療養病床をめぐる現実

ブルーマーチさん(以下「ぶるまさん」)の、11月18日の書き込みより。

以下、ご教授願います。

 59歳。主たる疾患名=白質脳症(下記URL参照)
 ADL=全介助。
 胃ろう実施。痰吸引頻回。現在、療養型でない医療機関に長期入院中。
家族=近隣に在住、ただし引き取っての在宅不可。身重。

 認知症と同様症状示す。私の印象では、ピック病後半期と類似。見当識・記憶障害極め て重度と推定、家族の顔分からず。
 
 言語障害重度のため、上記は推定。反応は笑うのみ。

 行政=「若年性認知症という診断であれば介護認定申請受理の可能性はある」。

 現医療機関から1カ月以内で退院必要。

 さて、いかがしましょうか?

 http://topnet.gr.jp/Hsiori/ZYUDAI/HAKUSITU.HTM

そして、12月13日の、ぶるまさんの報告より。

この方ですが、茨城の老健に11日、入所できました。そうです。尊敬する、ぢむちょ、のところです。ぢむちょ、ご配慮いただき本当にありがとうございました。

 >このスレッドには深い意味があるのだよ。
 まあ、これは、ぢむちょには話したのですが、10年振りくらいに自分が抱えたケースですから、今の自分にどのくらい取り組めて、自分の気持ちがどう変化するか、あるいは療養型病床の実際はホントのとトコどうなんだろう、などなど、結構深い意味があったのですが。

 療養型病床、いくつか当たったのですが、今日は現実を書いてみましょう。

■千葉県U市 介護型医療型併設病院
 医療型では入院させられません。この方は医療区分Ⅰに該当します。当院医療型は区分Ⅰの方は入院させておりません。
 介護型は可能性があります。ただし、入院手続きにはあくまで介護保険証が必要で、認定見込みでの手続きはできません。今1床空いていますが、認定を待っている(ベッドを空けておく)余裕はありません。

■東京都K区 介護療養型、特養・老健併設
 当院では、食事経口摂取できない方は入院できません。
 後日、主治医との話。「あの病院の院長に『ペグ』って話したら、それ何ですか? って聞き返された。医者が知らないから看護師も知らないんだろう。だから入院できないんじゃないか」。信じられない。絶句。

■東京都E区 介護型医療型併設
 胃ろう程度で医療型には入院できない。コスト的に合わないので区分Ⅲの方しか入院させていない。介護型はいつ空くか分からない。だいぶ先になる。

■東京都E区 介護型
 当院では、介護保険証を持ってこないと相談ができません。あくまで相談です。それに今待機している方が数名いるので、数か月先にならないと入院はできません。

■東京都KA区 ここは老健
 申し訳ないが、うちでは胃ろうの方の制限をしております。現在、MAXまでいっているので、入所は当分先になります。

 予想どおりの反応でした。

続く
現在の医療制度のもと、というより医療療養型の入院の診療報酬では、医療行為が少ない方は「コストが取れない」ので入院できないのは仕方ありません。介護型も、愚かな廃止削減政策で減少が続いているので、こういう結果は見えておりました。ただ、経口摂取できない方の入院を断る「病院」があるというのは想像すらしておりませんでしたが。

 5か所目の老健を当たるのと並行して、他県施設を当たりました。かつてよく訪問した八王子や茨城の神栖などです。ただ、私自身にも抵抗があります。それらは実際何度か見ているわけですから。

 そこで、茨城のぢむちょとところ、1度訪問しておりますし、後方には脳外の病院もあります。
 じむちょがべつのスレッドで「信頼できると言われて・・・」等の書き込みをされておりますが、事実、私は家族に「此処は私がよく知っている事務長がいます。事務長がしっかりしているところは職員もしっかりしています。確かにちょっと遠方になりますが、お母様が安心して生活できることを考えたら、距離の問題でなく、ケアとかキュアとか、そこを重視するべきでしょう。もう少し近い場所も探せばあるとは思いますが、信頼できる施設ということでは必ずしもありません。ぜひ一度ご覧になってください」と話しました。

 じむちょのところも胃ろうの方が多く、当初は困難であるとのことでしたが、ご配慮いただきまして先の入所となりました。家族には地元の特養の申請は必ずしてくださいと申し上げておりますので、状態像からしてそれほど特養入所に時間はかからないと思われます。

 結局のところ、現実はこういうことです。大新聞社が社説で現実を無視したくだらないことを書いていましたが、ちょうどこの方を担当しておりましたので、余計に腹立たしかったのであります。
 無論、こうなる背景には医療制度全体の問題点があるわけですが。たとえば有床診療所の入院基本料が病院に比べて著しく低いこと、看護師の配置基準を高めにしないと(例えば7:1)報酬が見込めないこと、これが導入されたことで地方のみならず、都市部の中小病院等でも看護師の確保が困難になっていること等・・・。

 私は知人に介護医療関係者が多いから助かりましたが、そうでない人は本当に大変でしょう。同時に、そういう知人の方々に深くお礼を申し上げたい。

 現場の方々との調整もご苦労なさったと思います。今日は改めて、茨城のぢむちょ 様に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

今回は、メディカルケアネットのBBSより引用させていただきました。
該当スレッドはこちらです。

大新聞社の社説については、こちらの記事をご参照ください。