両親が陽性の場合の子どもの保護

令和2年4月23日付け事務連絡

各 都道府県/指定都市/中核市 児童福祉主管部局 御中

                   厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課

新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言等を踏まえた支援対象児童等への対応について」に関するQ&Aについて

 児童福祉行政の推進については、平素よりご尽力をいただき、厚く御礼申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、様々な対策が講じられている中、児童相談所及び市町村における支援対象児童等への対応について、「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言等を踏まえた支援対象児童等への対応について」(令和2年4月10日付け事務連絡)を発出したところです。
 当該事務連絡のうち、保護者が新型コロナウイルスに感染したことにより入院した場合等の対応について、別添のとおり、Q&Aを作成いたしましたので、参照していただきますよう、お願いいたします。
 なお、各都道府県におかれましては、貴管内市町村(指定都市及び中核市を除き、特別区を含む。)への周知をお願いいたします。


(別添)
保護者が新型コロナウイルスに感染したことにより入院した場合等の対応等に関するQ&A


問 令和2年4月10日付け事務連絡では、「児童福祉部門と衛生部門が連携し、都道府県、市町村のほか、関係施設等で相談の上で、役割分担等の子どもの保護の対応について、検討」を行うこととされているが、具体的にどのような対応が考えられるのか。

(答)

【子どもが濃厚接触者となった場合の保護について】
○ 子どもが新型コロナウイルス陽性の保護者と濃厚接触した場合に、検査結果が陰性であったり、検査対象となっていない(検査結果待ちを含む)ときは、基本的には自宅で待機していただくこととなる。こうした場合に、保護者の代わりに、親族等に子どもの養育や健康管理をお願いすることとなるが、養育が可能な親族等がおらず、子どもだけでは自宅での生活や健康管理が困難な場合も想定される。

○ 上記のような場合に、子どもの保護について、衛生部門から児童福祉部門に相談が行われることも想定されるが、例えば、
(1)児童養護施設等において実施される子育て短期支援事業を利用すること
(2)一時保護所で一時保護を行うこと
(3)児童養護施設等に一時保護委託を行うこと
が考えられる。
 また、子どもの症状等を踏まえ、衛生部門と協議の上、保護者の入院先の医療機関へ子どもの一時保護委託について相談することも考えられる。

【子どもを保護する施設における感染拡大防止のための留意点について】
○ こうした子どもを保護する施設においては、「社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について(その2)」(令和2年4月7日付け事務連絡)等に基づき、
 ・原則として、個室で対応すること
 ・保健所により濃厚接触者とされた子どもと、その他の子どもの対応に当たって、可能な限り、担当職員を分けて対応すること
 ・使い捨て手袋、マスクを着用すること。咳き込みなどがあり、飛沫感染のリスクが高い状況では、必要に応じてゴーグル、使い捨てエプロン、ガウン等を着用すこと
など、新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者等への適切な対応を実施し、感染防止に万全を図る必要がある。

【受け入れ先の確保について】
○ 子どもの受け入れ体制については、各地域の実情が様々であると考えられることから、子どもを迅速に保護できるよう、あらかじめ、児童福祉部門と衛生部門が連携し、都道府県、市町村のほか、関係施設等で相談の上で、上記の対応等も参考にした上、役割分担や子どもの保護の対応を決定し、準備を進めておく必要がある。

○ 受け入れ先については、他の子どもへの感染を防止する観点から、既存の一時保護所等の活用が難しい場合には、時限的な措置として、自治体の設置している施設の一部を専用の一時保護委託先として活用することや、既存の施設(宿泊施設を含む。以下同じ。)を一時保護所の一部として転用すること等の工夫を行うことも考えられる。

○ 既存の施設を一時保護所の一部として転用する場合においては、当該施設単体で、児童福祉法施行規則第35条の基準(※)を満たす必要はないが、「社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について(その2)」(令和2年4月7日付け事務連絡)等に基づく取組を適切に実施するとともに、一時保護所と緊密に連携し、当該施設における子どものケアが適切に行われることが必要である。

(※)児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号)第35条(同条の規定に基づき、児童養護施設に係る児童福祉施設最低基準の規定(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)第7章)を準用)及び児童相談所運営指針(平成2年3月5日付け厚生省児童家庭局長通知)第9章第1節(2)第2節(3)

○ こうした対応に当たっては、「「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策(※)」等に係る児童養護施設等に対する財政措置等について(令和2年4月7日事務連絡)」において、仮設による居室の設置等を図る場合の補助事業をお示ししているので、ご承知おきいただきたい。

(※)新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策
【事業内容】
 感染が疑われる者同士のスペースを空間的に分離するための個室化に要する改修費
【対象施設】
 児童相談所一時保護所、児童養護施設児童自立支援施設、母子生活支援施設、乳児院、児童心理治療施設、婦人保護施設、婦人相談所一時保護所、自立援助ホーム、ファミリーホーム、里親等
【補助基準額】8,000千円
【補助割合】国:1/2→10/10(補助率の嵩上げについて補正予算に計上)

 

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フリーアナウンサー赤江珠緒さん夫妻が陽性で、2歳の娘さんの世話は誰がするのか、という問いかけがありました。

大阪府の吉村知事が、児童相談所により一時保護や里親の活用等の対応策を検討、という報道がありましたが、児童相談所の一時保護所でも児童養護施設でも他の子どもたちへの感染の危険がありますし、里親でも家族への感染の危険は同じということで、宿泊施設の借り上げ等の方向が示されているようです。

 

赤江さんの話がテレビ等で流れたときから、児童相談所が関わるしかないのだろうな、とは思っていました。ただ、児童養護施設は、(一応「陰性」のお子さんでも)万一を考えれば大クラスターの恐れがあり危険。里親の中で、受け入れていただける家庭があれば(私が知っているケースでも里母さんが元看護師という家庭がありました)、そこから優先に考えていくのかな、というのが第一感でした。

あとは、それこそお子さんや医療機関の状況によりますが、医療機関への一時保護委託。

それほど知られていないかもしれませんが、児童相談所社会福祉施設や里親以外にも一時保護を委託することができます(児童福祉法第33条関係)。

とにかく、前例のないケースが今後も続々登場するかもしれないので、そのときそのときに最善と思われる対応を、行政も関係者も進めていかざるを得ないでしょう。