「葬送のフリーレン」雑感

『葬送のフリーレン』に困惑? 実は世代間ギャップで伝わらない「エルフ」「ドワーフ」の概念
マグミクス 10/20(金) 20:10配信

「エルフ」「ドワーフ」は一般教養じゃない?

 現在、大きな注目を集めているアニメ『葬送のフリーレン』は、舞台であるファンタジー世界をめぐって「意外な反応」が生じていました。ある世代の視聴者は「エルフ」や「ドワーフ」といった種族を知らず、困惑してしまったというのです。

 同作は、勇者たちによって魔王が討伐された世界の「その後」を舞台とした後日譚ファンタジーであり、勇者一行の魔法使いであるフリーレンが「人を知るため」の旅に出るところから物語が展開します。作中には魔法を得意とするエルフや、強靱な肉体を持つドワーフといった種族が登場しており、フリーレンも1000年以上生きるエルフ族という設定です。

 そんな同作の1話目は、2023年9月29日の『金曜ロードショー』初回2時間スペシャルとして放送され、平均世帯視聴率6.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という数字を叩き出しました。また個人視聴率に関しては、翌30日に放送されたアニメ『名探偵コナン』を上回っていたほどで、注目度の高さがうかがえます。

 多くの人の目に触れたこともあり、同作の人気はアニメファン以外にも波及しているようですが、その結果として「エルフやドワーフを知らない人びと」の存在が浮き彫りとなりました。

 アニメやマンガ、小説などのファンタジー好きにとって、「エルフ」や「ドワーフ」は常識レベルの知識といえるでしょう。いずれも、作品によって若干その設定は異なるところが見られるものの、おおむね「人間、あるいは亜人(デミ・ヒューマン)、あるいはそれに近しい部類(妖精など)にカテゴライズされる」「言語を持ち文化的生活を営む」「普通の人間よりはるかに長寿」などといった点が不文律(お約束)となっています。『葬送のフリーレン』でもまったく説明がないわけではありませんが、ナレーションで若干触れられただけで、「知っていて当たり前の存在」という扱いでした。

 意外なギャップが生まれてしまったことで、ネット上では「ファンタジーに馴染んでいるとエルフとか当たり前の知識に思っちゃうけど、知らない人は知らないんだわ」「変な意味抜きでオタク文化に触れずにいたらドワーフって一般教養じゃないんだな」と驚く声も挙がっています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8f0c541b15b9886ce8a1d21f2de4858f49a76a5f

 


以下、2001年公開の映画『ロード・オブ・ザ・リング』、その原作のイギリスのJ・R・R・トールキンによる長編小説『指輪物語』、和製ファンタジー小説の金字塔『ロードス島戦記』などと話が続き、人気ゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズでも、あまり頻度は高くないものの、しばしば登場の機会が与えられていたこと、近年では異世界転生ブームが続いており、若い世代にとってはファンタジー作品が一層、身近なものとなっていること、等が書かれています。

 

もはや「若い世代」とは言い難い私については、エルフの方がドワーフよりはなじみがある、ぐらいのところでしょうか。
ただし、その両種族も、敵役としての魔族も、作品によって微妙に、あるいはそこそこ設定が異なる場合があります。
もとはゲルマン神話北欧神話などと呼ばれる世界に由来するもので、エルフは長寿(または不死に近い)、美形、魔法などと、ドワーフは背が低い(または小人)、特殊な技能、頑丈な身体、エルフほどではないにしても長生き、などの属性に縁があります。

まあ、若い頃に読んだ某SF作家の作品で、いきなりラジェンドラ人とかアディアプトロン人とか(ほぼ)説明なしで登場してきた記憶を持つ私としては、ドワーフを知っていなくても本シリーズは楽しめるとは思いますが。
私も金曜ロードショーで見てから、数週間を経ないうちに、原作コミックス11巻まで読み進めてしまいました。

 

ちょっとだけ補足しておくと、このフリーレンの世界では、「人間」はエルフやドワーフを含まない、数十年からせいぜい百年前後の寿命しか持たない種族のことを指し、「人類」というときには、エルフやドワーフを含めた大きなくくりで、魔族とは異なる一団として使われているようです。
人間の女性とドワーフの男性との結婚例は出てくるので、生物学的には「亜種」ぐらいの距離感かな、と思いますが、エルフを含めてこの「人類」三者間で子孫が残せるかどうかは、今のところは触れられていません。

 

一方、魔族は人類と同じ言葉はしゃべるものの、別の系統で進化した生き物のようです。
その点、たとえば『鬼滅の刃』のように人間の一部が敵役(鬼)に変化した作品世界とは異なります。

 

あと、これは個人的感想ですが、フリーレンの掲載誌である「週刊少年サンデー」など小学館の雑誌で活躍している高橋留美子さんの諸作品と、共通する匂いのようなものは感じます。
特にフェルン(主人公・フリーレンの弟子)のような若い女性キャラの感情描写などですね。
フリーレンの、もっと明確な『うる星やつら』登場人物のオマージュ的なセリフもありますが。