「街の復興優先」の寺の本堂再建

「街の復興優先」震災21年、全壊の本堂再建 神戸・海泉寺

神戸新聞NEXT 1月16日(土)11時1分配信)
 阪神・淡路大震災で全壊した神戸市長田区駒ケ林町3の海泉寺(かいせんじ)本堂が再建された。地元の復興を優先し、寺のことは後回しにしてきたが、檀家(だんか)らの声を受けて決断。防災への願いを込めた天井画も描かれ、17日の震災犠牲者追悼法要でお披露目される。(秋山亮太)

 21年前のあの日、住職染川眞澄(しんちょう)さん(69)は家族と庫裏にいて無事だったが、1815(文化12)年建立の本堂は全壊。周りの民家も倒壊し、商店街は炎に包まれた。

 檀家の無事を確かめに近所を歩いた染川さんは、崩れた家の前で救助を待つ男性を見つけた。「この下に家内が閉じ込められている」。数日後、運び出された遺体を庫裏に安置し、お経をあげた。

 震災から3カ月後には仮設住宅に移った檀家の訪問を開始。「みんなに会いたいけど、家もお寺もない」という嘆きに触れ、96年に仮設の本堂と檀家らが談笑できるスペースを本堂跡に設けた。

 「本堂の再建より街の復興が先」と考えていたが、檀家から「もう(再建しても)よろしいんちゃいますか」と声が掛かった。「生きているうちに新しい本堂を見たい」という要望にも後押しされ、震災から15年以上を経た2011年に着工した。

 新しい本堂は災害にも強い鉄筋コンクリート2階建てで、仮設時代から引き継いだ檀家らがくつろげる部屋もある。1階天井には、滋賀県米原市の仏師中川大幹(だいかん)さん(64)が直径約4・5メートルの「雲龍図」を描いた。水をつかさどると言われる龍神に火災や津波などから街を守ってほしい-という染川さんの願いが込められている。

 本堂の落慶は4月の予定だが、内部は1月17日午後3時からの法要で披露される。染川さんは「震災であらためて教えられた寺と人のつながりを大切に、今後も地域に寄り添っていきたい」と話している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160116-00000004-kobenext-l28


明日1月17日で、阪神・淡路大震災から21年になります。
その間、多くの災害が起きました。

「・・・街の復興が先」というのは、被災地の自治体関係者なども共通の認識だろうと思いますが、
ひょっとしたら「耳が痛い」と思っている首長もいるかもしれません。
(とはいえ、行政庁舎の再建はともかく、防災のための情報収集機能などは優先する必要があるとは思いますが。)

それにしても、
「もう(再建しても)よろしいんちゃいますか」
という檀家の方の声は、含蓄もあって、やさしく響きます。