学生時代を思い出しながら

○○さん、お元気ですか。
もうずっと、年賀状だけのおつきあいが続いていますね。

 

私たちが卒業した大学は大阪市内にありましたが、関西のいろいろな地域から通学していました。
西では、たぶん兵庫県姫路市ぐらいからは通えていたと思いますが、はっきり憶えているのは明石市から通学していた子でした。でも、大阪に近い西宮市の子が、途中から実家を離れて下宿するようになったような例もあります。
北では、滋賀県草津市から通学していた子がいました。間に京都府があるので、二重の府県またぎということになります。
東では、三重県名張市など伊賀地方から通学しいた子がいました。これも奈良県をはさんだ二重の府県またぎで、通学が大変なのか、同じ伊賀地方でも実家を離れて大阪に下宿している子もいました。
南では、和歌山県海南市から通学していた子がいました。これまた途中から大阪に下宿するようになりました。
でも、当時の海南市の南隣、当時の下津町から通学していた子もいました。今は両市町は合併し、全体が海南市になっていますね。
私はこういう人たちよりもずっと遠方の出身だったから、下宿せざるを得なかったのですが。

 

さて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関連して、全国知事会が8月2日に「都道府県境を越える移動の抑制に係る意見」を内閣総理大臣に出しました。
以下、一部抜粋します。

 

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1.都道府県境をまたぐ旅行・移動の原則中止・延期
 デルタ株をはじめとした感染力の強いとされるウイルスが、都道府県境を越える往来により感染状況の厳しい地域から全国へ拡散していくことを防ぐため、帰省や旅行等の人の移動が活発になるお盆を含む夏休み期間における都道府県境を越えた往来について、感染拡大防止の観点から本年は慎重に実施するか否かを検討するよう国民に対して求め、可能な限り往来を中止又は延期するよう政府として強く呼びかけること。併せて、やむを得ない事情により都道府県境を越える往来をする場合には、感染拡大防止のための十分な対策を行うよう求めること。なお、全国知事会としても、以上の趣旨を国民に対し呼びかけることとしたところである。
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もし、私たちが学生の頃に、同様の感染症が蔓延していたら、どうなっていたでしょう。
オンライン授業などというようなものは、ほとんど夢のような話で、いきなり休校になっていたかもしれません。
そうでなく、授業は対面で行っていた場合、仮に都道府県境を越えた移動を自粛するとして、自宅からの通学は可、自宅外学生の帰省は不可、というような風潮になっていたかもしれません。
そうなると、兵庫県明石市滋賀県草津市三重県名張市和歌山県下津町からの通学は可能だが、それより大阪市に近い兵庫県西宮市や和歌山県海南市への帰省は自粛するように、というような、おかしげなことになっていたかもしれません。

 

だいたい、都道府県境は、通勤や通学といった生活圏とは一致していないことが多いので、「都道府県境をまたぐ」という条件だけで移動の可否を決めるのは無理があります。
下手に都道府県境で移動を制限すると、肝心の新型コロナウイルス担当の医療従事者が通勤できなくなる場合もあるのです。保健所職員も同様かもしれません。

 

ちなみに、朝日新聞社などが主催する夏の甲子園野球大会は、一般客は入れないにしても、実施予定だそうです。都道府県境をまたぐ移動が駄目なら、兵庫県代表の神戸国際大付属高校しか出場できないことになるのですが、知事会も政府も言及しないみたいですね。
それから、大阪市の松井市長も、大阪府の吉村知事も、それぞれ私立や府立の学校は修学旅行を実施するようです。


念のため。私は甲子園や修学旅行に反対という意味で書いているのではありません。「帰省の原則中止・延期」という知事会の意見とのバランスの面で疑問を感じているのです。これにオリンピックやパラリンピックも含めて、ネット上などで意見を発信している人たちもいますよね。

「延期」といっても、昨年(2020年)の春の連休の頃から、帰省の自粛呼びかけは始まっているのです。
その後、感染が下火になりかけた時期はありましたが、全国旅行業協会会長でもある自民党幹事長の圧力でもあったのか、ゴウトウなんとかという事業が始まり、次の帰省シーズン(盆、年末年始、ゴールデンウイークなど)までには感染拡大、というパターンが続いている感があります。

 

自民党というのは、夫婦選択別姓とか女系天皇とかには「日本の伝統に反する」などと猛反対するグループがあるのに、帰省や墓参という明確な日本の伝統は軽く見ているのではないでしょうか。

「帰省」という言葉がまずいのかもしれません。けっして不要不急ではないのですが。
何か別の理由を考えましょうか。


そうですね。
「政治活動」を理由にしましょう。政治活動のために都道府県境を越える移動をしている政治家は多いですから。
「次の総選挙で自公には投票しない運動」というのは、いかがでしょうか。
手書きでもいいからビラを作り、コンビニなどでコピーして、それを実家や知人に配布するというのは、政治活動ですよね。
候補者名などを書かなければ、公選法に引っかかる恐れはないと思いますが、内容によるかもしれないので、実施するとすれば検討は必要かもしれません。
別に、「自公」の代わりに野党名を書いてもいいし、もっと抽象的に、「知事会や政府は帰省を認めよ」というようなスローガンでもいいと思います。

蛇足ですが、実家に立ち寄る場合には、実家のご家族のワクチン接種状況や、一般的な感染症対策については留意する必要がありますね。

 

こんなことを考えるのも、私の父が、今でいう基礎疾患を持っていて、手術も受けていて、もし昨年の夏休み頃のような状況なら帰省を断念していたと思われるからです。
でも、いくら成功したとはいえ、手術を受けた家族に1年も会わないままでいるのも辛いですよね。
当時の父親は65歳には達していなかったけれど、基礎疾患該当ということでおそらくワクチンは接種しているだろうから、それなりの対策をしたうえで、今夏は帰省しようとするんじゃないかな。

だから、知事会の意見とやらには、よけいに怒りを感じるのかもしれません。

 

ながながと、勝手なことを書いてきました。

早く感染状況が収まり、いつかまた、みなさんとお話しできる日が来ることを楽しみにしています。