上流の荒廃が下流の災害にも

前の記事で、災害救助法適用地域が出ていたので、ちょっと気になって調べてみました。

7月の中国・九州北部豪雨での適用地域(山口県山口市防府市、福岡県飯塚市)はそれほどでもないのですが、8月の台風9号での適用地域(兵庫県宍粟市朝来市佐用町、岡山県美作市)は、かなり高齢化率の高い地域となっています。

平成17年10月1日時点の国勢調査データを用いて、75歳以上人口の総人口に対する比率(いわゆる後期高齢化率)順に並べてみました。

 美作市佐用朝来市宍粟市防府市山口市飯塚市全国
65歳以上比率(%)38.336.332.730.226.224.525.020.1
75歳以上比率(%)21.420.018.115.412.412.212.19.1
総人口(人)28,55618,36229,75936,908100,589164,15769,009(略)

ここ数年で周辺町村と合併した自治体が多いのですが、合併後の市町ではなく被災した集落単位(あるいは旧町村単位)で見ると、これを大幅に上回る高齢化率のところも少なくないのではないかと思われます。

実際にボランティアとしてある被災地に入った人の情報によると、河川上流の山間部で木がいっぱい倒れ、それが中流域の川原にも散乱しており、下流部の橋脚に多数流れ着いた結果、流れがせき止められ、周囲に水があふれ、橋も崩壊という惨事になったようです。

過疎・高齢化→山林の荒廃→山の保水力の低下→河川流量の急増→(洪水)
            →大量の倒木→下流への大量流木漂着→(洪水)

かっての植林政策による針葉樹化(一般に、広葉樹林の方が保水力が強く、また倒れにくいとされています)、地球温暖化等による気象の変化など、災害にはさまざまな要因があるとは思いますが、山間部の地域事情は、(相対的に人口が大きい)河川の下流域にも無関係ではないと思います。