衆議院が解散されましたが、今回はあえて兵庫県知事選について。
現時点で、この7名が立候補の意向と報道されています。
・稲村和美氏(51)前尼崎市長、元県議
・大沢芳清氏(61)尼崎医療生協病院院長、医師
・斎藤元彦氏(46)前兵庫県知事、元大阪府財政課長、元総務省職員(宮城県等、出向あり)
・清水貴之氏(50)参議院議員、元アナウンサー
・中川暢三氏(68)会社社長、元大阪市北区長、元加西市長
・中村稔氏(62)兵庫県立大学客員教授、元経済産業省職員(兵庫県産業労働部長を含む)
・福本繁幸氏(58)レコード会社経営、元病院勤務
(あいうえお順)
まだ各候補の公約や支援政党関係が確定していないこともあり、人物の好き嫌いとか党利党略とかを除外して、なるべく客観的な情報のみで考えてみます。
まず、斎藤氏を除外します。
パワハラとか「おねだり」とかが理由ではありません。
百条委員会で、告発文書のうちパワハラ、贈答品、公益通報対応などについて調査が行われましたが、公選法違反、政治資金パーティー、プロ野球優勝パレードにかかるキックバック等については、調査はこれからです。
パワハラ等についても、第三者機関での調査はこれからです。
これらの調査によって、重大な問題(逮捕や再度の不信任決議、あるいはリコールに値するような)が出てくるかどうかは未確定ですが、出てこないという保証はありません。
もし、斎藤氏が再選されてから重大な問題が明らかになったら、また知事選を行わなければならなくなる可能性が一定程度はあります。
今回の斎藤氏の失職による知事選は、任期が2割弱程度しか残っていない時点での選挙ですから、18億円かかるといえども「民主主義のために必要な経費」として受容されないことはないでしょう。
ですが、さらに数か月~1年程度の間にもう一度知事選というのは、やはり県民の理解が得られないと思います。
(※注)
残りの6名で、知事としての適任者を考えます。
結論からいえば、現時点の兵庫県に限り、という条件付きで、稲村氏を推します。
(他の時期なら、変わってくる可能性はあります。)
この知事選で選ばれた新知事が登庁するのは、11月18日(月)が最初となります。
来年度予算の編成等について、けっして早すぎない、というより、県の方針を受けて自分の自治体での作業をしなければならない市や町にとっては遅すぎるぐらいです。
2021年7月に斎藤氏が新知事として当選したときは、まだ時間的余裕がありました。
執務は8月からで、7月末まで急ぎの実務は井戸敏三氏が処理できました(今回は、職務代理者しかいません)。
対抗馬となるために副知事を辞職した金沢氏を除いた県の幹部職員は、一応「盤石」で、いわば「居ぬき」に近い形で引き継げました。
その中で、少しずつ斎藤カラーを出していく、ということも可能だったと思います。
ところが、今回は切羽詰まっています。
12月議会も目の前です。
斎藤氏の側近の多くが辞職や病休等で非戦力化し、幹部級がガタガタになっているでしょう。
若手や中堅も、PTSDで苦しんでいるかもしれません。
「幹部に丸投げ」で当座を乗り切る、というのが難しい以上、中核市の市長や県議としての経験のある稲村氏に頑張ってもらうしかないと考えます。
県内の市長や町長との人脈も、プラスに働く可能性があります。
中川氏は一般市の長の経験はありますが、2011年までであり、首長ではない大阪市北区長も2014年までのこと。
中村氏は産業労働部長としての兵庫県勤務経験はありますが、2009年頃までのはず。
また、経済産業省職員としての経験はあっても、他の分野の自治体業務に精通しているとは思えません。
それ以外の人たちを含め、今の県の危機を救うという前提では、稲村氏に及びません。
もちろん、実際の有権者の投票行動は、好き嫌いとか党派色とかいろいろ加わってくるでしょう。
なお、今回は公約や政党の支援などを勘案していない考察なので、機会があれば、それらを勘案した記事を書くかもしれません。
※注
百条委員会等での疑惑解明が残っている段階での不信任決議について
「斎藤氏の知事としての資質について、県民の信を問う」
という観点では、本来は今年9月時点での不信任決議は問題があります。
「信を問う」ためには、そのための材料が明らかになっている必要があるからです。
ただ、百条委で明らかになってきたこと、特に公益通報への対応の問題で、十分に「知事不適格」といえる、と県議会が判断したのなら、理解はできます。
特に、来年度予算に向けた重要な時期が近づいていましたから。
ただ、その場合、「県民に信を問う」というのではなく、「知事不適格と県議会が判断した」で通さなければ、筋は通りません。
維新のように、「辞職して信を問え」という申し入れは、百条委等での解明が中途半端な時期においては、理屈に合わない、と私は考えます。
(もちろん、制度上は失職した知事が選挙に出ることは可能なのですが、あくまで県議会側の姿勢の問題です。)