老計10号は例示です

訪問介護と散歩の関係については、この記事でも触れましたが、
自治体サイトでも、このテーマについて資料や見解などを掲載しているところがぼちぼち出だしたようです。

これまでタブー視してきた自治体が、何らかの条件の下にでも認める姿勢を示してきた、ということは評価してもよいように思いますが、ひとつ気になることがあります。

それは、平成12年老計第10号に記載されていないから「算定不可」とする論法です。


訪問介護を含めた居宅サービスの算定については、

平成12年厚生省告示第19号(居宅サービスの報酬告示)で規定され、
平成12年老企第36号(その留意事項通知)で詳述されているところです。

さらに、老企第36号では、

具体的な取扱いは「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(平成12年3月17日老計10号)を参照すること。

とも書かれています。

では、
「平成12年3月17日付け老計第10号厚生省老人保健福祉局老人福祉計画課長通知」の前文(本文)
を見ていきましょう。


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 訪問介護の介護報酬については、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス及び居宅療養管理指導に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月1日付厚生省老人保健福祉局企画課長通知)において、その具体的な取扱いをお示ししているところであるが、今般、別紙の通り、訪問介護におけるサービス行為ごとの区分及び個々のサービス行為の一連の流れ例示したので、訪問介護計画及び居宅サービス計画(ケアブラン)を作成する際の参考として活用されたい。
 なお、「サービス準備・記録」は、あくまでも身体介護又は生活援助サービスを提供する際の事前準備等として行う行為であり、サービスに要する費用の額の算定にあたっては、この行為だけをもってして「身体介護」又は「生活援助」の一つの単独行為として取り扱わないよう留意されたい。
 また、今回示した個々のサービス行為の一連の流れは、あくまで例示であり、実際に利用者にサービスを提供する際には、当然、利用者個々人の身体状況や生活実態等に即した取扱いが求められることを念のため申し添える。

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この「例示」の意味を理解していない自治体が、まだかなりあるようです。

介護保険最新情報Vol.104で、次のように書かれているのが、それを如実に表していると思います。


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 訪問介護におけるサービスの内容等については、介護保険法第8条等に規定されているほか、「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(平成12年老計第10号通知。以下「老計10号」という。)において示しているところですが、
そのサービス行為ごとの区分は、例示として示したものであり、

適切なケアマネジメントに基づくものであって、かつ保険者の個別具体的な判断により必要と認められるサービスについては、保険給付の対象となります。

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だから、老計第10号に書かれていないからといって「算定できない」ということは不適当です。

もちろん、この老計第10号は、きわめて重要な通知です。

ですから、
老計第10号に書かれていないので、必要性を適切なケアマネジメントで判断しましょう
というなら、理解できます。

「適切なケアマネジメント」の意味が理解できない人は、自治体職員でも、ケアマネでも、
へなさんの

「チームで考え抜いて出した結果」

という言葉を、毎食後に百回唱えることをお勧めいたします。



・・・それにしても、いいかげん「散歩の算定の可否」ではなくて、
その先の

「サービスの質を上げるためにはどうすればよいか」

ということについて考えてくれい!