パブコメ・訪問介護42%って少ないでしょ?

指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第十三条第十八号の三に規定する厚生労働大臣が定める基準案に関する意見募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495210146&Mode=0

 

前記事の(自己流の)分析に基づき、パブリックコメントの意見提出をしました。

(太字強調や色塗りは原文にはありません。)

 

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1 基準案の割合(100分の70、100分の60)は低すぎる

 

 基準案では、
・居宅サービス計画に位置付けられた居宅介護サービス費等が居宅介護サービス費等区分支給限度基準額に占める割合が70%
訪問介護に係る居宅介護サービス費がサービス費の総額に占める割合が60%
なので、訪問介護が支給限度基準額の42%にしかならない場合でも、届出対象になる可能性がある。これでは、届出対象ラインがあまりにも低すぎる。身体介護中心型(30分以上1時間未満)で考えると、要介護3の利用者なら月30回(1日1回程度)の利用で、加算の塁を算定しなかったとしても42%を超える。要介護4でも、特定事業所加算(II)を算定する事業所なら、同じ回数で42%を超える。要介護1でも、特定事業所加算(I)を算定する事業所なら、月15回(2日に1回程度)の利用で42%を超える。これらは、早朝や夜間の加算その他の加算を考慮していない計算であり、実際には、届出対象となるケースは厚生労働省が想定しているよりも多いと考えられる。
 また、たとえば訪問介護が支給限度基準額の50%程度の場合、訪問介護以外のサービスが支給限度基準額の19%までなら届出不要となる(全体が支給限度基準額の70%未満のため)。逆に、訪問介護が50%のままでも、その他のサービスが34%以上なら、訪問介護の割合が60%未満となるため、届出不要となる。このため、訪問介護以外のサービスを意図的に減らしたり、逆に必要性の低いサービスを増やしたりして届出対象から逃れようとする動きが懸念される。
 これらの危険性は、制度の不備によりゼロにはできないが、本件告示で定める割合を高くする(たとえば、居宅介護サービス費等が支給限度基準額に占める割合も、訪問介護がサービス費の総額に占める割合も、90%にする)ことにより、軽減すべきである。

 

2 原案の割合どおりに実施する場合

 

 どうしても原案どおりに実施する場合には、以下の事項について留意する必要がある。
・居宅介護サービス費や訪問介護の割合を計算するに際して、支給限度基準額の対象外となる加算等を含めるか含めないか。たとえば特別地域加算等は除外して計算すべきである。
・直近の報酬改定から集合住宅減算についての支給限度基準額の取扱いが変更になっているが、この件の取扱いをどうするかについても通知やQ&A等で示す必要がある。
・支給限度基準額の超過により、訪問介護等が全額自己負担となった部分についての取扱いについても、示す必要がある。
・割合の計算は、計画ベースで行うか実績ベースで行うかも示す必要がある。
・災害や新型コロナウイルス感染症のからみで、他のサービスから訪問介護に一時的に変更となったようなケースについて、届出の対象から除外するなどの配慮が必要ではないか。
・40歳から64歳までの生活保護受給者で被保険者ではない者が、介護扶助により訪問介護を利用している場合には、今回の届出対象とはならないということでよいか。

 

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パブコメの告示案の内容等については、こちらの記事にしています。

https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2021/07/31/160211

 

なお、「パブコメなんて国のアリバイ作りに過ぎないのだから、意見投稿するような無駄な時間を作らないようにしてほしい」というようなことを書いている人がいますが、その件については、気が向いたら記事にします。たぶん、文字の色塗りの意味も含めて。