パブコメの意見を送る理由

パブリックコメントなんて、広く関係者の意見を聴く機会を設けたという、国のアリバイ作りに過ぎないのだから、そのようなものに意見投稿するような無駄な時間をつくらないようにしてほしい。」
と書いている人がいますが、そういうご意見についての私の考え方です。

 

まず、基本的には、↓この記事に書いたことがベースになります。

 

パブコメの意見は無駄か?
https://jukeizukoubou.blog.fc2.com/blog-entry-2671.html

 

そのうえで、もう少し詳しく書くと、


前記事で言えば赤っぽい色の見出し部分
1 基準案の割合(100分の70、100分の60)は低すぎる
これについては、パブコメで何を書いても覆る可能性は、ほぼないでしょう。

 

一方、青色の見出し部分
2 原案の割合どおりに実施する場合
こちらについては、特に質問的な形で書いたものについては、パブコメ結果発表や留意事項通知、Q&Aなどで考え方が示されることがあります。
すぐには反応がなくても、後になって追加のQ&Aが出る場合もあります。

 

ところで、パブコメに送った意見によって、制度が、少なくともすぐに変わらなかったとしたら、それは無駄なことなのでしょうか?


私はそうは思いません。


意見を送るためには、まず、国が示した案を読み込む必要があります。
さらに、それを分析し、自分の意見をまとめ、文章にする。
それらの過程は、「業界の人間」(介護保険サービス事業者や関係行政、あるいは利用者の家族など)にとっては、新制度を理解するために助けになるでしょうし、「業界以外の人間」にとっても、頭の体操、認知症予防ぐらいにはなるでしょう。

 

私の場合は、ブログネタにもなります。
「こういう意見を送ります(または送りました)」というところで1回記事になり、
国が結果発表した段階で「やっぱり俺の意見にはマトモに回答する能力がなかったな」という記事を書くので、2回は使えます。
それを意味があると考えるか、ないと考えるかは、その人次第でしょう。

 

さらに、蛇足。

「あきらめたらそこで試合終了ですよ」

 

スラムダンク」の安西先生の言葉です。

 

「平均身長が何センチも違うから、とても世界では勝てないだろう」とあきらめていたなら、東京五輪での女子バスケットチームの銀メダルはなかったでしょう。
身長162cmの町田瑠唯選手がオールスターファイブに選ばれることもなかったでしょう。

 

もうひとつ。

今の日本では、国の方針と異なる意見を送ったからといって、個人が処分されることはありません。
ベラルーシや、ミャンマーや、香港(に限らず中国共産党が実質的に支配する国と地域)などとは違うのです。
こういう自由な意見表明ができない場所で戦っている人たちのことを考えると、
(もちろん自分が意見を送らないという選択をすることは、その人の自由ですが)
パブコメを送っても変わらないから、意見投稿するような無駄な時間をつくらないように」
などと他人に働きかけるような行為は、私なら恥ずかしくてできません。

 

「投票しても政治は変わらないから、投票所に行くのは無駄」って言うのは(特に政治行動の自由がない国のことを考えると)恥ずかしいですよね?

 

まあ、羞恥心の感じ方は、個人によって差があるので、恥ずかしく感じない人を批判するつもりはありません。
私がパブコメに意見提出する理由を書いているだけなので。