反ワク団体・名誉棄損訴訟に敗訴

反ワクチン団体「神真都Q会」の名誉毀損訴訟、読売新聞大阪本社などへの賠償請求棄却…大阪地裁
読売新聞 2024/02/26 23:20

 過激な行動を起こす団体と報じられ、名誉を傷つけられたとして、反ワクチン団体「 神真都(やまと)Q会」が読売新聞大阪本社と原田隆之・筑波大教授に200万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁(宮崎朋紀裁判長)は26日、請求を棄却する判決を言い渡した。

 記事は2022年12月19日付。同会メンバーによる新型コロナウイルスのワクチン接種会場への侵入事件に触れた上で、陰謀論と過激化との関係や防止策などの研究を急がなければならないとする原田教授の談話を掲載した。

 判決は記事について、陰謀論者の暴力的行動が世界的に懸念される中、日本でも同種の陰謀論が広がり、過激化の兆候がみられるとの事実を報じたもので、公共性や公益性が認められると指摘。メンバーら十数人以上が無断で接種会場に侵入したことは真実だとし、談話は「論評としての域を逸脱したものとはいえない」と結論づけた。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240226-OYT1T50182/

 


原告側が控訴するかどうかわからないので、まだ確定した判決ではありません。
それはそれとして、訴訟の対象となっている読売記事を調べてみました。

 


海外や日本で過激化する「陰謀論」信者…ドイツで政府転覆計画、日本でも影響広がる
2022/12/19 09:48 (「虚実のはざま」というシリーズです。)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20221219-OYT1T50053/

<以下抜粋>

 同種(引用者注:ドイツで拘束された「Qアノン」のこと)の陰謀論はネットを介して日本にも広がっており、影響された人が過激化する兆候が見られる。

 Qアノンの日本支部を自称する「 神真都やまと Q会」は「コロナは存在しない」と主張。メンバーが今年3~4月、ワクチン接種を妨害しようとクリニックなどに侵入して逮捕される事件が起きている。

 なぜ陰謀論を信じた人が過激化するのか、どう対処すべきなのか識者に聞いた。

善悪二元論、危うさ…宗教学者・辻隆太朗氏
(辻氏は訴訟の対象となっていないので略)

防止策の研究急げ…筑波大教授(臨床心理学)・原田隆之氏

 陰謀論は、不確実で不安を喚起させる問題の原因を、根拠もなく特定の集団の責任にする思考だ。対象を「非人間化」「悪魔化」して見る場合があり、それが過激化の要因とみている。

 その思い込みが強まると、「打倒しなければならない」という義務感が芽生え、「正義のためには手段を選んではいられない」と考えてしまう。多くの人は暴力に対する抵抗感を持っているが、こうした思考プロセスが抵抗感を弱める働きをすると考えている。

 現在はSNSで陰謀論を信じる人たちがつながりやすくなった。日本で「神真都Q会」が賛同者を急速に増やし、接種会場に押し入るような過激な行動を起こすとは、誰も予想できなかったのではないか。SNSは極端な主張が増幅される特性がある。「社会から排除されている」という被害意識を持つ人が増えれば、海外のような事件が起きる可能性はある。

 日本では陰謀論と過激化との関係や防止策などの知見はほとんどなく、研究を急がなければならない。
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地裁判決のとおり、記事は事実を報じたもの、原田氏の談話は「論評としての域を逸脱したものとはいえない」と私も思いました。
そもそも、この名誉棄損訴訟、勝てる可能性があると判断して提起したのでしょうか?
まともな弁護士なら、相談されたとしても「やめた方がよい」と助言するような気がしますが。

まあ、オーム真理教にも弁護士幹部がいましたし、本件団体のメンバー中にも民事訴訟に詳しい(と自分で考えている)人物がいたのかもしれませんが。