善意を活かす施策はよいが、善意に頼った施策はダメ

タイトルを読んだだけでは、何のことかわからないと思います(苦笑)

たとえば、私は、パブリック・コメントなどの機会に、

生活保護受給者は介護保険施設の個室に入ることは事実上困難

と書いてきました。

とは言いながら、
社会福祉法人等による生計困難者等に対する介護保険サービスに係る利用者負担額軽減制度事業の実施について」(厚生労働省老健介護保険計画課H23.3.22事務連絡)
http://www.pref.mie.lg.jp/CHOJUS/HP/kaisei/10nendo/H230322shafukugenmen.pdf

も出され、平成23年度からは、社会福祉法人減免の適用があれば、個室に入れる可能性はあります。

ですが、この減免は法令で義務付けられたものではなく、
自治体が実施を決め(これは、けっこう高い実施率だったと思う)、
施設を運営する社会福祉法人が実施を決めた場合(これは「目指せ100%」の掛け声からは遠い状況のはず)
に限り、対象となるものです。

つまり、制度的に保証されたものではなく、社会福祉法人の善意に頼った施策といえましょう。

社会福祉法人のあり方については、税制などを含めて議論されてきたところではあります。

ただ、たとえば上記の厚労省通知は、老健局(つまり介護保険サイド)からのみ出されたもので、
生活保護社会福祉法人の担当である社会・援護局の名はクレジットされていません。
この方針が紹介された全国会議(H23.2月)の資料も同様ですが、
社援局はこの制度、というより老健局の方針に反感を抱いているのかもしれません(これは個人的想像ですが)。

ついでに個人的感想を述べれば、生活保護受給者のサービス利用のあり方については、社援局や老健局で十分に協議すべき問題であって、社会福祉法人に(きちんとした法令によらず)押しつけるべきではない。
それより、社会福祉法人の本分としては、身寄りがない、あるいは身寄りがあっても十分な対応が困難な入所者などへの支援をきっちり行うべきではないかと思います。
(こちらの記事の件など)
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/31698370.html


で、教職員の駆け込み退職問題について。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/31761534.html

下村博文文科相は同日の記者会見で「責任ある立場の先生は、最後まで誇りを持って仕事を全うしてもらいたい。許されないことだ」と述べ、不快感を表明した。
(2013.1.24 14:26 MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130124/edc13012414280006-n1.htm

とのことですが、善意の人が損をしないように努めるのが国や政治家の仕事であって、
人々が善意のとおりに動かないのをなじるのが仕事ではありません。

たとえば、東京都は年度末までの退職者を自己都合退職として支給額を下げる条例を制定しています。
前知事時代を含めて、都政の全てが正しいというつもりは全くありませんが、
こういうことについては、素直に学んだ方がよろしいのではないでしょうか。