予防訪問介護のエビデンス?

第83回社会保障審議会介護給付費分科会(2011年10月31日)議事録に出ていた、北九州市の資料です。
抜粋で、しかもレイアウト等は正確に再現できていません。
疑義があれば、原資料をご確認ください。

平成23年度地域包括ケア推進指導者養成研修(中央研修)資料

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001oxhm.html

「地域包括ケア推進事業取組報告」より

北九州市における 地域包括ケア推進事業の取り組み」
北九州市保健福祉局地域支援部 いのちをつなぐネットワーク推進課 花井さくら
平成23年9月13日(火)

2 地域の実情に応じた事業「介護予防ケアプランとホームヘルプサービスの生活機能向上促進モデル推進事業」

(1)事業目的
 ・介護予防の推進をめざし、要支援レベルの在宅高齢者に生活機能向上プログラムを提供し、その効果を検証する。

(2)生活機能向上プログラムとは
 ・生活機能の向上をめざし、高齢者自身が取り組むためのプログラム
  媒体>ア ヘルパーの介護予防活動記録
     イ 私の介護記録
     ウ 介護予防体操
     エ ヘルパー介入時のエクササイズ 等
  ◆木村(京都府立医科大学保健看護研究科 教授)、村井(石川県立高松病院作業療法科 主任専門員)、田中(NPO法人地域保健研究会会長)による検討会で作成された

(3)事業概要

 ア 対象者の選定
  介入群:25名、非介入群25名 計50名
  ・要支援1もしくは要支援2
  ・地域包括支援センター受持ちケース
  ・モデル事業委託先の受持ちケース
  *平成21年度の「厚生労働省老人保健健康増進等研究」の基礎データを基に委託、選定

 イ ケアプラン会議の開催
  ・参加者:介入群の受持ちケアマネジャー
       介入群の受持ちサービス提供責任者
       事前体力測定の測定者
       司会者、記録者
  ・会議内容:①介護予防ケアプランへの「生活機能向上プログラム」の導入
        ②目標の設定
        ③運動プログラムの提案

 ウ ヘルパーによる生活機能向上プログラムの提供
  ・期間:3ヶ月間
  ・回数:週1回/30分間
  ・内容:①訪問介護時にヘルパーが一緒に行う機能向上運動プログラムの実施
      ②利用者がセルフケアとして実施した運動プログラムの聞き取り

 エ 事前・事後評価
  ・対象者:介入群 23名、非介入群 26名
  ・内容:身体計測、体力測定(握力、脚筋力、関節可動域、10m歩行、垂直跳び)、日常生活状況の確認、痛み等
  ・測定者:理学療法士作業療法士
  *受け持ちケアマネジャー及びサービス提供責任者が立会って実施

 オ 分析(NPO法人 地域保健研究会に協力依頼)
  平成21年度老人保健健康増進等事業補助金による研究事業として、北九州市において、要支援者の家事遂行能力調査や介護度悪化者の要因調査等を行ったが、対象者のうち同社の訪問介護サービス利用者が大半を占めていたため、今回その既存データが活用できること、およびこのモデル事業が当研究会の介護予防推進活動の重点課題と一致していることから、会員研究職有志等のボランティア参加の協力を得て、当NPOの自主研究事業として分析。

 カ 準備作業
  ・生活機能向上学習会
   サービス提供責任者を対象とした事前研修の開催
  ・説明会
   ケアマネジャーを対象とした事業説明の開催
  ・対象者への説明、同意確認
   ヘルパーもしくはケアマネジャーによる説明

(4)事業効果

 ア 身体機能、体力及び活動意欲が改善
  ・週1回、3ヶ月間の生活機能向上プログラムの導入により、介入群対象者の身体機能、体力及び活動意欲などが改善し、家事遂行能力が向上した。
  ・非介入群対象者の身体機能、体力、家事遂行能力は、維持、低下が多かった。

 イ 一定の身体活動量を維持できた
  ・生活機能向上プログラムの介入時期は、例年より気温が低かったが、介入群対象者では、一定の身体活動量を維持することができていた。
  ・非介入群対象者には、運動量の低下が見られた。

 ウ 高齢者が自ら実践することができた
  ・生活機能向上プログラム自体が、訪問介護サービスの際に実施する介護予防メニューとして安全(低強度)であり、高齢者の日常生活に取り入れやすいものであった。
  ・高齢者自身が日常生活の一部として、継続して実践することができた。

 エ 対象者自身が改善を実感できた
  ・介入群対象者の多くが、歩行時の行動が早くなったことなどを自覚することができた。
  ・事前測定時には消極的な言動のあった対象者が、事後測定時には「ええ検査してもらって良かった」「自分のことが良く分かった」などの発言もあり、表情も明るくなった。

 オ 提供者が介護予防の実務を習得でき、介護予防に関わる意義を再認識できた
  ・介入群対象者へ生活機能向上プログラムを提供したヘルパーやケアマネジャーが、本来の自立支援のあり方や具体的な知識、実務を習得でき、介護予防に関わる意義を再確認することができた。

(5)課題
 ・モデル事業終了後、ケアマネジャーやヘルパーによる声かけは継続して実施されているが、高齢者の主体的な生活機能向上プログラムの実践継続ができるかが課題となる。