至誠にして動かざるものは・・・

至誠而不動者未之有也
至誠にして動かざるは いまだこれあらざるなり
 
孟子の言にして、吉田松陰が好んでいた、と伝わっています。
(なので、「八重の桜」でも「花燃ゆ」でも、吉田松陰役が登場すれば、この台詞も出てくる可能性が高い。)
 
誠を尽くせば、動かせないものはない
 
この信念で、松陰は幕末を生き、多くの有為な人材を育てた・・・・・・ということになっていますが、
実は、彼の在世中には、なかなか思うようには人は(そして時代は)動きませんでした。
 
密航を企て、自首し、一命は助かったものの長州藩の野山獄にぶち込まれ、
のち松下村塾で若者は育てるものの、それも短い間で「安政の大獄」で処刑され、
育てた若者たちも多くは戦乱のうちにいのちを失い・・・・・・
 
誠を尽くしても、それで世が動くまでには、年月と、多くの生命が費やされてしまいました。
 
 
でも。
 
動かせないものはない、という信念が、やはり動かした。
のかもしれない。
 
 
世の中には、最善を尽くしても、結果が伴わないことがあります。
不慮の事故や事件、災害、職場や家族や地域やネット上などの人間関係も。
 
いますぐ、事態が好転しなくても、結果が出なくても、それは努力が足りないのでも自分が悪いのでもない。
誰も悪くなくても、ものごとがうまく動かないことはあり、
それでも継続される努力が、ついには物事を動かすのでしょう。
 
至誠にして動かなければ、それはそれで仕方がない。
 
「八重の桜」にも「花燃ゆ」にも出てこない言葉ですが(爆)