2021衆院選・分析もどき

衆院選の分析、というほどのものではなく、「分析もどき」ぐらいに思ってください。

 

まず、立民など野党の候補者一本化について。

前記事で触れたように、「希望の党」→「国民民主党」→「立憲民主党」という議員の移動について、前回総選挙での支持者が必ずしもついていかなかった、ということでしょう。
小選挙区では候補者個別の支持者もいるだろうし、所属が何党だろうが無所属だろうが選挙に強い議員もいるので、それなりの当選者を出しましたが、比例では、少なくとも旧「希望の党」に投票した有権者を(あまり)引張ってくることができなかった、というように私は見ています。
政治家が党派間を移動したり、新党を作ったりするのは、法に触れない限り自由ですが、有権者がそれにおつきあいしないといけないというルールはありませんから。

 

次に、自公(特に自民)の減少幅が小さかったことについて。

以下のマイナス要因よりもプラス要因の方が大きかった、ということでしょうか。

 

・マイナス要因:収賄、緊急事態宣言中の会食(これは公明も)、「感染症拡大収束後」に行うと決定されていた「GoTo」を昨夏に強行したなどの不手際 等

・プラス要因:選挙前の感染者数の減少、自民党総裁選で保守層の掘り起こし、野党の自滅、北朝鮮のミサイル発射 等

 

特に北朝鮮や中国については、それぞれの指導者が自民党を愛しているのではないかと思えるぐらい、選挙前にあれこれやってくれていますね。

 

維新の躍進について

これについては、ちょっとおもしろい記事があります。

 

衆院選>それでも日本人は新自由主義を選んだ
ニューズウィーク日本版 11/1(月) 15:29配信

衆院選の真の勝者は、アベノミクスからの脱却をうたった岸田自民党でも弱者救済を訴えた野党でもなく、日本維新の会だった>

10月31日に行われた衆議院選挙は、自民党立憲民主党議席を減らし、日本維新の会が躍進するという結果に終わった。今回の選挙は、情勢調査も出口調査もバラバラで、とても難しい選挙となっていたが、維新の会が少なくとも3倍程度に躍進することは分かっており、そこだけは最後まで揺るがなかった。【藤崎剛人(批評家、ドイツ思想史)】

<二転三転する情勢>

今年の春ごろ、菅首相はワクチン政策とオリンピックを成功させ、その余波で選挙に突入し大勝することを目標にしていた。しかしオリンピック期間中に日本を襲ったコロナ第五派の影響などにより、菅政権の支持率は低下し、自民党大敗がささやかれるようになった。菅首相は辞任することになった。菅首相の辞任によって一カ月間の自民党総裁選が行われ、岸田政権が誕生した。自民党は支持率を回復させ、選挙に勝利すると思われた。しかし、岸田首相は総裁選で訴えていた分配政策をトーンダウンさせ、静岡の参議院補選も敗北するなど失策が続き、総裁選効果は急速に低下していった。

一方、野党第一党立憲民主党は、共産党との合意により多くの選挙区で候補者の一本化に成功する反面、最大の支持母体である労働組合「連合」系の離反を招き、選挙についてはよい流れと悪い流れの両面があった。こうした不安定な情勢を受けて、新聞社やテレビ局の情勢調査は混乱し、各社でまったく異なる結果が現れていた。

こうした中で確実だったのは、日本維新の会が在阪メディアの圧倒的支援のもと、近畿地方を拠点に確実に支持を伸ばしていったということだった。選挙区当選こそ近畿以外では出来なかったが、比例票を全国で積み重ね、今回の選挙唯一の勝者となった。

<維新勝利の政治的意味>

日本維新の会が勝利した要因を分析すれば様々あるだろう。それぞれの選挙区の事情や、メディア戦略の巧みさ。たとえばコロナ対策については、大阪府は人口当たりのコロナ死亡率が全ての都道府県の中で最も高い。全国に先駆けて第三波が大阪で到来したのは、コロナ禍にも拘わらず強行した都構想住民投票のせいともいわれているし、第四波、第五波では、いわゆる「自宅療養」によって、多くの感染者が放置され亡くなった。それにも拘わらず、吉村知事のコロナ対策への評価は6割以上もある。これではコロナ対策への支持率が2割を切り、辞任するに至った菅前首相も浮かばれないだろう。

維新はベーシックインカムを主張

知事が評価されているのは、大阪ではほぼ毎日吉村知事が在版メディアのどれかの番組に出演するというメディア戦略の徹底が理由だともいわれる。確かにマスコミを抑えてしまえば、国政選挙にも有利に働くだろうというのは容易に想像がつく。

ただし、こうした事情はいったん括弧にいれて、今回の選挙で日本維新の会が勝利した政治的意味を考えてみたい。もちろん勝利といっても、客観的にみれば一番の「勝者」は、圧倒的多数の議席を獲得した自民党だ。しかし選挙は全ての政党がゼロから議席を積み上げるゲームではなく、前回までの実績からの増減が重要になる。前回の議席から割合でも実数でも議席を最も増やしたのは日本維新の会だ。これがこの選挙の政治的意味となる。それはいったい何だろうか。今回の選挙に参加したそれぞれの政党の主張を比較して考えれば、「新自由主義の勝利」ということになるだろう。

新自由主義政党としての維新>

(中略)
こうした中で、日本維新の会は唯一はっきりと新自由主義政策を主張していたといえよう。新自由主義者として知られる人材派遣会社パソナ竹中平蔵会長と結びつき、社会保障としては弱者切り捨てに近いベーシックインカムを主張。規制緩和と民営化で「小さな政府」を実現し、「経済成長」のための競争社会をつくろうとしていた。ある議員は、「正社員」は「既得権」だと明確に言っていた。これはまさしく竹中平蔵の持論でもあり、雇用の不安定化を進めるということだろう。このような路線が、多くの有権者に支持されたということなのだ。

(中略)

今回、維新に票を投じた人々が(あるいは他の党に票を投じた人々、そして、しなかった人々が)、どのような理由でそうしたのか私は知らない。今後、投票データの分析が行われるのだろうが、現時点では何もわかっていない。しかし、どのような実情が存在しようと、選挙結果全体から導かれる政治的帰結は、「それでも日本人は新自由主義を選んだ」ということなのだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d43c34210ca7247d60880d657daa5bde8ec7da75

 

ツッコミもあるでしょうが、長くなりすぎたので、詳細は(たぶん)次の記事で。