緊急事態宣言の修正とワクチンのこと

「専門家のクーデターだ」担当職員が恨み節 コロナ対策、迷走の政府
西日本新聞 5/15(土) 11:00配信

 14日、政府の新型コロナウイルス対応方針は専門家からの強烈な「駄目出し」を食らい、初めて急転換した。結果として、菅義偉首相はより強い緊急事態宣言の拡充を選択したものの、感染力の強い変異株を主要因とする「第4波」は国内を覆おうとしている。ギアの切り替えが「遅きに失した」との批判は容易には拭えそうにない。 (東京支社取材班)

 午前7時に始まった政府の基本的対処方針分科会は冒頭、西村康稔経済再生担当相がまん延防止等重点措置のみの追加適用を諮問し、合意を得ようとした。

 ところが、厚生労働省の助言機関にも名を連ねる分科会メンバーから異論が噴き出す。12日公表されたばかりの助言機関の感染分析も踏まえ、特に北海道を巡って「医療の窮状は看過できないレベルだ」「大型連休中に、感染が札幌市から全道に染み出してしまっている」。新規感染者数の前週比率などが、緊急事態宣言の出ている関西と同じ傾向と評価された岡山、広島両県の取り扱いも一緒にテーブルに載せられ、部屋は「宣言を」のムードに支配された。

 約1時間後。閣議出席のため、一時退席した西村氏の表情は険しかった。閣議終了後、首相に向き合い「専門家は納得しそうにありません」と3道県に対する宣言発出を進言。首相も「分かった。専門家の意見を尊重する」と応じた。

 関係者によると、西村氏は前日夕の関係閣僚会合でも首相に「もはや、宣言レベルです」と訴えていたという。この時は、首相が「いや、重点措置だ。北海道も(重点措置を)始めたばかりじゃないか」と受け入れず、議論は1時間を超えて続いた。最後は「(14日の)専門家の声によっては再考する」ことを確認し、重点措置のみの当初諮問案でようやく折り合っていた。

 そして、その通りの展開に―。専門家の「総意」は、政府サイドの予想のはるか上を行く強硬さだった。
(以下略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/86038d14c601f0ae3b43f40be69835fa105ddbaf


いろいろ考え方はあると思いますが、政府の考え方が甘いところがあって、専門家の意見でそれを修正することができたのなら、それはそれでよかったと思います。
政府の方針に対して専門家が異を唱えることも、政府の責任者がそれを尊重することも、たとえば独裁国家ではあり得ないでしょうから。

西村氏たちは冷や汗をかいたどころではなかったでしょうが、制度としては機能していた、ということかと。

問題は、緊急事態宣言の適用が決まってから、実際に運用されるまで時間がなかったこと。


自民議員から「金曜の宣言決定やめて」 土日返上に苦情
朝日新聞デジタル 5/15(土) 6:34配信

 金曜日に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を決めるのはやめてほしい――。14日の参院議院運営委員会では、自民党議員からこんな要望が出た。適用対象となった地域の事業者は、土日を返上して対応に追われることになり、苦情が届いているという。
(以下略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/4129b99557cb6070cac7d5dbbfcbd866459f6260


そうでしょうね。自治体も大変ですが、事業者は従業員や取引先等にどう連絡するか、ということもありますし。

介護報酬や障害福祉サービスの報酬改定で、年度末ぎりぎりに通知が出たり、4月になってから重要なQ&Aが出たりしていますが、それを上回る破壊力という感じです。

 


ついでに自治体の長のワクチン接種のこと。

いろいろ批判があって、いろいろ言い訳があって、理解を示す住民の声もあって、というところですが、新型コロナウイルスのワクチン接種については、キャンセルが出て廃棄するぐらいなら、首長だろうが現場のスタッフだろうが誰だろうが、打てる人がいれば打つべきでしょう。

公平性や妥当性の検証は、ワクチン接種が進んでからでもよいから、今はとにかく未接種者を減らすこと。

 

オリンピックやパラリンピックの参加予定者のワクチンも、一般住民のワクチン接種に支障が出ないのなら、IOC提供分を希望者に打っていけばよいと思います。

(パラアスリートの中には、基礎疾患を持つ人がいることにも留意。)
開催が中止になったとしても、未接種者が減るという効果は、確実に残りますから。