リハビリという言葉

「2011年11月24日 第41回社会保障審議会介護保険部会 議事録」より
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001waz7.html

これも、引用者の独断で抜粋して、文字強調しています。

○葛原委員
 5ページの(要支援者に対する給付)というところで、ここにリハビリという言葉が二、三回出ておりますけれども、私は脳とか神経関係の、脳卒中とか認知症の関係の医者なので、その目から見て少し違和感があります。リハビリテーションという言葉の意味は、もともとは精神的・肉体的・社会的にある機能が脱落したものを元に戻すという意味があるわけです。老人の場合はどちらかといいますと、そういうことになることの予防だと思うのですが、例えば、ここでは生活援助とリハビリで給付に差をつけるとかということが書いてあります。けれども、要支援者は、精神的か、肉体的か、あるいは社会的にどこか弱いところがあって自立が難しい者のことで、その弱い部分を支援しているということから言いますと、いずれも自立のために非常に必要なことだと思いますので、必ずしも生活援助とリハビリを対立させる必要はないのではないかと思います。
 特に、日本ではリハビリという言葉が肉体訓練という非常に限られた意味で間違って使われていることが多いと思うのですが、これを見ますと、やはりちょっと限定しすぎた意味で使われているのではないかと思います。従って、この部分のニュアンスは、精神的・肉体的・社会的自立の支援に役立っているかどうかということで判断するというような形の文章に変えた方がよいというのが私の意見です。リハビリを中心に介護予防の強化といっても、生活支援がすごく自立に役立つこともあるので、そういうニュアンスに変えていただいた方がいいのではないかと、文章を読んで気づきました。

○齊藤(正)委員
 すみません。前回お休みしたのでよくわからないところもあるのですが、何人かの委員の発言にあった、リハビリは体力増強とか肉体的な訓練とかということを私たちが言っていてはいけないのではないかというのが第一で、これはリハビリもそうですし、ケアマネジメントもそうですし、そういう言葉を、正しいイメージをどう伝えるかがこの部会の役割ではないかというのが、率直な意見であります。
 その中で、要支援者に対する支援で出てきているリハビリという言葉のイメージが、以前、平成15年当時の高齢者リハビリテーション研究会で、漫然とリハビリテーションが提供されることだけは避けようという文言が入って、それで今までの診療報酬や介護報酬の改定等があったと理解しているのですが、余りにも広義な意味でリハビリという言葉を使い過ぎるとまた同じようなことが起こりやすいので、しっかりした専門職が関わること、それから、評価をすることの重要性や予後予測の大事さとか、そういうことも、前回の提言の中には入れていただけていたので、もう皆さん御理解していただいているとは思うんですが、啓蒙活動をしっかりやっていくべきではないかというのが私の意見であります。

ちなみに、資料のその問題の箇所は、次のとおりです。
葛原委員のご指摘は本当にもっともだと思いますし、齊藤(正)委員のご意見もよくわかります。

(要支援者に対する給付)
○ 事務局からは、社会保障・税一体改革において、重度化予防・介護予防として要介護認定者数を2025年に現行ベースより3%程度減少させることが課題となっていることを踏まえ、この実現に向けた制度的な対応としての利用者負担の引上げの是非及び給付の内容や方法についての検討の必要性について、問題提起がなされた。

○ 利用者負担割合の引上げについては、要介護の程度によって自己負担の引上げや新たな利用者負担の導入を検討する時期に来ている、生活援助とリハビリで自己負担の割合に差を付けることも検討すべきとの意見があった一方、早期発見を通じた重度化防止が重要であり、利用抑制により重度化が進みかえって費用がかかるとの立場から反対する意見も多かった。

○ しかしながら、利用者負担割合の引上げに反対する立場からのものも含めて、サービスが利用者の自立支援に資するものとなっているか否かの検証が必要である、要支援者に対する給付の内容についてリハビリを中心に予防の強化をしていくことが必要である、予防効果のないものは給付の対象から外すべきなどの意見も多くあった。これらを踏まえ、当部会においては引き続き制度的な対応に向けて検討を進める。

財務当局、あるいは、その意を受けたと推測されるサービス抑制派の人々が、「リハビリ」「リハビリテーション」という言葉の意味を、本当に理解しているとは思えないのです。