運営基準減算の適用月

今回の報酬改定で、居宅介護支援の運営基準減算が厳しくなりました。
最初の基準違反月は5割減算、連続2ヶ月目からは報酬なし。(下の枠囲み内参照)

具体的には、「ただ働き」になるのは、いつからでしょうか?

たとえば、福祉用具貸与事業所に居宅サービス計画を配布していないケアマネがいたとします。
(そうそう起こる事態ではないと思いますが、仮定として。)

平成24年1月から怠っていたとすれば、改定前の規定により、

1月:3割減算
2月:5割減算
3月:5割減算

となります。

では、4月は?

所定単位数は算定しない
と考えられます。
(報酬改定後の2ヶ月目=5月から、という意味ではありません。)

これを免れるためには、4月末までに配布するしかありません。
「当該状態が解消されるに至った月の前月まで減算」ですから。

なお、記録を偽造したり、福祉用具貸与事業所を脅したりして、「配布していたこと」にしようとすると、
指定取消など厳罰が待っています。


蛇足です。
以前の記事で、都道府県と保険者の見解が一致しなかった場合について触れたことがありました。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/30501297.html

たしかに、通常、給付(減算も)については、保険者に可否について判断する権限があります。
ただし、今回の事例については、
「特段の事情のない限り」
「特に必要と認められる場合を除き」
というような、行政の裁量による判断部分がありません。

配布したか、しなかったか、ですから。

よって、そんな保険者があるかどうかは別にして、
保険者が「減算しなくてよい」と言っても、駄目でしょう。

居宅介護支援の指定権者である都道府県が大目に見たとしても(そんな都道府県があるとは思えませんが)、
たとえば市民、被保険者などが訴訟を起こしたりしたら、保険者は勝てないと思います。

<参考>関連法令・通知等
指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第20号)
別表「指定居宅介護支援介護給付費単位数表」居宅介護支援費
イ 注2
 別に厚生労働大臣が定める基準に該当する場合には、運営基準減算として、所定単位数の100分の50に相当する単位数を算定する。また、運営基準減算が2月以上継続している場合は、所定単位数は算定しない。
厚生労働大臣が定める基準(平成24年厚生労働省告示第96号)
五十六 居宅介護支援費における運営基準減算の基準
 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第十三条第七号、第九号から第十一号まで、第十三号及び第十四号(これらの規定を同条第十五号において準用する場合を含む。)に定める規定に適合していないこと。
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)
十三条 指定居宅介護支援の方針は、第一条に規定する基本方針及び前条に規定する基本取扱方針に基づき、次に掲げるところによるものとする。
 十一 介護支援専門員は、居宅サービス計画を作成した際には、当該居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付しなければならない。
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(平成11年老企第22号)
(7)指定居宅介護支援の基本取扱方針及び具体的取扱方針
[11] 居宅サービス計画の交付(第十一号)
 居宅サービス計画を作成した際には、遅滞なく利用者及び担当者に交付しなければならない。
 また、介護支援専門員は、担当者に対して居宅サービス計画を交付する際には、当該計画の趣旨及び内容等について十分に説明し、各担当者との共有、連携を図った上で、各担当者が自ら提供する居宅サービス等の当該計画における位置付けを理解できるように配慮する必要がある。(略)
平成12年老企第36号
第三 居宅介護支援費に関する事項
6 居宅介護支援の業務が適切に行われない場合
 注2の「別に厚生労働大臣が定める基準に該当する場合」については、九十六号告示第五十六号に規定することとしたところであるが、より具体的には次のいずれかに該当する場合に減算される。
 これは適正なサービスの提供を確保するためのものであり、運営基準に係る規定を遵守するよう努めるものとする。都道府県知事は、当該規定を遵守しない事業所に対しては、遵守するよう指導すること。当該指導に従わない場合には、特別な事情がある場合を除き、指定の取消しを検討するものとする。
(1)居宅サービス計画の新規作成及びその変更に当たっては、次の場合に減算されるものであること。
 [3] 当該事業所の介護支援専門員が、居宅サービス計画の原案の内容について利用者又はその家族に対して説明し、文書により利用者の同意を得た上で、居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付していない場合には、当該月から当該状態が解消されるに至った月の前月まで減算する。
<Q&A21.3.23>
(問72)運営基準減算が2月以上継続している場合の適用月はいつからか。
(答)
 現在、適用月の解釈が統一されていないことから、平成21年4月以降における当該減算の適用月は2月目からとする。
(図は省略)