集中減算についての他の意見2

齋藤(訓)委員(日本看護協会副会長)
 特定事業所集中減算のあり方につきましては、介護保険部会のほうでも、当初の趣旨を達成するものにはなっていないという意見もありましたし、減算がかえって良質なサービスを提供する事業所への依頼を阻んだり、あるいは集中割合の調整等でむしろケアマネジャーの業務負担をもたらしている面もあると思いますので、減算については廃止の方向で検討すべきだと思います。
 ただ一方で、公正中立の確保が必要になりますので、それにつきましては、ケアプランの点検状況が資料でも出ておりまして、6割程度というところです。1点、これは事務局に質問ですが、本当に目的を達成したのかどうか、本日でなくても結構ですが、そのあたりは何かデータがあれば教えていただきたいと思います。こういった点検によって効果があるということが期待できるのであれば、全ての保険者に実施を促していく方策を考えるべきですが、時間と労力を要する作業でもありますから、事業の効果としては検証しておく必要があるのではないかと思います。

込山振興課長
 集中減算の仕組みがどういった効果を上げているか、目的を達成しているか、具体的に検証しているかというお尋ねだったと存じますが、この仕組みによって、不適正や偏りとか集中というものを牽制するような効果というのはもちろんあろうかと思います。ただ、定量的にどうかという形での把握というのは、そこにはまだ至っていないところでございます。

齋藤(訓)委員
 先ほどの質問は、ケアプラン点検の実施状況では6割が実施しており、実施の目的はケアプランの質の向上であったり、ケアマネジャーのスキルアップだということなんですけれども、これらの目的がケアプランの点検によって果たされているのかどうかのデータがあるのかという質問です。

込山振興課長
 失礼しました。そういった形での具体的なデータというのは、今のところ、まだ得られていないところでございます。

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赤色の部分は振興課長の勘違いにより出てきた発言ですが、この特定事業所集中減算の効果について「少なくとも定量的には把握していない」ということを認めてしまいました。
つまり、この悪名高き減算が「効果があった」という証拠は、厚労省は出せないということです
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東委員(全国老人保健施設協会会長)
 3ページの○の2つ目に、ケアマネジメントの公正中立を確保するための取組として3つございます。1つ目が特定事業所集中減算、2つ目が運営基準、3つ目が保険者によるケアプラン点検。
 この1つ目の特定事業所集中減算もたくさん御意見が出ましたが、私は今のままでは実効性が担保できていないと思いますので、これを存続するなら実効性があるように存続させる。あるいは全く違う形で、公正中立を確保するために、例えば特定事業所にサービスが集中するような、お世話型の不適切なケアプランを防止できるようなものに、きちんと変えていく必要があると思います。
 3つ目のケアプラン点検。今、齋藤委員もおっしゃっていましたが、私も全く同感です。参考資料1の31ページにケアプラン点検の実施状況(平成25年度)があります。実施している保険者が60%、マニュアルを活用している保険者が66%。それから実施の目的の調査結果しか示されていません。これは、実施しているところが6割もあるわけですから、例えば、集合住宅において、こういう事例にどのような効果があったのかとか、そういうデータがないと議論になりません。この3つのうちの2つ、特定事業所も余り効果的じゃない、ケアプラン点検も余り効果的じゃないということになると、では、公正中立を守るためにどういうふうにしたらいいんだということになるので、データがないということでは済まないと思います。
 ぜひこのケアプラン点検の実施状況というものをもう少しきちんとしたデータを出していただきたいと思います。また、これは市町村に権限が入ると余計難しいという御意見もございましたので、そこは国の方できちんとしたことをやらないと、いつまでたっても無駄なケアプランというものが横行するのを防げないと思います。

齊藤(秀)委員(全国老人クラブ連合会常務理事)
 論点2の集中減算のことについてでありますが、質の高い事業所の利用など正当な理由が損なわれるような実態があるとすれば、これは是正することは当然だと思いますが、本来減算は、利用者本位ではなくて、事業者本位で不適切な利用に対するペナルティーとして考えられたものと理解しております。いずれにしても、何らかのチェック機能は必要だと思いますが、会計検査院が求める十分な検証を行った上で、今後、妥当性のある、また有効な方策を考えるべきだと思います。
 なお、介護保険制度が創設されてから17年になるわけでありますが、制度のかなめと言われるケアマネジメントの公正中立は非常に大事なポイントであります。一部において経営者の意向をそんたくしなければならないような現状があるとすれば、この公正中立の限界にあるわけでありまして、私はそろそろ独立の事業所を視野に入れた検討も始めていい時期ではないかということを申し上げておきたいと思います。

(つづく)