障害者部会報告書(H28.2.17)その2

前記事からの続きです。

(2) 今後の取組

(基本的な考え方)
○ 日本の社会保障は、自助を基本としつつ、共助が自助を支え、自助・共助で対応できない場合に社会福祉等の公助が補完する仕組みを基本とすることを踏まえると、現行の介護保険優先原則を維持することは一定の合理性があると考えられる。そのもとで、介護保険サービスの利用に当たっての課題への対応について以下のような取組を進めるべきである。

「自助を基本としつつ、」
というあり方についてはともかく、
「共助が自助を支え、」
や、
「自助・共助で対応できない場合に社会福祉等の公助が補完する」
ということが機能していくのか疑問が出てきています。

「共助や公助に充てる金がないから自助を増やすべき」
という(財政当局にとって)安易な方向に行かないか。

国もそうですが、自治体にしても、本来必要な共助、公助を「お荷物」扱いとしていないか、有権者の目が重要になっていると私は思います。

○ その際、障害福祉制度と介護保険制度との関係や長期的な財源確保の方策を含めた今後の在り方を見据えた議論を行うべきである。この点については、障害福祉制度と介護保険制度は制度の趣旨・目的等が異なるとの意見や両制度の関係は共生社会実現の観点から検討すべきとの意見もあることに留意する必要がある。

障害福祉制度と介護保険の連携)
○ 障害福祉サービスを利用してきた者が、相当する介護保険サービスを利用する場合も、それまで当該障害者を支援し続けてきた福祉サービス事業所が引き続き支援を行うことができるよう、利用者や事業にとって活用しやすい実効性のある制度となるよう留意しつつ、その事業所が介護保険事業所になりやすくする等の見直しを行うべきである。

○ 障害福祉制度と介護保険制度の両制度の連携を推進するため、協議会(障害者総合支援法)と地域ケア会議及び基幹相談支援センターと地域包括支援センターとの連携の推進に向け、地域の実情に応じた窓口の一元化等や弾力的な運用等による連携の好事例の収集と普及等を通じて、全国的に連携の推進を図るとともに、障害福祉計画と介護保険事業(支援)計画が一層調和のとれたものとなる方策を検討の上、講じるべきである。その際、連携が実効性のあるものとなるよう、基幹相談支援センター等による取組を推進する必要がある。

○ 相談支援専門員と介護支援専門員の連携を推進するため、両者の連携が相談支援事業及び居宅介護支援事業が行うべき業務に含まれる旨を明確にするとともに、それぞれの視点の理解を促進するための研修等の方策を講じるべきである。また、介護保険サービスの利用に当たって、円滑なサービスの利用ができるよう、相談支援専門員のモニタリングの頻度について、モニタリングの実態を踏まえつつ、見直しを行うべきである。
 加えて、65歳を超えても引き続き同一の者による対応等を推進するため、相談支援専門員と介護支援専門員の両方の資格を有する者の拡大のための方策を講じるべきである。

○ 介護保険サービスの利用に伴う利用者負担については、従来利用してきた障害福祉サービスと同様のサービスを利用するにも関わらず、利用者負担が発生するといった課題があることを踏まえ、一般高齢者の公平性や介護保険制度の利用者負担の在り方にも関わることに留意しつつ、その在り方についてさらに検討すべきである。

○ 介護保険制度移行に関する現行の取扱いを踏まえ、介護保険給付対象者の国庫負担基準については、財源の確保にも留意しつつ、見直しを行うべきである。

○ 障害者支援施設等に入所していた障害者が退所して、介護保険施設等に入所する場合の住所地特例の適用については、見直すべきである。この見直しについては、次期介護保険制度の見直しにおける適用除外施設全体に係る住所地特例の検討も踏まえ、対応すべきである。

○ 介護保険施設等に移行する障害者の特性を理解した支援を実施するため、送り出し側の障害福祉サービス事業所と受け入れ側の介護保険施設等の連携に向けた方策や受け入れに当たっての適切な支援の方策を講じるべきである。

○ 65歳以上になって初めて障害を有する状態になった場合の障害福祉サービス利用については、現行の介護保険優先原則の下で適切に運用される必要がある。なお、この原則の下では、サービス内容や機能から、介護保険サービスには相当するものがない障害福祉サービス固有のもと認められるサービスについては、障害者総合支援法に基づき給付を受けることが可能となっている。