4/27介護給付費分科会(1)

2011年4月27日 第73回社会保障審議会介護給付費分科会議事録より
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001czsz.html
 
○勝田委員 (略)
 今後の介護報酬の改定について、前回、家族の会で「認知症の人も家族も安心して暮らせる要望書」を配付させていただきましたが、十分に説明できなかったわけです。特に私が再三申し上げているのは、認知症については、早期発見、早期治療、そして早期にしっかりしたケアをすることで軽度の状態を維持することができる、重度化を防ぐことができると訴えてきましたし、今後も同じ考えです。
 今回出された中で、地域支援事業の介護予防、日常生活支援総合事業の新設に関わるところで、利用対象や利用方法についてはとても心配しています。現在、地域支援事業の対象というのは、本来、介護保険サービスを利用していない高齢者で、主に介護予防が実施されているわけですが、改正案では、この中に要支援者1、2が含まれているということ。それから、市区町村の判断でやるかやらないのかということを決めると言われています。
 それで、私たちは、今も言いましたように、軽度のときこそしっかりしたケアをするということの中で、この要支援者の認定者に対する介護サービスについては、内容とか事業者を市区町村が任意で定めているということ。そして、従来どおり、重ならない部分については、介護予防サービスは利用できるという複雑な提案がされているわけですが、私たちは介護保険というのは利用者が選べるサービスだということをとても大切に思っていますし、これからもそうです。この新しい介護予防、日常生活の支援総合事業については、選択する権利ということもなくなるのではないか。
 そして、事業内容の中で、見守りとか配食サービスと言われていますが、特に生活援助に関する部分では、暮らしに関わる基本部分が介護保険給付から外されるのではないか、これがとても心配です。2006年の介護報酬のときにも、要支援者の場合は、ホームヘルプサービスとかデイサービスは月単位の定額制になりました。当初は、大丈夫です。希望されれば2回でも3回でもと言っていたのに、実際は1回しか使えないとか、実質的には利用量を減らされた。
 そして、特にこのサービスを利用しているのは、80歳以上の高齢者がとても多いということです。そういう中では、これが創設された場合でも、本来、利用者が選べる、自ら選択して利用することができることを確実にその中で保障していただきたいと考えます。
 もう一つ、どうしても言いたいことは補足給付についてです。これは以前も議論されたことですが、私たちは提言も出している中で、介護保険の収入というのは、実際の介護保険サービスに利用したいと述べてきました。今、補足給付が全体として介護保険の中で幾ら使われているのか、おわかりになる数字で結構ですが、教えていただきたいということと。
 例えば、特別養護老人ホームの入所者の4分の3は補足給付を受けていると聞いていますが、本来、この補足給付を受ける方々というのは一般の生活保護などで対応すべきではないか、介護保険介護保険財政の本来の直接サービスに使うべきではないかと思います。その点について教えていただければと思います。
 以上です。

○古川介護保険計画課長 補足給付については、確かに低所得者対策という要素がございますので、福祉的要素が強いということはあろうと思います。ただ、同時に公的社会保険でございますので、保険制度の中で所得の再分配を行うことも制度としてはあり得ることだと思っております。
 そうした中で、税と社会保障全体の議論と併せて、公費のあり方、それから保険料のあり方を考えるということになるのだろうと思っております。
 
○池田委員 前回も申し上げたことなんですけれども、東日本大震災はただごとではない。ジャーナリズムを通じて被災者の人たちの顔を見ていると、それは悲しみに暮れていますけれども、すごくいい表情をしているんです。自分たちで助け合う自助と互助が感動的なまでによみがえっています。もし介護保険がなかったらば、ケアマネジャーが自分のお客さんを守ることもなくて大混乱になったでしょう。
 つまり、私たちが東日本大震災から学ぶべきことは、そこで自助と互助と共助と公助が見事に動き出したということなんです。震災地に行って、お年寄りの衣服の整理も重要です。クーラーの掃除も重要です。介護保険でやって下さい。そんなことを言ってみて下さい。どんな顔をされるでしょうか。つまり、今、大きな変化があるとするならば、一体どこに配分していくのかということを、ここでまじめに考えなければいけないということなんです。
 前回も言いましたけれども、要らないものは要らないんです。家事援助は、デンマークでは週1回か2回です。スウェーデンも1回か2回です。我々は、お年寄り、おばあちゃんのお世話保険をつくったわけじゃありません。何が必要かということを今、震災の中できちんと考えることが必要だということです。
 私は、要支援1、2というのは介護保険から外すべきだと思います。どこで切ったって同じことが起きるんですよ。要介護1で切れば要支援はどうしてくれるということになるんですよ。要支援を切れば、今度、特定高齢者はどうなる。ずっと続いてしまうんです。どこかで切らなければいけないんです。どこかで切ることを考えるとするならば、新しい方式として自治体に任せるという方法も一つの方法だと思います。略)
 ついでに補足給付のことを言っておきましたけれども、今の金額をそのまま延長すると3,800億円ぐらいになってしまうんじゃないかと思います。あれ、1億円の預金があったって出るわけでしょう。そうすると、厳密にやれば、実は金額は半分以下で済むんですよ。介護保険は半分税金なんです。だから、税金でやっても一切損はしないんです。東日本大震災というものが一体何を私たちに求めているかということを考えれば、そこまで突っ込んでいい時期に来ているんじゃないか、それを申し上げたいと思います。