の毛の収め方まで細かく規定しており、スーツについても「ジャンプスーツはすべての箇所で選手のボディーにぴったり合うものでなければならない。 直立姿勢でスーツ寸法はボディー寸法と一致しなければならず最大許容差はスーツのあら ゆる部分においてボディーに対し 最低1センチ、最大3センチ(女子は最低2センチ、最大4センチ)とする」との規定がある。 
 少しでも大きなスーツが空気抵抗を得て有利になるため、ミリ単位で違反を取り締まっているものだ。
 日本の場合、各選手が数着のスーツを持ってきているがチームがチェックして用意。今回、高梨が4位に入賞した2日前のノーマルヒルで着用した同じスーツが使用され、試合前の検査はクリアしていたが、抜き打ち検査では、太もも部分が規定より2センチオーバーしていたという。
(略)スーツ規定違反に引っ掛かったのは高梨一人だけではなかった。
 グループ1で最後の10番目に飛び83.0mだったオーストリアのダニエラ・イラシュコシュトルツ、グループ3では、ノーマルヒルで銀メダルを獲得しているドイツのカタリナ・アルトハウスもアウト。ドイツは8か国に絞られる決勝に進むことができず、なんと決勝では2位につけていたノルウェーのアンナオディネ・ストロム、シリエ・オプセトの2人の女子選手が失格を申し渡されメダル圏外に脱落。

またノルウェーの「VG」紙によると失格となったオプセトは、「審判員がスキージャンプのスーツを測定する際、通常の手順に従っていなかった」という問題点を指摘したという。
「何と言っていいのかわからない。彼らはまったく違う方法で新しい手順で(スーツを)計測した。今までとは違う立ち方をするように言われた」
 同じくストロムも、「検査が通常とは違う手法だった」と不満を訴えている。

 身体とスーツの測定は、特製のノギスを使い手作業で行われる。FISのガイドラインでは測定時の姿勢などについても細かく定められているが、手業ゆえに誤差が生じることはこれまでも指摘されていた。今回は測定方法にまた新たな問題があったのかもしれない。
 ノルウェーのブレード・ブラテン・コーチは同メディアに「本当に言葉を失った。(略)なぜ女子だけが失格になったのか。残念ながら、私たちのスポーツにとって悲しい日となった」と話し、FISに対して説明を求める抗議行動を起こすことを明らかにした。
 海外メディアも初採用となった混合団体で起きた異常事態を問題視した。前出のユーロスポーツは「冬季五輪のスキージャンプ混合団体戦は失格者が続出し一部の国が激怒したことで茶番劇に陥った。スロベニアが金メダルを獲得したことよりも最大の話題となったのは審判員の行動だ」と厳しい論調で批判。ドイツのスキー専門メディアの「スキー・スプリンゲン・ドットコム」も「北京で失格の嵐…スポーツを破壊する行為だ」とのタイトルで問題視した。
**********************


高梨のスーツ規定違反「本人のせいでは全くない」両太ももが2センチ大きかったと説明
デイリースポーツ 2/7(月) 22:12配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/b04536794bce65f879613e04fe26784654f51b56

<こちらも抜粋>
 説明した関係者は「本人のせいでは全くない」ことを強調。「本人は与えられたスーツしか着ないので、本人は自信を持って飛んでいる」とした。

 個人戦のときと同じスーツだというが、スーツの規定は、体に対しての大きさで決まるため、本人の体格に変動があった場合は、規定違反となる可能性が出てくる。同関係者も、力を入れて体をパンプアップさせて計測するのが通例とした上で、「(今日は)力を入れても大きくならなかった。体の水分が抜けたりしても足の大きさは変わるので」と現時点での見解を示した。

 また、「事前に確認はしているんですけど…。スーツが大きければ飛んでくるというわけではないと思うんですけど」とした上で、やはり一般的には表面積が大きい方が風を受けやすいという要素もあるため、「ギリギリで攻めたんですけど…。各国ともギリギリを攻めてやってきている」と各国に同様の違反が続出していることも踏まえて語った。

 高梨は失格が分かった後、自分を責める言動をして泣き崩れていたため、スタッフや小林、佐藤、伊藤が駆けつけ、「本人に確認したところ、最後まで跳びますと。何が起きるか分からないので、最後までやりきろうということで」と2回目に向かったとしている。
*********************


審判員側やルール、運用などについては賛否(見たところ「否」が優勢ですが)の意見や解説が多数あるので、ここでは省略します。

 

で、失格があったチームの個々の選手の成績です。

f:id:jukeizukoubou:20220208215454g:plain

高梨選手が、あのような精神状態で2回目を98.5m飛んだ、というのはすごいことだと思います。風補正がマイナス0.1だから若干の向かい風(有利)という条件はあったにしても。

日本チームの他のメンバーも、それぞれ個人ノーマルヒルの成績から見れば、1回目も2回めも頑張った、といえるのではないでしょうか(伊藤選手の2回目が低いように見えるかもしれませんが、不利な追い風であることを勘案すると、落ち方が少なかった方では)。
あ、陵侑選手クラスは、ほぼ風に左右されることなく飛んでいるのでしょうが・・・

 

そういう観点では、実は他のチームも、失格が出てからも集中力を切らすことなく飛んでいるように見えます。

オーストリアのイラシュコシュトルツ選手は2回目に84mですが、38歳のベテランで、だからというわけでもありませんが、個人戦で91.5m、80.5mというレベルの成績で、気落ちしたから飛距離が出なかった、というわけではないと思います。

だから、みんなショックを受けながらも頑張ったんだなあ、と思いますが、その中でも高梨選手の2回目というのは女性陣で最高の飛躍でした。

 

あれだけの日本チームの追い込みで、メダルに届かなかったのは残念ではありますが、4位でも奇跡的だと思います。

メダルよりも記憶に残ることってありますよね。ソチ五輪のときの浅田真央さんのように。