訪問介護費(3) 通院等乗降介助

 4 ハについては、要介護者である利用者に対して、通院等のため、指定訪問介護事業所の訪問介護員等が、自らの運転する車両への乗車又は降車の介助を行うとともに、併せて、乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助又は通院先若しくは外出先での受診等の手続き、移動等の介助を行った場合に1回につき所定単位数を算定する。

【H12老企36】

(6)「通院等のための乗車又は降車の介助」の単位を算定する場合
 [1] 指定訪問介護事業者が注4の「通院等のための乗車又は降車の介助」にいう介助を行う場合には、当該所定単位数を算定することとし、「身体介護中心型」の所定単位数は算定できない。当該所定単位数を算定するに当たっては、道路運送法(昭和26年法律第183号)等他の法令等に抵触しないよう留意すること。なお、移送行為そのものすなわち運転時間中は当該所定単位数の算定対象ではなく、移送に係る経費(運賃)は、引き続き、評価しない。
 [2] 注4において「通院等のための乗車又は降車の介助」の単位を算定することができる場合、片道につき所定単位数を算定する。よって、乗車と降車のそれぞれについて区分して算定することはできない。
 [3] 複数の要介護者に「通院等のための乗車又は降車の介助」を行った場合であって、乗降時に1人の利用者に対して1対1で行う場合には、それぞれ算定できる。なお、効率的なサービス提供の観点から移送時間を極小化すること。
 [4] 利用目的について「通院等のため」とは「身体介護中心型」としての通院・外出介助と同じものである。
 [5] サービス行為について、「自らの運転する車両への乗車又は降車の介助」、「乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助」及び「通院先若しくは外出先での受診等の手続き、移動等の介助」とは、それぞれ具体的に介助する行為を要することとする。例えば、利用者の日常生活動作能力などの向上のために、移動時、転倒しないように側について歩き、介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る場合は算定対象となるが、乗降時に車両内から見守るのみでは算定対象とならない。
 また、「自らの運転する車両への乗車又は降車の介助」に加えて、「乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助」を行うか、又は、「通院先若しくは外出先での受診等の手続き、移動等の介助」を行う場合に算定対象となるものであり、これらの移動等の介助又は受診等の手続きを行わない場合には算定対象とならない。
 [6] 「通院等のための乗車又は降車の介助」は、「自らの運転する車両への乗車又は降車の介助」、「乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助」及び「通院先若しくは外出先での受診等の手続き、移動等の介助」を一連のサービス行為として含むものであり、それぞれの行為によって細かく区分し、「通院等のための乗車又は降車の介助」又は「身体介護中心型」として算定できない。例えば、通院等に伴いこれに関連して行われる、居室内での「声かけ・説明」・「目的地(病院等)に行くための準備」や通院先での「院内の移動等の介助」は、「通院等のための乗車又は降車の介助」に含まれるものであり、別に「身体介護中心型」として算定できない。
 なお、一人の利用者に対して複数の訪問介護員等が交代して「通院等のための乗車又は降車の介助」を行った場合も、1回の「通院等のための乗車又は降車の介助」として算定し、訪問介護員等ごとに細かく区分して算定できない。
 [7] 「通院等のための乗車又は降車の介助」の単位を算定するに当たっては、適切なアセスメントを通じて、生活全般の解決すべき課題に対応した様々なサービス内容の1つとして、総合的な援助の一環としてあらかじめ居宅サービス計画に位置付けられている必要があり、居宅サービス計画において、
  ア 通院等に必要であることその他車両への乗降が必要な理由
  イ 利用者の心身の状況から乗降時の介助行為を要すると判断した旨
  ウ 総合的な援助の一環として、解決すべき課題に応じた他の援助と均衡していること
を明確に記載する必要がある。

(7)「通院等のための乗車又は降車の介助」と「身体介護中心型」の区分
 要介護4又は要介護5の利用者に対して、通院等のための乗車・降車の介助を行うことの前後に連続して相当の所要時間(20~30分程度以上)を要しかつ手間のかかる身体介護を行う場合には、その所要時間に応じた「身体介護中心型」の所定単位数を算定できる。この場合には「通院等のための乗車又は降車の介助」の所定単位数は算定できない。
(例)(乗車の介助の前に連続して)寝たきりの利用者の更衣介助や排泄介助をした後、ベッドから車いすへ移乗介助し、車いすを押して自動車へ移動介助する場合。

(8)「通院等のための乗車又は降車の介助」と通所サービス・短期入所サービスの「送迎」の区分
 短期入所サービスにおいて利用者の居宅と当該事業所との間の送迎を行う場合は、当該利用者の心身の状況により当該事業所の送迎車を利用することができないなど特別な事情のない限り、短期入所サービスの送迎加算を算定することとし、「通院等のための乗車又は降車の介助」は算定できない。