集中減算についての他の意見3

及川委員(日本介護福祉士会副会長)
 論点2つ目でございますが、介護保険の原則を踏まえれば、利用者がサービスを選ぶことを保障することが重要でございます。集中減算が不要な囲い込みを減らす趣旨であることは承知しておりますが、集中減算が利用者のサービス選択の足かせになっていることも、また事実であります。このことを考えれば、例えば不必要な生活援助が行われないようにするためにも、また介護サービスの質を担保するためにも、資料4ページの○の3つ目に書いてありますが、生活援助の提供がどのように重度化の防止や自立支援につながったかを、ケアプランに明示することを義務づけることについては、一定の合理性があるのではないでしょうか。そして、この対応はほかのサービスにおいても有効ではないかと考えます。

稲葉委員(民間介護事業推進委員会代表委員)
 論点の上から2つ目の特定事業所集中減算についてであります。介護保険部会などでも廃止を検討すべきではないかという意見も出ていたと思いますが、これは廃止の方向でよいと思います。ただし、廃止した際にはどういった影響が出るのか考慮した上で、新たな方策を考えるべきではないかと思います。また同時に、参考資料にありますように、特定事業所集中減算の適用を受けている7.6%の事業所については、例えば地域の事情などの問題はないのかなど、その実態を把握すべきだと考えます。
 そもそも利用者の利益につながる公正中立とは何なのか、ということが問われている問題だと思います。今、利用者の利益というと、質の高い事業所のサービスを受けるということだと思います。しかし、実態としては、どこの事業所の質が高いのかということが不明瞭な中で行われていたりしておりますので、質の高い事業所が選ばれるような仕組み、また選ばれるために事業所が質を高める競い合いをするようなインセンティブを持てるような仕組みがあわせて求められると思います。

小林委員(全国健康保険協会理事長)
 2つ目の論点になりますが、公正中立なケアプラン作成という観点からは、特定事業所集中減算という形がよいかどうかは議論があるところですが、少なくとも特定の事業所にサービスが合理的な理由なく偏るようなことのないよう、抑止力を働かせていくべきだと思います。

鈴木委員
 特定事業所集中減算についてですけれども、これは、その問題点は3年前にさんざん議論しており、今回は見直しをどうするかというのが本当は論点になるべき話なのに、また3年前の議論を蒸し返すような話をしています。特定事業所集中減算を受けても、目いっぱいサービスを入れてもうける事業者がいることが問題であって、これがもう機能を果たしていないということはわかっているわけですから、それをどうしますかと、3年前と同じ議論をするのは時間の無駄だと思います。
 特定事業所集中減算は、サービス事業所の質が一定であるという前提がないと成り立たない話です。ですから、今回見直すことになったのです。見直しをどうするかという議論に早く移るべきだと思います。

瀬戸委員(全国老人福祉施設協議会理事・統括幹事)
 2つ目の論点の特定集中減算、今、鈴木委員からおっしゃられたので、ちょっと話しづらいですが、基本的には廃止の方向でいいと思います。ただ、公正中立の観点から考えれば、むしろ囲い込みを防止することのほうが重要ではないかと思いますので、例えば同一敷地内のサービスへの紹介は、訪問等に係るコスト分を本体報酬から引き下げるとか、同一法人、グループの場合に9割にするとか、幾つか区分を設けながら囲い込みを防止するほうが有効ではないかと思います。ただし、その場合は、地域に利用できる事業所が少数である場合は除くという条件は必要かと思います。

伊藤委員(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)
 2つ目の特定事業所集中減算につきましては、これが設けられた当時の、独立性の確保と、サービス事業者が不当に偏することがないように公正中立に行うという趣旨は、今日でも正しいものだと思っています。確かに、良質なサービスが提供される事業所に集中することまで否定されるということになれば、それはおかしいということにもなりますので、見直しは必要だと思います。
 ただ、公正中立という観点は重要だと思っていますので、まず1つの提案としましては、独立型のケアマネ事業所に対しては減算を適用しないということがあり得るのではないかと思います。また、この見直しに当たっては、御指摘もたしかあったと思うのですけれども、同一法人だけでなくて、同一グループ内にサービスを集中させているとか、必要以上のケアプランを作成しているということも含めて、チェックできる仕組みに何とかしていければと考えているところであります。

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抜粋はここまでです。

鈴木委員は、1回目の発言で「少なくとも医療系のサービスと事業所が少ないサービスは除外すべき」と、ポイントさんのコメントと同じような発言をして(すみません、両方の方に他意はありません)ちょっと気になっていましたが、この2回目の発言はごもっともと思います。
集中減算は効果がない、少なくとも弊害に比べて効果が乏しいことは、各委員も会計検査院も認めているし、厚労省でさえ定量的なデータは把握していないと白状しているのだから、さっさと具体的な見直し(はっきりいえば廃止)の議論に進むべきです。