今年5月に施行された介護保険法の改正により、介護サービス事業者は「業務管理体制の整備」及び、それに関する届出が義務付けられました。
指定居宅サービス事業者は、要介護者の人格を尊重するとともに、この法律又はこの法律に基づく命令を遵守し、要介護者のため忠実にその職務を遂行しなければならない。
となっています。
他の条文も、他の種類のサービスについて同様に規定しています。
他の条文も、他の種類のサービスについて同様に規定しています。
では、「厚生労働省令で定める基準」を見てみます。
規則第140条の39第1項 法第115条の32第1項の厚生労働省令で定める基準は、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定めるところによる。 一 指定又は許可を受けている事業所又は施設の数が一以上二十未満の事業者 法令を遵守するための体制の確保に係る責任者(以下「法令遵守責任者」という。)の選任をすること。 二 指定又は許可を受けている事業所又は施設の数が二十以上百未満の事業者 法令遵守責任者の選任をすること及び業務が法令に適合することを確保するための規程を整備すること。 三 指定又は許可を受けている事業所又は施設の数が百以上の事業者 法令遵守責任者の選任をすること、業務が法令に適合することを確保するための規程を整備すること及び業務執行の状況の監査を定期的に行うこと。
多くの事業者(法人)は20未満と思われますが、その場合には法令遵守責任者の選任だけが規定されていて、規程の整備、業務執行の状況の監査までは義務付けられていません。
(もちろん、してはいけないということではありません。)
(もちろん、してはいけないということではありません。)
次に、届出先です。
法第115条の32第2項
介護サービス事業者は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、業務管理体制の整備に関する事項を届け出なければならない。
一 次号及び第三号に掲げる介護サービス事業者以外の介護サービス事業者 都道府県知事
二 地域密着型サービス事業又は地域密着型介護予防サービス事業のみを行う介護サービス事業者であって、当該指定に係るすべての事業所(当該指定に係る地域密着型サービス又は地域密着型介護予防サービスの種類が異なるものを含む。)が一の市町村の区域に所在するもの 市町村長
三 当該指定に係る事業所又は当該指定若しくは許可に係る施設(当該指定又は許可に係る居宅サービス等の種類が異なるものを含む。)が二以上の都道府県の区域に所在する介護サービス事業者 厚生労働大臣
介護サービス事業者は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、業務管理体制の整備に関する事項を届け出なければならない。
一 次号及び第三号に掲げる介護サービス事業者以外の介護サービス事業者 都道府県知事
二 地域密着型サービス事業又は地域密着型介護予防サービス事業のみを行う介護サービス事業者であって、当該指定に係るすべての事業所(当該指定に係る地域密着型サービス又は地域密着型介護予防サービスの種類が異なるものを含む。)が一の市町村の区域に所在するもの 市町村長
三 当該指定に係る事業所又は当該指定若しくは許可に係る施設(当該指定又は許可に係る居宅サービス等の種類が異なるものを含む。)が二以上の都道府県の区域に所在する介護サービス事業者 厚生労働大臣
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、
となります。
届出の内容は、規則第140条の40第1項で規定されています。
介護サービス事業者(法第115条の32第1項に規定する介護サービス事業者をいう。以下同じ。)は、同項の規定による業務管理体制の整備について、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した届出書を、同条第二項各号に掲げる区分に応じ、厚生労働大臣、都道府県知事又は市町村長(以下この条において「厚生労働大臣等」という。)に届け出なければならない。 一 事業者の名称又は氏名、主たる事務所の所在地並びにその代表者の氏名、生年月日、住所及び職名 二 法令遵守責任者の氏名及び生年月日 三 業務が法令に適合することを確保するための規程の概要(指定又は許可を受けている事業所又は施設の数が二十以上の事業者の場合に限る。) 四 業務執行の状況の監査の方法の概要(指定又は許可を受けている事業所又は施設の数が百以上の事業者の場合に限る。)
そして、変更届については、こちら。
法第115条の32第3項
前項の規定により届出を行った介護サービス事業者は、その届け出た事項に変更があったときは、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該届出を行った厚生労働大臣、都道府県知事又は市町村長(以下この節において「厚生労働大臣等」という。)に届け出なければならない。
前項の規定により届出を行った介護サービス事業者は、その届け出た事項に変更があったときは、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該届出を行った厚生労働大臣、都道府県知事又は市町村長(以下この節において「厚生労働大臣等」という。)に届け出なければならない。
規則第140条の40第2項 介護サービス事業者は、前項の規定により届け出た事項に変更があったときは、遅滞なく、当該変更に係る事項について、法第115条の32第2項各号に掲げる区分に応じ、厚生労働大臣等に届け出なければならない。
次に、事業所数に増減があった場合です。
法第115条の32第4項
第2項の規定による届出を行った介護サービス事業者は、同項各号に掲げる区分の変更により、同項の規定により当該届出を行った厚生労働大臣等以外の厚生労働大臣等に届出を行うときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を当該届出を行った厚生労働大臣等にも届け出なければならない。
第2項の規定による届出を行った介護サービス事業者は、同項各号に掲げる区分の変更により、同項の規定により当該届出を行った厚生労働大臣等以外の厚生労働大臣等に届出を行うときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を当該届出を行った厚生労働大臣等にも届け出なければならない。
規則第140条の40第3項 介護サービス事業者は、法第115条の32第2項各号に掲げる区分に変更があったときは、変更後の届出書を、変更後の区分により届け出るべき厚生労働大臣等及び変更前の区分により届け出るべき厚生労働大臣等の双方に届け出なければならない。
ということで、たとえば、神奈川県だけに事業所があった法人が東京都でも指定を受けたときは、神奈川県と国の両方に届出が必要となります。
(それ以降の届出については、国にのみ提出でOK。)
(それ以降の届出については、国にのみ提出でOK。)
なお、事業所の数の増減があっても、たとえば同一の都道府県内での増加で、20とか100とかの区分に関係ない場合には、これまで書いてきた規定に該当しないので、届出は不要です。
ところで、法令遵守責任者の権限や責任については、法令上、具体的には書かれていません。
通知レベルでも、「介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律等の施行について」(平成21年3月30日付け老発第0330076号)で、
・法令遵守責任者については、何らかの資格等を求めるものではないが、少なくとも介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)及び法に基づく命令の内容に精通した法務担当の責任者を選任することを想定していること。
・また、法務部門を設置していない事業者の場合には、事業者内部の法令遵守を確保することができる者を選任すること。
・なお、代表者自身が法令遵守責任者となることを妨げるものではないこと。
・また、法務部門を設置していない事業者の場合には、事業者内部の法令遵守を確保することができる者を選任すること。
・なお、代表者自身が法令遵守責任者となることを妨げるものではないこと。
程度のことが書かれているだけです。