特措法と感染症法の改正3

これまで、問題点の指摘を中心に書いてきましたが、特措法の改正には、実は重要な規定(というか理念というべきかも含んでいます。

 

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(知識の普及等)
十三条 国及び地方公共団体は、新型インフルエンザ等の予防及びまん延の防止に関する知識を普及するとともに、新型インフルエンザ等対策の重要性について国民の理解と関心を深めるため、国民に対する啓発に努めなければならない。


2 国及び地方公共団体は、新型インフルエンザ等対策を実施するに当たっては、新型インフルエンザ等に起因する差別的取扱い等(次に掲げる行為をいい、以下この項において「差別的取扱い等」という。)及び他人に対して差別的取扱い等をすることを要求し、依頼し、又は唆す行為が行われるおそれが高いことを考慮して、新型インフルエンザ等の患者及び医療従事者並びにこれらの者の家族その他のこれらの者と同一の集団に属する者(以下この項において「新型インフルエンザ等患者等」という。)の人権が尊重され、及び何人も差別的取扱い等を受けることのないようにするため、新型インフルエンザ等患者等に対する差別的取扱い等の実態の把握、新型インフルエンザ等患者等に対する相談支援並びに新型インフルエンザ等に関する情報の収集、整理、分析及び提供並びに広報その他の啓発活動を行うものとする。
 一 新型インフルエンザ等患者等であること又は新型インフルエンザ等患者等であったことを理由とする不当な差別的取扱い
 二 新型インフルエンザ等患者等の名誉又は信用を毀損する行為
 三 前二号に掲げるもののほか、新型インフルエンザ等患者等の権利利益を侵害する行為

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太字にしている第2項が、今回追加された条文です。

 

 一 新型インフルエンザ等患者等であること又は新型インフルエンザ等患者等であったことを理由とする不当な差別的取扱い
 二 新型インフルエンザ等患者等の名誉又は信用を毀損する行為
 三 前二号に掲げるもののほか、新型インフルエンザ等患者等の権利利益を侵害する行為

 

こういうことは、本来はあってはいけないことです。

だから、知識の普及啓発も大事なのですが・・・

 

新型インフルエンザ等患者(この中には新型コロナウイルス感染症患者も入ります)やその家族等を不当に差別しないことはもちろんですが、対応している医療従事者やその家族などを中傷したり、濃厚接触者ではないのに(保健所が危ないとは判断していないのに)子どもの保育所への通園を拒否したり、といったアホな事例も報道されています。

罰則をつけるのなら、こういう行為を禁止する規定も追加したらよかったんじゃないかな、と思う今日この頃です。