「戦況をエスカレートさせる」とは

北朝鮮・金与正氏 米国によるウクライナへの主力戦車供与「強く糾弾」
TBS NEWS DIG Powered by JNN 1/28(土) 3:52配信

北朝鮮金正恩総書記の妹で朝鮮労働党副部長の与正氏はアメリカによるウクライナへの主力戦車の供与発表について「戦況をエスカレートさせる行為で強く糾弾する」などとする談話を発表しました。

朝鮮中央通信によりますと、金与正氏は27日に発表した談話で、アメリカは戦車供与を表明したことで「反ロシアの立場をより明白にした」と指摘。「ウクライナに地上攻撃用装備を送り込むことで戦況をエスカレートさせている」とし、「強く糾弾する」と強調しました。

また、与正氏はアメリカについて「地域情勢を険悪な域に追い込んだ張本人」で、「ロシアを破滅させるための代理戦争を一層拡大して、自分らの覇権的目的を達成しようとしている」と非難しています。

その上で、欧米側が供与する軍事装備について「英雄的なロシア軍と人民の不屈の戦闘精神と威力の前では残らず燃えてしまい、くず鉄の山になる」と主張しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9d76e5ee6f3774c333766833b10fc1ec5af2b761

 


「西側諸国からの武器・兵器のウクライナへの供与は、戦況をエスカレートさせる」
と、しばしばロシア寄りの立場から発言する人はあります。
これはどういう意味でしょうか?

プーチン大統領は、「停戦を拒否しているのはウクライナだ」と主張しながらも
「ロシアが侵攻して(ロシア国内の手続きにおいて)ロシア領に編入した地域をロシア領と認めることが停戦交渉の前提
とも宣言しています。

 

では、北朝鮮や、日本維新の会鈴木宗男参議院議員(あ、北朝鮮鈴木宗男氏って同じような主張なのか)が主張するように、仮に西側諸国からの軍事支援がなくなり、ウクライナが(ロシアが前提とする条件で)停戦交渉に応じたとします(実際には、西側諸国からの支援がなくなったとしても、ウクライナが降伏同様の停戦に応じるかどうかはわかりませんが)。


そうなると、クリミアはもちろん、ウクライナの東部から南部にかけてはロシア領となり、その領域に居住しているウクライナ人たちは、ロシアの圧政下に取り残されます。
第二次世界大戦後のソ連領の拡張では、たとえば各国からソ連が奪った地域に住んでいた人々は、たいてい本国に移住することが認められたと思いますが、人口減に悩む今のロシアは、それを認めないでしょう。)


それだけではなく、当該地域のウクライナ人を厳しく追及し、ウクライナ軍に協力し(これはウクライナ国民なら当然のことですが)「反露活動を行った」とみなした人々は、少なくとも公正な裁判を受けずに罰せられる(投獄または殺害)ことでしょう。

また、ロシア軍が誘拐した子どもたち、拉致された大人たちも、無事に返されることは期待できません。

 

ということを前提に、鈴木宗男氏の1月26日のブログを見てみましょう。


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 ドイツがドイツ製戦車「レオパルト2」をウクライナに14両供与することを決定した。

 アメリカも米戦車「エイブラムス」を供与するとバイデン大統領は発表した。

 欧米がこうした武器を供与することにより、一つ間違いなく言えることは、戦争が長引き、犠牲者が増えることである。その犠牲者は、子供、女性、お年寄りが一番被害に遭うのである。
(中略)
 昨日、日印協会の会合で森喜朗元総理は「ロシアは敗けることはない」と述べたと報道されている。私も国力から見てロシアが負けることはないと考える

 ロシアのプーチン大統領は18日「オブオフ工場」の従業員との対話で「皆さんが生産している防空ミサイルは、米国で生産されているミサイルの1年に3倍以上の数を生産しています。そして、全体として、わが国の「防衛産業」は、様々な目的の防空ミサイルを世界のすべての軍産複合体が生産するのと同じくらい生産しています。生産量は世界と比較して肩を並べることができます。だから、私たちは頼るべきものがあるのです。そして、これらはすべて、私たちが勝つという確信を与えるものでしかないのです」と述べている。
(以下略)
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やあ、なかなか興味深いですね。
国力というのはいろいろな見方がありますが、たとえば名目GDP(2021年IMF統計)では、ロシアは第11位、韓国のちょっと下ぐらいです。
米中日独英印仏伊加韓が上位10か国。
https://www.globalnote.jp/post-1409.html

 

核兵器だけは大量に持っていますから、注意は必要ですが。

 

戦況をエスカレートさせているのは、民間人殺しのロシアの方だと私は思います。