集中減算についての他の意見1

2017年7月19日 第143回社会保障審議会介護給付費分科会議事録より
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000175493.html

武久委員(日本慢性期医療協会会長)の発言については前の記事に書きましたが、
他の委員が「特定事業所集中減算」についてどう発言したか、抜粋してみます。

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小原委員(日本介護支援専門員協会副会長)
 特定事業所集中減算については、居宅介護支援事業所の置かれている状況を踏まえて、居宅介護支援事業所側への減算は効果的であるとは言えません。リハビリテーションマネジメントなど、医師の関与があって、利用者や介護支援専門員を含むカンファレンス等が実施され、当該サービスの利用が計画的に実施されているなど、多職種共同が担保されている場合は特定事業所集中減算の対象から除外するなどの見直しを行うべきと考えます。また、訪問看護とか居宅療養管理指導等においても準用すべきではないかなと考えております。
 なお、診療報酬側の機能強化型訪問看護管理療養費の算定要件では、同一敷地内に設置された居宅介護支援事業所によるケアプラン作成が一定程度以上であることを求められていますが、これは介護保険側の集中減算の考え方と相反していますので、整合性を図っていただきたいと思います。

鈴木委員(日本医師会常任理事)
 特定事業所集中減算は大幅な見直しが必要であり、少なくとも医療系のサービスと事業所が少ないサービス、これは3ページに訪問入浴介護、短期入所療養介護、訪問リハとありますけれども、こうしたところを除外する必要があります。
 その上で、現行では特定の介護サービス事業所にケアプランを集中させていることのみを想定してチェックする仕組みとなっておりますが、これは不合理かつ不十分であるため、さらにみずからの法人の介護サービスのみでプランを立てる場合、及びサービスの必要性を超えて区分支給限度額まで給付管理をしている場合の3項目のうち、複数項目が基準以上の場合、保険者によるケアプラン点検を実施するのがよいと考えられます。さらに、居宅介護支援事業所にも集合住宅における減算を適用する必要があります。

本多委員(健康保険組合連合会理事)
 特定事業所集中減算については、鈴木委員とも共通しますが、地域に利用できる事業所が少数であるサービスや、一般的に主治医等の指示がある場合に利用可能な医療系サービスにおいて、割合が高くなっているといった状況を踏まえ、サービスごとに減算割合を設定するなど、より実効性が高まるような見直しを行うべきだと思います。
 また、参考資料の31ページに、保険者によるケアプラン点検の実施について、実施している保険者が平成25年度で60.8%とありますが、ケアプランの質の向上や適正化の観点からも、保険者間で好事例を共有するなど、実施率が向上するように検討していただきたいと思います。

井上委員(日本経済団体連合会常務理事)
 特定事業所集中減算につきましては、地域の特殊事情等への一定の配慮は必要であり、現行の減算制度の見直しも必要かと思います。けれども、特定事業所集中減算の考え方そのものは公正中立という観点から重要なものであり、仕組み自体は必要であると思います。その意味でも、ケアプランの作成にあたっては、先ほど申し上げたような点検、チェックやピアレビューといった取組が必要になってくるのではないかと思います。

大西委員(全国市長会介護保険対策特別委員会委員長・高松市長)
 集中減算につきましては、正当な理由がある場合は適用しないということにされております。今日の参考資料1の23ページですか、正当な理由の範囲ということが書かれておりますが、それぞれある程度具体的な基準がずっと並んでいるんですが、最後の6において、その他正当な理由と都道府県知事、あるいは指定都市、中核市の市長が認めた場合ということになりまして、それだったら集中減算しないでもいいよということになっているわけです。
 前回の制度改正によりまして、今まで集中割合が90%以上だったのが80%以上で全居宅サービスがこの集中減算の対象となったんですが、本市、高松市における現状を見てみますと、全体で指定事業所数が150から160あるんですけれども、そのうち90%以上のときに割合超過というのは10事業所前後だったんですが、それが80%に引き下げられますと、80から100事業所ぐらいになってきます。ただ、最終的に減算が適用となった数というのは、5事業所程度だったものが、増えても7事業所ぐらいということになっていまして、それだけ手間が大きく増えた割には、結局減算している事業所というのは、あまり変わっていないという状況になります。
 したがいまして、会計検査院等の指摘もございますけれども、何らかの集中排除的なものは必要だと思いますので、有効な仕組みを抜本的に検討していただかなければならないのではないかと思いますし、ある程度集中減算の制度を残すとしても、先ほど言いましたように、全市町村がこれから指定権限の対象となるわけでございますので、市町村がきちんと適正な運用がなされるように、より具体的・客観的な正当な理由の基準というものをきちんと示していただきたい。できれば、私の個人的な意見ですけれども、正当な理由がある場合には除外するというのを原則として、例外的に減算を行うといった形の基準がつくれないのかなと思っております。

(つづく)