公明公約と民主主義の危機

【速報】自公で正式合意 “10万円相当の給付”に「年収960万円」の所得制限導入
TBS系(JNN) 11/10(水) 12:12配信

 岸田総理と公明党の山口代表が会談し、政府の経済対策の柱である18歳以下への10万円相当の給付について「年収960万円」の所得制限を設けることなどで正式に合意しました。

公明)山口代表:
「960万円で所得制限を設けるということで合意をいたしました/大部分を対象にできるということで、大きな分断には繋がらないと、このように判断をいたしました」

 岸田総理と公明党の山口代表が会談し、18歳以下への10万円相当の給付について、自民党が求める年収960万円の所得制限を設けることで正式に合意しました。

 公明党は現金での一律給付を求めていましたが、山口代表は会談後、▼対象世帯のほぼ9割がカバーできることや▼児童手当の仕組みを使用することで速やかに給付することができると説明しました。

 また、マイナンバーカード保有者への「マイナポイント」付与についても、▼新たにカードを取得した人に5000円分、▼健康保険証として使うための申請をした人に7500円分、▼預貯金口座とひも付けをした人に7500円分、あわせて「最大2万円分」を支給することでも合意しました。
最終更新:11/10(水) 17:34
https://news.yahoo.co.jp/articles/ec503e9015880a843060ba19e6d6987bfaed874d

 


本件については、あちこちから批判の声が出ているようです。たとえば、

・選挙目当てのバラマキだ。高所得者に支給しても消費拡大にもつながらない。
・大学生の子の方が金がかかるのに支給されない。
・収入が少なくて子を産むことを躊躇している国民や、結婚ができない国民には支給されない。
・(児童手当と同じ)年収960万円制限は世帯収入ではなく最多収入者にかかるものなので、各900万円収入の夫婦などには支給されるのに片親のみ970万円の収入があれば支給されない。
(注:960万円というのは一定のパターンのときの例で、異なる場合もあります。)

 

ですが、ある意味、もっと深刻な問題を含んでいます。

 


【速報】高市氏「自民党公約とまったく違う」 18歳以下への10万円給付
フジテレビ系(FNN) 11/8(月) 19:06配信

公明党が主張する18歳以下の子どもへの10万円一律給付について、自民党高市政調会長は8日午後に取材に応じ、自民党の公約とは内容が異なるとの考えを示した。

自民党高市政調会長自民党の公約とはまったく内容が違う」

高市政調会長は、「わたしたちは本当にお困りの方に経済支援をするという政権公約を作った。そうでない方に支援をするということは書いてない」と述べた。

さらに、「自民党の公約は大変重い」と強調したうえで、与党幹事長間の協議を見守る考えを示した。
最終更新:11/9(火) 18:03
https://news.yahoo.co.jp/articles/efd2d286f767df9a4525015e1b3d9cc2f54cc72b

 


はい、自民の公約とは違います。

これは、公明が悪い、で済む話ではなく、いわば「民主主義の危機」とでもいうべき事態です。

改選前から増加したとはいえ、わずか32議席、第4党にすぎない公明党の公約が、第1党の公約とは一致していないのに(ほぼ)実現してしまうという。

 

たとえば、公明が過半数議席を獲得し、第1党になってこの公約を実現したのなら、それは「民主主義の危機」とはいえません。
財政の危機となるかもしれませんが。
(NHKの試算では、関連の費用を除き、およそ1兆7800億円が必要)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211110/k10013341701000.html

 

立民が共産などと共闘する件で、自公などはさんざん批判していましたが、あれは問題はあるものの、「閣外協力」という一線は打ち出していました。
だから、仮に(可能性はほぼゼロだったにしても)立民が政権を取ったとしても、「民主主義の危機」とはいえません。
米国が日米同盟の存続性について疑義を抱いたら「日米同盟の危機」になるかもしれませんが。

 

今回の「自公の談合」は、連立与党間で行われたから実現しましたが、それは「自民の公約を信じて投票した有権者に対する裏切り」といわれても仕方がないでしょう。

角度を変えれば、「自公連立で過半数」を目標に掲げて選挙に挑んだ以上、両党の公約について、事前に調整を行うべきだった。

この件について、自民の責任ある立場の役員、総裁、副総裁か、幹事長か、政調会長かわかりませんが、公明と協議すべきだったのではないでしょうか。
また、公明には「自分たちが自民を勝たせている」というような驕りがなかったでしょうか。

 

今から言っても仕方がないことではありますが、次の国政選挙のためにも、この記事を残しておきたいと思います。