電力会社の赤字

電力各社:北陸、沖縄以外が最終損失計上 原発停止で

毎日新聞 2013年04月30日 20時17分(最終更新 04月30日 23時34分)

 電力10社の2013年3月期連結決算が30日出そろった。北陸電力沖縄電力を除く8社が最終(当期)損失を計上、合計で1兆5898億円の赤字となった(前年は計1兆5913億円の最終赤字)。原発の停止が長引く中、火力発電の燃料費が増加したことが要因。原発の再稼働が見通せない中、再稼働に必要な追加の安全対策費用がかさむことも予想され、厳しい経営状況は続きそうだ。

 赤字が大きかったのは、東京電力のほか、東日本大震災前に原発依存度が高かった北海道電力関西電力四国電力九州電力の4社で、過去最大の赤字となった。一方、原発を持たない沖縄電力と、原発依存度が比較的低かった北陸電力は、小幅ながら黒字を確保した。

 14年3月期の最終損益の見通しについて、中部電力沖縄電力以外の8社は「原発の再稼働時期など先行きが不透明なため、見通せない」などとして、公表しなかった。

 燃料費を抑制して収益改善するには、原発を再稼働させないと難しい。各社は、再稼働の条件となる新規制基準への対応を急いでいるが、再稼働までは、燃料費負担が重い状況が続く。また、現時点で新規制基準への対応費用として業界全体で計1兆2000億円以上(沖縄電力を除く9社)を見込んでいるが、今後更なる費用負担が必要になる可能性が大きく、「今年度も業績の好転は難しい」(アナリスト)と見られる。【浜中慎哉】
http://mainichi.jp/select/news/20130501k0000m020062000c.html

記事に各電力会社の損益データがついていましたので、それに原発比率を加えた表を作ってみました。

電力大手10社の13年3月期連結決算(単位:億円)
電力会社最終損益燃料費原発比率
北海道▲1328 (▲720)2281 (1707)44
東北▲1036 (▲2319)5550 (5124)26
東京▲6852 (▲7816)27885 (22869)28
中部▲321 (▲921)11948 (10409)15
北陸0.98 (▲52)1384 (1423)28
関西▲2434 (▲2422)9198 (7768)51
中国▲219 (24)3665 (3199)3
四国▲428 (▲93)1574 (1292)43
九州▲3324 (▲1663)6797 (5202)39
沖縄43 (69)510 (493)0

カッコ内は前年同期。
原発比率については、「各電力会社の発電電力量の電源別構成比(2010年度実績)」(2012年5月5日毎日新聞)より(単位:%)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4111.html

北陸電力がわずかながら黒字となったのは、コストが低い水力発電の比率が高いということもあるでしょう。
沖縄電力は火力発電がほとんどですし、単純に「火力発電はコストが高い」というわけではないのですね。

原発に多額の投資を行っていた電力会社が、やむを得ず火力代替を行った結果、コストが高くなった、と。
(稼働していなくても、維持管理コストは必要です。)

経産省や財界(のトップなど)が原発のコストが火力より低い、と主張していることに対しての批判は、何度か記事にしてきました。
政策として税金で負担しているコスト(立地自治体への交付金など)、廃炉廃棄物処理などの(今後どれぐらい高くつくかわからない)コスト、福島原発事故の補償コストなどを含めれば、原発が安いわけがない、と。

こういう事故時の代替コストなども原発コストに含めるべき、という見方をすれば、さらに高くつくことになります。