1)社会の理解が得られる制度か 2)弊害が大きくないか 3)技術的に可能か「補足給付について資産にも着目する」とした場合、前の記事で挙げた3点について考えてみます。
「事務局の提起」では、(原文は日本語として変なところはありますが)在宅・居住系サービスに比べて、施設サービス利用者は有利ではないか、ということのようです。
たとえば、ですが。
・在宅介護を受けていた人が、(要介護5の限度額一杯を使っていたにせよ)家族に財産を残す。
・施設介護を受けていた人は、施設を利用しなかった人に比べて家族も利益を受けていたのだから、多少なりとも相続財産が減る。
・在宅介護を受けていた人が、(要介護5の限度額一杯を使っていたにせよ)家族に財産を残す。
・施設介護を受けていた人は、施設を利用しなかった人に比べて家族も利益を受けていたのだから、多少なりとも相続財産が減る。
ついでにいえば、同居で介護をしていたとしても、息子の妻というのは基本的に相続権がないので、これも改めるべきかと思います。
寄与分とか遺言による遺贈とかではなく、介護をしている同居の姻族(娘の夫も通院介助などの支援を行っている場合があります)も含めて、法律で担保すべきでしょう。
寄与分とか遺言による遺贈とかではなく、介護をしている同居の姻族(娘の夫も通院介助などの支援を行っている場合があります)も含めて、法律で担保すべきでしょう。
その上で、施設利用者なら、いくらかでも相続財産が減る場合がある。
これなら、理解が得られるかもしれません。
これなら、理解が得られるかもしれません。
ただし、長期間、在宅介護をしていたけれど、やむなく施設入所となり、短期間で亡くなった。
あるいは、特に老健などは、少なくとも理念的には、施設でリハビリを行い、在宅復帰を目指す。そういうこともあるはずです。
ですから、どこでどういうふうに線引きするか、というのは、なかなか難しい問題です。
あるいは、特に老健などは、少なくとも理念的には、施設でリハビリを行い、在宅復帰を目指す。そういうこともあるはずです。
ですから、どこでどういうふうに線引きするか、というのは、なかなか難しい問題です。
「年金収入は月6万円だが預貯金が3,000万円という人」が何年ぐらい生きるか、誰も正確には予測できません。
つまり、資産に着目したとして、リアルタイムで費用徴収するのは、その人が長生きした場合、生活困窮に陥る危険があります。
つまり、資産に着目したとして、リアルタイムで費用徴収するのは、その人が長生きした場合、生活困窮に陥る危険があります。
預貯金を使い果たしたから施設を放り出す。
あるいは本人が苦にして自殺を図る。死にたい、殺してほしいと叫ぶ。
あるいは本人が苦にして自殺を図る。死にたい、殺してほしいと叫ぶ。
そんな事態が起こる制度のために、私たちは税金や保険料(2号ですが)を負担してきているのではありません。
また、「そういう人のために生活保護制度がある」という意見があったとしたら、それには反対せざるを得ません。
生活保護は最後の砦、他法・他制度優先です。
境界層認定、境界層措置の存在が示すように、他の制度で支援できるのに生活保護制度に救済を求めるのは、この国の社会制度のあり方に明確に反します。
生活保護は最後の砦、他法・他制度優先です。
境界層認定、境界層措置の存在が示すように、他の制度で支援できるのに生活保護制度に救済を求めるのは、この国の社会制度のあり方に明確に反します。
ということで、審議会で挙がっている中で現実的なのは、「死後精算制度」あたりでしょうか。
なお、たとえば夫名義の資産であっても、離婚の際に妻への財産分与が認められていることなどを考えれば、
「配偶者の存命中には精算を行うべきではない」という考え方が有力ではないかと私は思います。
「配偶者の存命中には精算を行うべきではない」という考え方が有力ではないかと私は思います。
もうひとつ。夫婦の死後に、ある程度以上の障害のある子どもが残る場合、特別の配慮が必要、とも考えます。
(他の社会制度の中にも、同様の考えに立ち、年金的な給付が障害者である子どもに引き継がれる場合があります。)
(他の社会制度の中にも、同様の考えに立ち、年金的な給付が障害者である子どもに引き継がれる場合があります。)
ただし、別記事で書いたように、全国的にケースワーカー不足の自治体が多数あります。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/29935339.html
税の徴収職員も、少なくとも潤沢には配置されていないでしょう。
一部の自治体を除いて財政に余裕がない中、国は人件費の支援を行う用意がありますか?
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/29935339.html
税の徴収職員も、少なくとも潤沢には配置されていないでしょう。
一部の自治体を除いて財政に余裕がない中、国は人件費の支援を行う用意がありますか?
また、生前(施設利用中)から資産調査はしておくとしても、存命中に使われてしまっては徴収できません。
換価が容易でない資産(不動産や一部の債権など)は、根抵当権か、税の滞納処分による差押えのような制度を設定すれば、確保が可能でしょうが、預貯金などは子や孫に与えられてしまうかもしれません。
そういう支出と、社会生活上必要な支出と、区分して制限をかけることは可能でしょうか。法的にも、実務的にも。
換価が容易でない資産(不動産や一部の債権など)は、根抵当権か、税の滞納処分による差押えのような制度を設定すれば、確保が可能でしょうが、預貯金などは子や孫に与えられてしまうかもしれません。
そういう支出と、社会生活上必要な支出と、区分して制限をかけることは可能でしょうか。法的にも、実務的にも。
「補足給付における財産の勘案」というのは、施設から在宅への誘導という、政策的な要因もあると推測しています。
家族はともかく、要介護者本人とすれば、なるべく住み慣れた自宅で過ごしたい、という意向は強いと思われますので、在宅誘導自体は否定するものではありません。
(むしろ、賛成しています。)
家族はともかく、要介護者本人とすれば、なるべく住み慣れた自宅で過ごしたい、という意向は強いと思われますので、在宅誘導自体は否定するものではありません。
(むしろ、賛成しています。)
ただし、中~重度者が在宅で安心して生活するためには、24時間訪問看護に象徴されるような、在宅サービスの基盤整備が必要です。
大都市圏の報酬アップ、一部の地域でしか成り立たないかもしれない新サービス導入も結構ですが、既存のサービスですら十分に確保されていない地域も多数あります。
そういう地域では、在宅誘導自体が困難です。無謀といってもよいかもしれません。
そういう地域では、在宅誘導自体が困難です。無謀といってもよいかもしれません。
こういう地域を積み残して、施設入所に関する費用負担を強化するのなら、賛成できません。