中国と周辺の歴史6

その漆 仮まとめ

 

 昨今、問題になっている中国の周辺について、駆け足ですが歴史的に見ていきました。

 

・香港やマカオは歴史的に中国の一部であるが、「一国二制度」は守られるべきである。
チベットは、中国の中央政権の支配下ではない歴史の方が長い。少なくとも高度な自治が認められるべきである。
新疆ウイグル自治区内モンゴル自治区など、中央アジアから北アジアにかけては、漢民族を含めて多くの民族が活動してきた。区分は困難で中国中央の政権が支配するにしても、民族の言語教育など一定の自治権は保障されるべきである。
・現在の中国の領有権の主張は、清の最大版図を基準にしている面が強い。清の皇帝を出した女真系の満洲民族は漢民族にかなり同化し、また人権上問題となる迫害も現時点では認められていない。が、国や民族の領有権は、過去の最大版図により当然に認められるものではない。インド方面など実力行使により一方的に現状変更しようとするのではなく、国際法上認められる形で関係国と協議していく姿勢が必要ではないか。
・海洋方面についての中国の領有権主張は、国際法上の根拠がない。これについては、台湾(中華民国)の主張も同様。

 

 まあ、簡単にいうと、こんなところでしょうか。


 個人的には、英国がアヘン戦争や香港植民地化など悪行を尽くしていた頃の感覚を、現在の中国政府も引きずっているような気がします。つまり、大国、強国は何をしてもよい、というような。
 そういう時代は、少なくとも大日本帝国なるものが敗戦したときには終了したか、少なくとも終了する方向になった、と思っていたのですが・・・。悪い見本は真似してほしくないものです。

 

 蛇足ですが、香港の「一国二制度」について。
 英中共同宣言に反する、という英国などの批判について、中国政府は「内政干渉である」と反発しています。しかし、同宣言の「一国二制度」の保障については、英国とに約束というだけでなく、中国返還に不安を感じていた香港市民に対する約束としての効果もあったはずです。
 また、香港での「一国二制度」が、本当に50年続いていたら、ひょっとしたら台湾での反中感情も変わっていた可能性があります。50年経過しなくても、言論などの自由が続いている状態の香港を見続けていれば、「一国二制度」による中台統一を、少しは現実的に受け入れ可能かもしれないと考える台湾住民が増えたかもしれません。鄧小平氏あたりは、そういう可能性も考えていたのではないかと私は思います。
 香港の「一国二制度」の事実上の崩壊で、その可能性は皆無となりました。
 善悪は別にして、現在の中国トップは、鄧小平氏らには政治能力的に及ばないように思います。

 

 中国というのは、さすがに歴史的大国だけあって、いろいろ書きだしたらいくらでも続きそうですが、別のテーマで記事にしたいこともあり、このあたりで終了します。