経団連「選択的夫婦別姓制度」導入を求める提言まとめる 今年に入り政府への働きかけ強める
TBS NEWS DIG Powered by JNN 6/10(月) 14:32配信
経団連が初めて選択的夫婦別姓制度の導入を求める提言をまとめました。経団連は、今年2月に初めて会長が制度導入に明確に賛成するなど、制度導入に向け政府への働きかけを強めています。
現在、日本では、夫の姓、妻の姓のいずれも選ぶことが可能ですが、95%の夫婦では妻が改姓をしています。
きょう経団連がまとめた提言では、▼「夫・妻各々が、希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗れる制度の早期実現を求めたい」とした上で、▼「政府が一刻も早く改正法案を提出し、国会において建設的な議論が行われることを期待」すると政府に対して求めています。
また、ビジネスの場で主に女性の「旧姓使用」が一般化してきている一方、海外での仕事でパスポートの名前が異なり、「旧姓」を証明する公的な身分証明書がないことで支障が出るなど様々な課題があると指摘しています。
加えて、調査の中では、▼「旧姓の通称使用」が可能な場合でも、88%の女性役員が「何かしら不便さ・不都合、不利益が生じると思う」と回答したということです。
経団連は、ビジネス上でも女性の進出が進む中、「姓名は、性別にかかわらず、その人格を示すものでありキャリアそのもの」だとして、担当者は「今までは個人の問題、価値観の問題として片付けられてきたが、発生している問題を考えると、今は、制度がないことがビジネス上のリスクである」と指摘しています。
経団連は近く政府に提言を申し入れる見込みです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/59c086f6880299dc083a667ef17a86d92b4f4647
結婚で一方の名字選択強制の法律改正を…経団連が提言
日テレNEWS NNN 6/10(月) 14:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/05e676dfa580ebbd879e59114ce3f04465c76290
この日テレの報道から追加すると、
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経団連の調査では、91%の企業が旧姓を通称として使用することを認めています。
しかし、登記や特許申請は通称だけではできない他、社員の税や社会保障などの手続きには戸籍上の姓との照合が必要となります。
経団連は「姓名は、職業人にとっては、社内外の実績や信用、人脈などが紐づく、キャリアそのもので、夫婦同姓を強いる制度は「企業経営の視点からも無視できない重大な課題」だとしています。
法務省のHPによりますと、結婚の際に夫婦同姓を強制しているのは日本だけで、また、日本は、国連の女性差別撤廃委員会から夫婦同姓の強制を廃止するよう勧告されています。
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経団連とは意見が合うことばかりではありませんが(合わないことは、けっこう目につく)、この提言には賛成です。
経営陣や、そうでなくてもそれまでのキャリアの知名度や人脈を活かして活躍する人材にとっては、改姓によりそれらの財産を失うか「目減りする」か、という危険があります。
経営者側、あるいは庶務担当者の視点からも面倒でしょう。
つまり、(戸籍上は配偶者の姓に変更した場合の)旧姓使用にしても、余分な事務コストが増えるということで。
同姓強要が違憲かどうかは、今後も(おそらく選択別姓が認められるまで)裁判が起こされ続けるでしょうが、法改正してしまえば、そういう裁判に関する社会的コストも不要になります。
同姓強要は違憲ではない、というのが現時点までの最高裁判事の多数意見ですが、選択別姓制度が違憲とされたわけではないことにも留意すべきです。