訪問介護費(2) 身体介護/生活援助

 2 イについては、身体介護(利用者の身体に直接接触して行う介助並びにこれを行うために必要な準備及び後始末並びに利用者の日常生活を営むのに必要な機能の向上等のための介助及び専門的な援助をいう。以下同じ。)が中心である指定訪問介護を行った場合に所定単位数を算定する。

【H12老企36】

(1)「身体介護」及び「生活援助」の意義について
 注2の「身体介護」とは、利用者の身体に直接接触して行う介助並びにこれを行うために必要な準備及び後始末並びに利用者の日常生活を営むのに必要な機能の向上等のための介助及び専門的な援助であり、1人の利用者に対して訪問介護員等が1対1で行うものをいう(特別な事情により複数の利用者に対して行う場合は、1回の身体介護の所要時間を1回の利用者の人数で除した結果の利用者1人当たりの所要時間が(4)にいう要件を満たすこと。その具体例としては、例えば、「食事介助」の場合には、食事摂取のための介助のみならず、そのための一連の行為(例:声かけ・説明→訪問介助護員等自身の手洗等→利用者の手拭き、エプロンがけ等の準備→食事姿勢の確保→配膳→おかずをきざむ、つぶす等→摂食介助→食後安楽な姿勢に戻す→気分の確認→食べこぼしの処理→エプロン・タオルなどの後始末・下膳など)が該当するものであり、具体的な運用にあたっては、利用者の自立支援に資する観点からサービスの実態を踏まえた取扱いとすること。(具体的な取扱いは「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(平成12年3月17日老計10号)を参照すること。)
 また、「利用者の日常生活を営むのに必要な機能の向上等のための介助及び専門的な援助」とは、利用者の日常生活動作能力などの向上のために利用者の日常生活動作を見守りながら行う手助けや介助に合わせて行う専門的な相談助言を言うこと。
 注3の「生活援助」とは、身体介護以外の訪問介護であって、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援助とされたが、次のような行為は生活援助の内容に含まれないものであるので留意すること。(具体的な取扱いは「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」(平成12年11月16日老振76号)を参照すること。)
 [1] 商品の販売や農作業等生業の援助的な行為
 [2] 直接本人の援助に該当しない行為
  ・主として家族の利便に供する行為又は家族が行うことが適当であると判断される行為当であると判断される行為
 [3] 日常生活の援助に該当しない行為
  ・訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為
  ・日常的に行われる家事の範囲を超える行為

(2)訪問介護の区分
 訪問介護の区分については身体介護が中心である場合(以下身体介護中心型」という。)、生活援助が中心である場合(以下「生活援助中心型」という。)の2区分とされたが、これらの型の適用に当たっては、1回の訪問介護において「身体介護」と「生活援助」が混在するような場合について、全体としていずれかの型の単位数を算定するのではなく、「身体介護」に該当する行為がどの程度含まれるかを基準に、30分を1単位として、「身体介護」と「生活援助」を組み合わせて算定することとする((3)に詳述)。この場合、身体介護のサービス行為の一連の流れを細かく区分しないよう留意すること。例えば、「食事介助」のサービス行為の一連の流れに配下膳が含まれている場合に、当該配下膳の行為だけをもってして「生活援助」の一つの単独行為として取り扱わない。
 いずれの型の単位数を算定するかを判断する際は、まず、身体介護に要する一般的な時間や内容からみて、身体介護を構成する個々の行為を
 [1] 比較的手間のかからない体位変換、移動介助、移乗介助、起床介助(寝床から起こす介助)、就寝介助(寝床に寝かす介助)等
の「動作介護」
 [2] ある程度手間のかかる排泄介助、部分清拭、部分浴介助、整容介助、更衣介助等の「身の回り介護」
 [3] さらに長い時間で手間のかかる食事介助、全身清拭、全身浴介助等の「生活介護
に大きく分類することとし、その上で、次の考え方を基本に、訪問介護事業者は、居宅サービス計画作成時点において、利用者が選択した居宅介護支援事業者と十分連携を図りながら、利用者の心身の状況、意向等を踏まえ、適切な型が適用されるよう留意するとともに、訪問介護計画の作成の際に、利用者又はその家族等への説明を十分に行い、その同意の上、いずれの型かを確定するものであること。
 [1] 身体介護中心型の所定単位数が算定される場合
  ・専ら身体介護を行う場合
  ・主として「生活介護」や「身の回り介護」を行うとともに、これに関連して若干の生活援助を行う場合
  (例)簡単な調理の後(5分程度、食事介助を行う(50分程度)場合(所要時間30分以上1時間未満の身体介護中心型)。
 [2] 生活援助中心型の所定単位数が算定される場合
  ・専ら生活援助を行う場合
  ・生活援助に伴い若干の「動作介護」を行う場合
  (例)利用者の居室から居間までの移動介助を行った後(5分程度)、居室の掃除(50分程度)を行う場合(所要時間30分以上1時間未満の生活援助中心型)。
 なお、訪問介護の内容が単なる本人の安否確認や健康チェックであり、それに伴い若干の身体介護又は生活援助を行う場合には、訪問介護費は算定できない。

 3 ロについては、単身の世帯に属する利用者又は家族若しくは親族(以下「家族等」という。)と同居している利用者であって、当該家族等の障害、疾病等の理由により、当該利用者又は当該家族等が家事を行うことが困難であるものに対して、生活援助(調理、洗濯、掃除等の家事の援助であって、これを受けなければ日常生活を営むのに支障が生ずる介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第8条第2項に規定する居宅要介護者に対して行われるものをいう。)が中心である指定訪問介護を行った場合に所定単位数を算定する。

【H12老企36】

(5)「生活援助中心型」の単位を算定する場合
 注3において「生活援助中心型」の単位を算定することができる場合として「利用者が1人暮らしであるか又は家族等が障害、疾病等のため、利用者や家族等が家事を行うことが困難な場合」とされたが、これは、障害、疾病のほか、障害、疾病がない場合であっても、同様のやむを得ない事情により、家事が困難な場合をいうものであること。
 なお、居宅サービス計画に生活援助中心型の訪問介護を位置付ける場合には、居宅サービス計画書に生活援助中心型の算定理由その他やむを得ない事情の内容について記載するとともに、生活全般の解決すべき課題に対応して、その解決に必要であって最適なサービスの内容とその方針を明確に記載する必要がある。