「なるべく客観的に兵庫県知事選について考える」シリーズ?の続きです。
4 斉藤氏の(令和3年知事選の)公約
日本ファクトチェックセンター(https://www.factcheckcenter.jp/)より。
兵庫県斎藤知事の公約実現率が98.8%? 着手のみで未達成のものを含む【ファクトチェック】
https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/politics/article-inaccurate-hyogo-governor-saito-98-8-pledge-achievement-includes-unfinished/
兵庫県の斎藤元彦知事に関して「公約実現率が98.8%」という言説が拡散しましたが、不正確です。斎藤氏は「一定達成、着手したのは171項目で選挙時の公約の98.8%」と発言しており、実現率ではありません。
斎藤氏は、2024年7月30日の知事記者会見で知事在任中の課題を問われ、以下のように発言した(動画)。
「選挙時に掲げさせていただいた公約が、全体で173項目ございます。そのうち、一定達成、着手した状況は171項目、98.8%という形になります。多くの公約や掲げたことは達成なり、着手してきて、一つずつ公約は進捗、進んでいると考えています」
他方、着手できなかった公約として「女性副知事の登用」「学校における30人学級」の2つを挙げている。
より具体的な公約集は斎藤氏の公式サイト「さいとう元彦公式サイト」に掲載していたが、2024年9月25日現在サイトは公開しているものの公約集は閲覧できない。
日本ファクトチェックセンター(JFC)が、アーカイブサービスWayback Machineで検索したところ、2023年5月29日時点のアーカイブで公約集を確認できた。
公約集「詳細版」の内容は
この公約集には、概要版と詳細版がある。
斎藤知事は公約の数を173と説明し、メディアもそう伝えている(神戸新聞)。ただし、JFCが20頁ある詳細版を行頭の項目別に数えたところ、項目数は137だった。
この137項目の中には、知事報酬の削減のように、就任後すぐに実行した公約もある。一方で、斎藤氏が公約として達成したとしている「公用車の変更」は入っていない。また、達成できなかった公約と説明していた「女性副知事の登用」も入っていない(神戸新聞、神戸新聞)。
公約には「力強く」や「エネルギッシュ」などの表現があり、これらは何をもって「達成」と言えるかが不明確だ。この点、斎藤氏は2024年8月1日の記者会見で公約達成の数値公表の可能性を問われ「173分の171、98%ほどですが、どちらかというと、着手したといった定性的な(数値・数量ではあらわせないーJFC注)達成状況になる」と答えている(兵庫県)
判定
兵庫県の「斎藤知事の公約実現率が98.8%」は、不正確。斎藤氏は2024年7月30日の記者会見で、「一定達成、着手したのは171項目で選挙時の公約の98.8%」と発言しており、98.8%には着手したが未達成の公約も含まれている。また、自らも公約達成つまり実現に関して問われた際に「着手したといった定性的な達成状況」と答えている。
<引用ここまで>
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私も、アーカイブの詳細版(JFCからリンクあります)を確認しましたが、上記にあるように、公約の項目数は137でした。
兵庫県の記者会見のページも確認しましたが、やはり173項目との発言でした。
137と173を言い間違えたか、記憶違いかじゃないの?
ちなみに、2項目のみ未着手というのが正しいと仮定して、
135/137=0.98540146
171/173=0.988439306
ということで、どちらにしても98.8%(または四捨五入して98.9%)で嘘ではないということになります。
まあ、着手率と達成率の混同が意図的か、とかツッコミどころはありますが、
それでも「173項目は137項目の間違いでした」
と、当日でなくても早いうちに訂正しておいたら、別にどうということもなかっただろうに。
たとえば、大阪府の吉村知事なら、あっさり「すみません」と訂正していたのではないでしょうか。
吉村氏はけっこう失敗もしているし、当時大阪市長だった松井氏にもたしなめられていたことがあったようにも思いますが、間違いに気づいたら謝る、訂正するというところは、私は評価しています。
(訂正しないこともあったような気もするけど。)
斎藤氏は、間違いを突っ込まれないように注意して、身だしなみにも(職員アンケートによると部下に三面鏡などを用意させるとか)気をつけて、というタイプのようですが、災害とかコロナ禍とか非常時のリーダーは、たとえば寝癖がついてるとか、視察現場でヘルメットをかぶって髪が乱れてるとか、というぐらいの方が、むしろ有権者には格好良く映るのではないかと思いますが。
兵庫も関西文化圏だけに、スキのない知事より、ちょっとぐらいツッコミどころのある知事の方が親しまれるのではないかと思うので、残念な気はします。
さて、実はここまでは前置き。
その公約集(アーカイブ)の中には、
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「トライやる・ウィーク」など各種の体験教育は、引き続き兵庫の教育の特長として重視します。兵庫を誇りに思い、好きになるふるさと教育を充実します。
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などと書かれています。
他に、新型コロナ対策など、井戸県政でも(少なくとも大半は)行われていたし、仮に(前回選の対抗馬だった)金沢県政になったとしても行われていただろうことが多かったと思われます。
まあ、コロナ禍という特殊な状況で、国からの金や指示がいろいろある中では、似通ってくるのは当然かもしれません。
そういう観点では、「斎藤氏が知事でないと進められない改革」というのは、あるにしても、それほど多くはないかもしれません。
そういう斎藤氏ならではという「改革」が本当にあるのなら、それをもっと明確にしたウェブサイトや公約集にした方が、有権者の判断には役立つのではないでしょうか?
それと、少なくとも、「137項目」に訂正するか、「173項目」が正しいのならその内訳を明示すべきでしょう。
関心のある方は、日本ファクトチェックセンターが発掘してきた公約のアーカイブをご確認ください。
https://web.archive.org/web/20230529023203/https://saito-motohiko.jp/
(もう少し続く予定です)