届出対象の基準が70%×60%でよいか

8月18日期限のパブリックコメント、市町村から求められた場合に届出を義務付けるためのケアプランの基準案
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2021/07/31/160211

 

詳細は上のリンク先の記事をご覧いただくとして、
・居宅介護サービス費等区分支給限度基準額に占める割合が<70%>
訪問介護に係る居宅介護サービス費がサービス費の総額に占める割合が<60%>
の< >内が適当かどうかというパブコメです。

 

実際に、どれぐらいの範囲が対象になるのでしょうか。

支給限度基準額に対する居宅介護サービス費の割合を横軸に、

同じく訪問介護費の割合を縦軸にすると、下図のようになります。

 

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黄色の範囲が届出対象です。

居宅介護サービス費が支給限度基準額の70%以上、

かつ、その居宅介護サービス費の60%以上が訪問介護

の場合に対象となるので、0.6×0.7=0.42、つまり訪問介護費が限度額の42%以上で対象となる可能性があります。

 

ちょっと見方を変えて、上の図の緑のライン、訪問介護費が支給限度基準額の50%である場合を見てみます。

青い線から右側(上の図では右下側)は、居宅介護サービス費に占める訪問介護費の割合が60%未満なので、届出対象とはなりません。

また、赤い線から左側は、居宅介護サービス費が支給限度基準額の70%を下回るので、やはり届出対象とはなりません。

 

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つまり、限度額の半分を訪問介護に充てた場合でも、訪問介護以外のサービスの利用額によって、届出対象となるかならないか変わってきます。

たとえば、訪問介護50%、その他サービス20~33%余の場合は届出対象ですが、

訪問介護50%、その他サービス19%の場合は届出不要です。

また、訪問介護50%、その他サービス34%以上の場合も届出不要です。

一般的にありそうな比較的バランスが取れたケアプランは届出対象で、やや極端な(ほとんど訪問介護などの)サービスは届出不要となる可能性があります。さらに、届出不要にするために、訪問介護以外のサービスを加えると届出対象から逃れられる場合が出てきます。

 

ちなみに、訪問介護が支給限度基準額の42%や50%というのは、それほど無理のある高頻度のサービスではありません。

 

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仮に要介護3の人が身体介護(30分以上1時間未満)を1日1回利用すると、加算がなかったとしても、支給限度基準額の43.9%になります。つまり、届出対象となる可能性があります。要介護4でも特定事業所加算(II)を算定している事業所なら、支給限度基準額の42.2%になります。

要介護2でも、特定事業所加算(II)を算定している事業所なら、月20回(3日に2回程度)の利用で、支給限度基準額の44.2%になります。要介護1でも、特定事業所加算(I)を算定している事業所なら、月15回(2日に1回程度)の利用で42.5%となり、いずれも届出対象ラインを超えます。

なお、これらの例には、早朝や夜間の加算が含まれていませんし、通院等乗降介助なども考慮していません。実際には、「事業所の利益のために必要性が低い訪問介護を盛ろう」などと考えなくても、この届出対象ラインを超えるケースは少なくないと思われます。

 

まあ、ひとことで言えば、「ない方がよい制度」ですね。