インフルエンザを怖がらない理由

こういうタイトルを書きましたが、インフルエンザは全く怖くないとは私は思っていません。


ただ、新型コロナウイルス感染症に比べれば、インフルエンザについての個人的警戒度は低いし、世間一般でもそういう人々が多いでしょう。

 

「インフルエンザの方が怖い」
新型コロナウイルス感染症は若者は重症化しないし死なない」
「高齢者だけ気をつければいい」
などと主張する人がいます。


実は、これらの主張の中には虚偽(あるいは控えめに言っても「誤解が生じやすい」要素)があると思いますが、それは置いといて、私を含めた一般的な日本人が、新型コロナウイルス感染症に比べればインフルエンザを怖わがらない理由を考えてみたいと思います。

なお、これは医学的考察ではなく、社会学的(あるいは社会心理学的)雑談とお考え下さい。

 


1)インフルエンザの方が線を引きやすい

 

この場合、「線」というのは、感染者(他人に感染症を広げる可能性がある程度高い人間)と、非感染者(同じく広げる可能性が十分に低い人間)との境界です。
新型コロナウイルス感染症では、無症状でも感染を広げる可能性が一定以上ありますが、インフルエンザでは、発症前に他人にうつす可能性は相対的に低く、皆無ではないものの、やや例外的な、運が悪かったな、というイメージがあります。
そして、インフルエンザの場合、発症からの時間経過などの条件はありますが、一般的な開業医(内科や小児科)でも、比較的短時間で診断がつきます。


2)インフルエンザの方が対応方法がわかりやすい

 

これまた、発症からの時間経過などの条件はありますが、たいていの場合、抗ウイルス薬の処方がなされ、相対的に短い時間で「楽になる」見通しがつきます。


3)インフルエンザの方が社会生活や人々の習慣への影響が少ない

 

一般的には、数日間で通勤や通学についての制限がなくなり、体力さえ回復すれば、発症前の日常生活に戻ることができます。
もし万一、高齢者等で、重症化した場合でも、病院への見舞い、最悪の場合の臨終の(家族の)立ち合い、一連の葬儀を行うことができます。時節柄もあり、ある程度の制約があったとしても、新型コロナウイルス感染症のように遺骨になって初めて家族の元に戻る、ということはありません。


4)インフルエンザの方が誹謗中傷、風評被害の危険が少ない

 

これは、本来なら「あってはならない」類の危険ですが、新型コロナウイルス感染症の場合、感染者及び家族に対する誹謗中傷や、その周囲の人々に対する風評被害が現実にあります。インフルエンザでは、一般的にはありません。医師や保健所がOKを出しているのに、保育所から子どもの通園を自粛するように強要されることもありません。

 


ほかにもあるかもしれませんが、とりあえずここまでは、すぐに思いつきます。

これらの中には、医学の進歩で消滅していく(または軽減されていく)ものもあるかもしれません。
(4については、医学に関係なく、なくしていきたいものですが。)

ただ、現在のところ、やはりインフルエンザの方が「怖い度合い」は少ない、といわざるを得ないようです。

 

<追記>

新型コロナウイルス感染症の予防(手洗いやマスクなど)をすれば、それがそのままインフルエンザ予防にもつながる、というのも重要かもしれません。

つまり、新型コロナウイルス感染症対策を行えば、特別にインフルエンザ予防対策を行う必要がない(予防接種を除いて)ということで。