福祉用具貸与費(2) 軽度者の利用制限と例外

 4 要介護状態区分が要介護1である者に対して、厚生労働大臣が定める福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与に係る福祉用具の種目(平成11年厚生省告示第93号)第1項に規定する車いす、同告示第2項に規定する車いす付属品、同告示第3項に規定する特殊寝台、同告示第4項に規定する特殊寝台付属品、同告示第5項に規定する床ずれ防止用具、同告示第6項に規定する体位変換器、同告示第11項に規定する認知症老人徘徊感知機器及び同告示第12項に規定する移動用リフトに係る指定福祉用具貸与を行った場合は、福祉用具貸与費は算定しない。ただし、別に厚生労働大臣が定める者に対する場合については、この限りでない。

【H12告示23】

二十一 指定居宅サービス介護給付費単位数表の福祉用具貸与費の注4の厚生労働大臣が定める者
 イ 次に掲げる福祉用具の種類に応じ、それぞれ次に掲げる者
 (1)車いす及び車いす付属品 次のいずれかに該当する者
  (一)日常的に歩行が困難な者
  (二)日常生活範囲において移動の支援が特に必要と認められる者
 (2)特殊寝台及び特殊寝台付属品 次のいずれかに該当する者
  (一)日常的に起きあがりが困難な者
  (二)日常的に寝返りが困難な者
 (3)床ずれ防止用具及び体位変換器 日常的に寝返りが困難な者
 (4)認知症老人徘徊はいかい感知機器 次のいずれにも該当する者
  (一)意思の伝達、介護を行う者への反応、記憶又は理解に支障がある者
  (二)移動において全介助を必要としない者
 (5)移動用リフト(つり具の部分を除く。) 次のいずれかに該当する者
  (一)日常的に立ち上がりが困難な者
  (二)移乗が一部介助又は全介助を必要とする者
  (三)生活環境において段差の解消が必要と認められる者

【H12老企36】

(2)要介護1の者に係る指定福祉用具貸与費

 [1] 算定の可否の判断基準
  要介護一の者(以下(2)において「軽度者」という。)に係る指定福祉用具貸与費については、その状態像から見て使用が想定しにくい「車いす」、「車いす付属品」、「特殊寝台」、「特殊寝台付属品」、「床ずれ防止用具」、「体位変換器」、「認知症老人徘徊感知機器」及び「移動用リフト(つり具の部分を除く。)」(以下「対象外種目」という。)に対しては、原則として算定できない。しかしながら第二十三号告示第二十一号のイで定める状態像に該当する者については、軽度者であっても、その状態像に応じて利用が想定される対象外種目について指定福祉用具貸与費の算定が可能であり、その判断については、次のとおりとする。
  ア 原則として次の表の定めるところにより、「要介護認定等基準時間の推計の方法」(平成十一年厚生省告示第九十一号)別表第一の調査票のうち基本調査の直近の結果(以下単に「基本調査の結果」という。)を用い、その要否を判断するものとする。
  イ ただし、アの(二)「日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者」及びオの(三)「生活環境において段差の解消が必要と認められる者」については、該当する基本調査結果がないため、主治の医師から得た情報及び福祉用具専門相談員のほか軽度者の状態像について適切な助言が可能な者が参加するサービス担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントにより指定居宅介護支援事業者が判断することとなる。なお、この判断の見直しについては、居宅サービス計画に記載された必要な理由を見直す頻度(必要に応じて随時)で行うこととする。
  ウ また、アにかかわらず、次のI)からIII)までのいずれかに該当する旨が医師の医学的な所見に基づき判断され、かつ、サービス担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントにより福祉用具貸与が特に必要である旨が判断されている場合にあっては、これらについて、市町村が書面等確実な方法により確認することにより、その要否を判断することができる。この場合において、当該医師の医学的な所見については、主治医意見書による確認のほか、医師の診断書又は担当の介護支援専門員が聴取した居宅サービス計画に記載する医師の所見により確認する方法でも差し支えない。
   I)疾病その他の原因により、状態が変動しやすく、日によって又は時間帯によって、頻繁に第二十三号告示第二十一号のイに該当する者
    (例 パーキンソン病の治療薬によるON・OFF現象)
   II)疾病その他の原因により、状態が急速に悪化し、短期間のうちに第二十三号告示第二十一号のイに該当することが確実に見込まれる者
    (例 がん末期の急速な状態悪化)
   III)疾病その他の原因により、身体への重大な危険性又は症状の重篤化の回避等医学的判断から第二十三号告示第二十一号のイに該当すると判断できる者
    (例 ぜんそく発作等による呼吸不全、心疾患による心不全、嚥下障害による誤嚥性肺炎の回避)
   注 括弧内の状態は、あくまでもI)~III)の状態の者に該当する可能性のあるものを例示したにすぎない。また、逆に括弧内の状態以外の者であっても、I)~III)の状態であると判断される場合もありうる。

 [2] 基本調査結果による判断の方法
  指定福祉用具貸与事業者は、軽度者に対して、対象外種目に係る指定福祉用具貸与費を算定する場合には、[1]の表に従い、「厚生労働大臣が定める者」のイへの該当性を判断するための基本調査の結果の確認については、次に定める方法による。なお、当該確認に用いた文書等については、サービス記録と併せて保存しなければならない。
  ア 当該軽度者の担当である指定居宅介護支援事業者から当該軽度者の「要介護認定等基準時間の推計の方法」別表第一の認定調査票について必要な部分(実施日時、調査対象者等の時点の確認及び本人確認ができる部分並びに基本調査の回答で当該軽度者の状態像の確認が必要な部分)の写し(以下「調査票の写し」という。)の内容が確認できる文書を入手することによること。
  イ 当該軽度者に担当の指定居宅介護支援事業者がいない場合にあっては、当該軽度者の調査票の写しを本人に情報開示させ、それを入手すること。

 5 利用者が特定施設入居者生活介護又は認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護若しくは地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を受けている間は、福祉用具貸与費は、算定しない。

イメージ 1