介護報酬パブコメ結果詳細4

リハビリテーション・機能訓練、口腔・栄養の取組の連携・強化

今回の改定は、今まで以上にリハビリの要素を色濃く感じる。急性期的な対応が必要な方には当てはまるが、慢性期的な方や、特に80歳以上の方すべてに、同様に自立介護の報酬体系を決めることに疑問を感じる。

 介護保険は、介護が必要になった方の尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要なサービスを提供を目的とするものであり、提供されるサービスは要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するものであることが求められています。
 このため、今般の改定においても、自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現を図る観点からの見直しを行っています。


リハビリテーションマネジメント加算(I)の廃止と基本報酬の要件化に反対する。進捗状況などの医師による利用者への説明、厚労省へのデータ提出を誘導しているが、医療の現場は疲弊しており、更なる負担となる。
厚労省は、維持期リハから締め出された要介護・要支援者の受け皿として介護のリハビリテーションを考えていたはずであり、介護のリハビリテーションの充実発展のため、リハビリテーションマネジメント加算の再編ではなく、本体報酬の大幅引上げを求める。
また、訪問リハビリテーションでは未算定事業所が1割を超えており、即時要件化は対応が困難で、経過措置を設けてほしい。

 自立支援・重度化防止に向けた更なる質の高い取組を促す観点から、リハビリテーションマネジメント加算を見直しています。
 その中で、報酬体系の簡素化と事務負担軽減の観点から、算定率の高いリハビリテーションマネジメント加算(I)及び介護予防訪問・通所リハビリテーションリハビリテーションマネジメント加算は廃止し、同加算の算定要件は基本報酬の算定要件とし、基本報酬で評価を行うこととしています。


リハビリテーションマネジメント加算について、より上位加算の算定を行う場合、VISIT・CHASEの入力作業が必要だが、今回の報酬改定ではそれをカバーできるだけの報酬体系にはなっていないと思う。その他、会議や他事業所との日程調整等の労力・時間を考慮した単位数としてほしい。

 自立支援・重度化防止に向けた更なる室※の高い取組を促す観点から、リハビリテーションマネジメント加算を見直しています。
 リハビリテーションマネジメント加算(A)及び(B)それぞれにおいて、事業所がCHASE・VISITへデータを提出しフィードバックを受けPDCAサイクルを推進することを評価する区分を設けることとしています。
 また、算定要件の一つである「定期的な会議の開催」について、利用者の了解を得た上で、テレビ会議等の対面を伴わない方法により開催することを可能としています。

<※引用者注:「室」は当然「質」の誤りと思われる。>


社会参加支援加算は名称変更だけでなく、医療や介護の自宅復帰を進めるため、単位数を上げるべきではないか。

 社会参加支援加算について、利用者に対する適時・適切なリハビリテーションの提供を一層促進する観点から、加算の名称の変更に加え、リハビリテーション計画書の移行先の事業所への提供などの見直しを行うこととしています。


算定率の低い生活機能向上連携加算について、リハビリテーション専門職との連携の機会を担当者会議の前後に行うこととするとあるが、実効性はあるか。

 今回の見直しは、
・生活機能向上連携加算を算定していない理由として「利用者・家族への説明の機会を作ることが難しいため」とする事業所がいることや、
・利用者・家族も参加するサービス担当者会議にリハビリ専門職が参加する場合もあること
を踏まえて、サービス担当者会議の前後にリハビリ専門職と訪問介護のサービス提供責任者等がカンファレンスを行えるようにするものであり、会議の開催方法の選択肢が増えると考えています。


個別機能訓練加算において要件とされている機能訓練指導員の専従は、機能訓練指導員の資格を有している管理者が管理者として常勤要件を満たし業務に支障がない範囲で、一時的に専従することでも足りるか。

 ご指摘の点については、通知等で示してまいります。


入浴介助加算について、「多くの事業所で算定されていることを踏まえ」単位数を下げることは納得できない。感染リスクが高く、感染防止対策でも費用を追加で要している入浴介助をなぜ今減算するのか。

 通所介護等における入浴介助加算については、
・現行相当の加算区分は、現行の入浴介助加算は多くの事業所で算定されていることを踏まえ、また、新たな加算区分の取組を促進する観点から見直しを行う。
・利用者が自宅において、自身又は家族等の介助によって入浴を行うことができるよう、利用者の身体状況や医師等が訪問により把握した利用者宅の浴室の環境を踏まえた個別の入浴計画を作成し、同計画に基づき事業所において個別の入浴介助を行うことを評価する新たな区分を設ける。
こととされたものであり、利用者の自宅での入浴の自立を図る観点から、必要な見直しであると考えています。
 なお、第2次補正予算において、感染症対策に係るかかり増し経費の支援を行っているほか、今般の改定において、全ての事業所で、基本報酬の引き上げを行い、平時からの感染症対応の強化を評価しています。また、新型コロナウイルス感染症に対応するため、かかり増しの経費が必要となること等を踏まえ、全ての事業所で、半年間0.1%基本報酬を上乗せしています。さらに、通所介護等については、感染症や災害の影響により、利用者の減少がある場合に、状況に即した安定的なサービス提供を可能とする観点から、希望する事業所から届け出があった場合、規模区分に関する柔軟な取扱いや、特例的な加算を行うこととしています。
 感染症への対応は介護報酬や運営基準等による対応、予算による対応等を組み合わせ総合的に推進していきます。


入浴介助加算(II)により、個浴を用意して、自宅での入浴の自立を図ることを評価することはよいと思う。
ただ、古い家に住む利用者にとっては、費用等の面で簡単に環境整備できないのではないか。
また、軽度者や家族介護が可能な利用者を選別して行ったほうが、事業者等の負担が小さく高い報酬を得られるので、クリームスキミングにつながるのではないか。

 通所介護等における入浴介助加算(II)については、
・医師等が利用者の居宅を訪問し、浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を評価すること
・この際、利用者の浴室が利用者自身又は家族等の介助により入浴を行うことが難しい環境にある場合は、訪問した医師等が、介護支援専門員や福祉用具専門相談員と連携し、浴室の環境整備に係る助言を行うこと
としており、これに基づいた環境整備を行うかどうかは利用者の希望等を勘案し判断されるべきものと考えます。
 なお、通所介護等における入浴介助加算の見直しは、利用者の自宅での入浴の自立を図る観点から行われるものであり、各事業所においてはこの趣旨を踏まえて、各利用者の状態に応じた適切な支援を行うものと認識しています。


入浴介助加算(II)の要件に「医師・理学療法士作業療法士介護福祉士・介護支援専門員等が訪問により把握・・・」とあるが、単独の訪問でもよいか。また、「医師等」は当該事業所の従業者や事業者と書面による契約を締結した者ではなく、一般的な連携先(担当介護支援専門員を含む。)でもよいか。例示されている職種以外に「等」に含まれる者はないか。

 ご指摘の点については、通知等で示してまいります。


施設系サービスにおける口腔衛生管理体制加算と栄養マネジメント加算については廃止して基本報酬に組み入れるのではなく、加算の引上げ等を行うべき。

 施設系サービスにおける口腔衛生管理の充実と栄養マネジメントの強化を図る観点から、ご指摘の各加算を基本報酬に包括化することとしています。なお、あわせて、口腔衛生管理加算の上位区分の創設や栄養マネジメント強化加算の新設等も行っております。

 

(つづく)