ノーベル平和賞に対する米露コメント

ロシア「ノーベル委は欧米支配」 被団協に決定の平和賞批判
共同通信 10/17(木) 3:11配信

【モスクワ共同】ロシア外務省のザハロワ情報局長は16日、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)に今年のノーベル平和賞授与が決まったことに関連し「この数十年、ノーベル賞委員会は欧米諸国に支配され、政治的な目的のために利用されてきた」と批判した。被団協への授与についての評価は避けた。

 ザハロワ氏は記者会見で、ロシアでは「ソ連時代に子どもたちが日本の首都東京を知らなくても、広島や長崎は知っていた」とし、歴史的に原爆の悲劇には多大な関心が寄せられてきたと語った。

 原爆投下の8月6日と9日に広島と長崎で開かれる式典にはこの数年間、多くの国が招待される中でロシア外交官は招待されていないと主張した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9bbae5a2f5a7ece409edd19c68a23ee46022de06

 


バイデン大統領、被団協のノーベル平和賞受賞に「不屈の精神を体現」…オバマ氏も祝辞
読売新聞オンライン 10/15(火) 10:40配信

【ワシントン=田島大志】米国のバイデン大統領は13日、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞の受賞決定を祝福し、「核兵器が二度と使用されないことを確かにするという歴史的な活動が評価された」とたたえる声明を発表した。

 声明では、被団協の受賞は「悲劇に直面した際の決意と不屈の精神を体現している」と指摘した。日本に対しても「核兵器の拡散と使用を防ぐために、国民と政府が揺るぎない決意を示してきたことが認められた」として祝意を示した。

 バイデン氏は核保有国のロシアや中国、核開発を続ける北朝鮮を挙げ、「核のリスクは受賞者たちの重要な活動を妨げる」とけん制。核軍縮・不拡散に向け「前提条件なしに協議を行う用意がある」と強調した。

 バイデン氏は、2009年にプラハで行った演説で「核兵器のない世界」に向けた決意を表明したことが評価されノーベル平和賞を受賞したオバマ元大統領の下で副大統領を務め、長年、核軍縮を持論としてきた。

 オバマ氏も14日にSNSで被団協に対する祝辞を発表し、「悲劇から力強いムーブメントを作り上げた」などと功績を評価した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/86bffe06b1c1936b4c111dc3392c3c0adb7984b6

 


参議院議員鈴木宗男氏の10月12日のブログ(一部)
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先ずアメリカに「使ってはいけないものを使ってしまった。広島、長崎に原爆を投下したのはアメリカの間違いであった」と世界に向けて謝罪させるべきである。
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ロシア側の「ノーベル賞委員会は欧米諸国に支配され、政治的な目的のために利用されてきた」という発言ですが、「政治的な目的」と批判されるのは、ノーベル平和賞については避けられないことかもしれません。
(自然科学系などの賞と異なり)

ただ、「欧米諸国に支配され」という批判は、あまり妥当ではないでしょう。
ノルウェーノーベル賞委員会の委員はノルウェー国会で指名されるので、同国の国際感覚が反映される要素はありますが、米国など他国に支配されているわけではありません。
たとえば、パレスチナ問題など、ノルウェーは米国とは異なる意思表示をすることが多々あります。
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2024/09/20/211343

そして、それは、しばしば(欧米外の、たとえばグローバルサウスなどを含めて)国連総会での多数派の方に属します。
ロシアのウクライナ侵攻を巡る決議などでも。

 

ちなみに、ノーベル平和賞にはロシア系の受賞者もいます。

ソビエト連邦時代>
1975年 アンドレイ・サハロフ
1990年 ミハイル・ゴルバチョフ

ロシア連邦時代>
2021年 ドミトリー・ムラトフ(同時受賞者あり)
2022年 メモリアル(人権団体)(同時受賞者あり)

反体制派、ときの政府の意向どおりには動かない人々が目につきますが、ゴルバチョフ氏は現役の大統領でした。
彼のような指導者が普通に出現するようになれば、「ノーベル賞委員会は欧米諸国に支配され」というようなコメントは出なくなる、かもしれません。

 

それはさておき、鈴木氏のブログでの発言について。

二度の原爆を投下したのは米軍ですが、被団協を含めた被爆者関係者が真に望んでいるのは、過去の行為の謝罪というより、核兵器の廃絶。
そして、その前提として、まずは核兵器の不使用ではないかと思います。

そのことについての一番の障害は、核兵器使用を示唆するロシアのような国の指導者たち。
曲がりなりにも、被団協の受賞について祝意を伝えようとするオバマ氏やバイデン氏の側ではない。
もちろん、核を除いた通常兵器でのバランスにおいて、米国側がロシア側を大きく上回っているという要素もありますが。