定員10人以下の通所介護

これもネット上某所から取材。
と書くと、また批判ばっかり、と言われるかもしれませんが、そこそこ時間が経っているので(謎)ご容赦を。

ただし、知っている人にとっては、ごく当たり前の話なので、そういう方は途中で読むのをやめていただいてもかまいません。

通所介護のうち、定員18人以下のものは、今の制度では地域密着型通所介護に分類されます。

さらに、定員10人以下の事業所は、看護職員は必ずしも配置義務はありません。

定員10人以下の事業所でも「看護職員については、提供時間帯を通じて専従する必要はないが、当該看護職員は提供時間帯を通じて指定地域密着型通所介護事業所と密接かつ適切な連携を図る」必要がある、という意味のことを書いている人がいますが、そうではありません。


指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)

第二十条 指定地域密着型通所介護の事業を行う者(以下「指定地域密着型通所介護事業者」という。)が当該事業を行う事業所(以下「指定地域密着型通所介護事業所」という。)ごとに置くべき従業者(以下この節から第四節までにおいて「地域密着型通所介護従業者」という。)の員数は、次のとおりとする。
 一 生活相談員 指定地域密着型通所介護の提供日ごとに、当該指定地域密着型通所介護を提供している時間帯に生活相談員(専ら当該指定地域密着型通所介護の提供に当たる者に限る。)が勤務している時間数の合計数を当該指定地域密着型通所介護を提供している時間帯の時間数で除して得た数が一以上確保されるために必要と認められる数
 二 看護師又は准看護師(以下この章において「看護職員」という。) 指定地域密着型通所介護の単位ごとに、専ら当該指定地域密着型通所介護の提供に当たる看護職員が一以上確保されるために必要と認められる数
 三 介護職員 指定地域密着型通所介護の単位ごとに、当該指定地域密着型通所介護を提供している時間帯に介護職員(専ら当該指定地域密着型通所介護の提供に当たる者に限る。)が勤務している時間数の合計数を当該指定地域密着型通所介護を提供している時間数(次項において「提供単位時間数」という。)で除して得た数が利用者(当該指定地域密着型通所介護事業者が法第百十五条の四十五第一項第一号ロに規定する第一号通所事業(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成二十六年法律第八十三号)第五条による改正前の法第八条の二第七項に規定する介護予防通所介護に相当するものとして市町村が定めるものに限る。)に係る指定事業者の指定を併せて受け、かつ、指定地域密着型通所介護の事業と当該第一号通所事業とが同一の事業所において一体的に運営されている場合にあっては、当該事業所における指定地域密着型通所介護又は当該第一号通所事業の利用者。以下この節及び次節において同じ。)の数が十五人までの場合にあっては一以上、十五人を超える場合にあっては十五人を超える部分の数を五で除して得た数に一を加えた数以上確保されるために必要と認められる数
 四 機能訓練指導員 一以上


上の基準省令第20条第1項第2号に関し、解釈通知では、たしかに次のように書かれています。


指定地域密着型サービス及び指定地域密着型介護予防サービスに関する基準について(平成18年3月31日老計発第0331004号・老振発第0331004号・老老発第0331017号)

[6] 看護職員については、提供時間帯を通じて専従する必要はないが、当該看護職員は提供時間帯を通じて指定地域密着型通所介護事業所と密接かつ適切な連携を図るものとする。
 また、病院、診療所、訪問看護ステーションとの連携により、看護職員が指定地域密着型通所介護事業所の営業日ごとに利用者の健康状態の確認を行い、病院、診療所、訪問看護ステーションと指定地域密着型通所介護事業所が提供時間帯を通じて密接かつ適切な連携を図っている場合には、看護職員が確保されているものとする。
 なお、「密接かつ適切な連携」とは、指定地域密着型通所介護事業所へ駆けつけることができる体制や適切な指示ができる連絡体制などを確保することである。


ですが、基準省令第20条第1項の次の第2項には、次のとおり定員10人以下の場合の特例が定められています。


2 当該指定地域密着型通所介護事業所の利用定員(当該指定地域密着型通所介護事業所において同時に指定地域密着型通所介護の提供を受けることができる利用者の数の上限をいう。以下この節から第四節までにおいて同じ。)が十人以下である場合にあっては、前項の規定にかかわらず、看護職員及び介護職員の員数を、指定地域密着型通所介護の単位ごとに、当該指定地域密着型通所介護を提供している時間帯に看護職員又は介護職員(いずれも専ら当該指定地域密着型通所介護の提供に当たる者に限る。)が勤務している時間数の合計数を提供単位時間数で除して得た数が一以上確保されるために必要と認められる数とすることができる。

3 指定地域密着型通所介護事業者は、指定地域密着型通所介護の単位ごとに、第一項第三号の介護職員(前項の適用を受ける場合にあっては、同項の看護職員又は介護職員。次項及び第七項において同じ。)を、常時一人以上当該指定地域密着型通所介護に従事させなければならない。


わかりにくい表現になっていますが、
「提供時間帯に勤務している看護職員又は介護職員の勤務時間の合計」/「提供単位時間数」≧1
つまり、提供時間数が8時間なら、専従の看護職員と介護職員の合計勤務時間数が8時間以上あればよく(第2項)、
かつ、常時1人以上の看護職員又は介護職員が従事すればよい(第3項)、ということになります。

よって、人員基準上は、看護職員の配置義務はなく、「密接かつ適切な連携を図る」必要もありません。

ただし、機能訓練指導員は必要です。
これは常勤である必要はなく、また、看護職員でも有資格者となるので、機能訓練系などの加算を取らないのなら、「看護職員兼機能訓練指導員」のような形で配置している小規模なデイサービス(地域密着型通所介護)はけっこうあるのではないかと思います。