介護予防訪問介護・通所介護の行方

迷走の介護 保険採決強行 野党は反発
東京新聞 2013年11月16日朝刊)

 衆院厚生労働委員会は十五日、社会保障制度見直しの手順などを定めたプログラム法案を採決し、与党の賛成多数で可決した。民主党などは「審議が尽きていない」として採決自体に反対したが、後藤茂之委員長(自民)が強行した。介護保険見直しの具体案を詰めている厚労省が相次いで方針を転換し、安倍政権の社会保障見直しへの信頼性が揺らぐ中、成立を急ぐ与党に対し、民主党などは反発している。(上坂修子、我那覇圭)

 採決の際、委員長席に詰め寄り抗議した民主党山井和則厚労部門会議座長は可決後、記者団に「国民生活に関わる法案を拙速に強行採決するのはおかしい」と批判した。野党では民主、みんな、共産の各党が与党の採決を求める動議と法案の両方に反対。日本維新の会は法案に反対したが、採決動議には賛成した。与党は十九日の衆院本会議で可決し、参院に送る方針。

 同法案は自分や家族の負担を増す「自助」を基本に掲げ、介護や医療などで負担増・給付減が並ぶ。しかし、同委での審議時間は二十五時間だった。

 政府は同法を今国会で成立させた後、個別制度見直しの手始めとして、来年の通常国会介護保険法改正案を提出する方針。だが、厚労省の具体案づくりは迷走している。

 厚労省は当初、要支援者向けサービスを保険対象から切り離し、市町村に委ねる案を示した。しかし懸念が相次いだため、訪問介護通所介護のみを移行させ、専門的な技能が必要な訪問看護などは引き続き対象とする修正案をまとめた。

 特別養護老人ホームの入所者を要介護3~5の中重度者に限る案に対しても反対意見が相次ぎ、要介護1、2の軽度者も条件付きで認めることにした。

 度重なる方針転換に「唐突だ」と戸惑いの声が出ている。厚労省内からも担当する老健局に「何の戦略もない」と批判がある。


 田村憲久厚労相は十五日の会見で「初めに出した案が厚労省が決めた方向性ではない。いろいろな意見を聞いた上で、どれが適切かという決め方をいつもしている」と釈明した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013111602000126.html


 
重要事項でもあり、全文引用させていただきました(問題があればコメントください)。

要支援者サービスの切り離し問題については、第52回社会保障審議会介護保険部会(平成25年11月14日)の議事録が出てから触れようかと思っていたのですが、上の記事にもあるように、訪問介護通所介護だけを除外する方向が示されているようです。
まあ、医療系サービスに限らず、住宅改修など、除外するのは明らかに無理な給付が多数ありますから。
とはいえ、訪問介護なども外すことに問題がない訳はないので、部会の委員提出資料を見る限りでも、少なからず厚労省案に批判的な意見は出ていたようです。

(部会資料については、こちら。)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000029429.html

上の記事の中でおもしろいなと思ったのは、厚労省内でも老健局に批判の声があるというところ。
(これまでも、その存在は予想していましたが。)

詳細はわかりませんが、たとえば社会・援護局なら、障害福祉サービス担当課も、生活保護担当課も、介護保険制度の変更のたびに(ほぼ必ず)とんでもなく仕事が増えるところですから、批判の声が上がってもおかしくはないでしょう。

今の老健局の案どおりなら、要支援認定を受けている障害者は、障害福祉サービスの居宅介護と、介護保険の本体から切り離された市町村サービスと、どちらを使うことになるのでしょうか?
そして、その人が生活保護受給者なら? 自費での利用は?

社会・援護局に限らず、全国の自治体の障害福祉生活保護の担当者から老健局が恨まれたとしても、私は弁護する気にはなりません。
(その前に、障害者やその関係者から恨まれますね。)

まあ、プログラム法案の成立の可能性は高いとはいえ、それで個別の改正法が確定したわけではないので、今後も文句を言い続けることにします。