正規が非正規を搾取しているのではなく

竹中平蔵「私が弱者切り捨て論者というのは誤解」
東洋経済オンライン 12/2(木) 5:01配信

(略)

■今の構造は正規が非正規を搾取している

 ――非正規雇用に関連して、「弱者切り捨て論者」と見られがちです。

 それは単なる誤解ですよ。働き方、雇い方は本来自由でないといけない。製造業の大企業なら、今までのような終身雇用・年功序列で、技術をオン・ザ・ジョブ・トレーニングで伝えていくのも悪いやり方ではない。雇用も安定しますし。

 しかし、今製造業が占める割合は20%弱で、それ以外では多様な雇い方、多様な働き方ができたほうがいい。終身雇用・年功序列前提でない制度にしていかなければならないわけです。派遣で働いている人にアンケートを取ると、派遣がいいからこれで働いていると答える人も多い。これは多様な働き方・多様な雇い方を可能にしている。

 ただし、多様な働き方をするうえで不平等があってはならない。残念ながら現在は、正規・非正規の間の「同一労働同一賃金」がまったく実現されていない。ここが大きな問題です。

 今の構造はある意味単純で、正規社員が非正規社員を搾取している。生産性に合わせて賃金が支払われなくてはならないのに、自分の生産性より高い賃金をもらっている正規と、自分の生産性より低い賃金しかもらえない非正規の二重構造になっている。

 不平等を解決するための方法、例えば労働時間ではなく成果に対して賃金を支払うとか、解雇の問題が起きた際の金銭解雇のルールを作るといったことに対して、既得権益を持った人たちがずっと拒み続けて今日に至っている。今、一部の人たちがその割を食っているわけですけれども、その背後にある大きな構造問題をちゃんと変えていかないと。一部の派遣がどうこうという話ではないんです。

(以下略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/f248e637b03aaae3f693a9240c3a392a69d43883?page=4

 


部分的な引用なので、私が竹中氏に対して不当な批判をしているのではないかと気になる方は、最初からお読みください。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f248e637b03aaae3f693a9240c3a392a69d43883

 

でも、この部分だけを見ても、竹中氏の主張は間違っていることがわかる、と私は思います。
<正規・非正規の間の「同一労働同一賃金」>が実現できるように(国が)努力することは間違っているとはいうつもりはありません。

 

しかし、
<正規社員が非正規社員を搾取している>
のではありません。

制度が変って非正規社員が増えてから、正規社員の収入が劇的に増加していればまた別ですが、もちろんそんなことはありませんから。

非正規社員の賃金を正規社員レベルに近づけることを経営者が渋っている>
からでしょう。

竹中氏の発言をただすとすれば、

非正規社員に支給すべき賃金を経営者が搾取している>

とでもいうべきです。

 

非正規社員を搾取する>
という者がいるとすれば、それは、たとえば派遣会社の会長たる竹中平蔵氏のような存在ではないでしょうか。
(もちろん、利益の分配率によっては、派遣先の企業の経営陣も含まれる可能性があります。)

 

竹中氏は五輪前後から批判を浴びる発言が増えている印象があり、パソナの企業イメージを下げているでしょうから、会長報酬を辞退して、非正規の皆さんにいくらかでも回せば、多少は喜ばれるのではないでしょうか。