介護基準改正パブコメ結果1

「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(仮称)案(概要)」に対して寄せられた御意見について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=495230254&Mode=1

この記事から数記事に渡って記述したパブリックコメントの結果です。
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2023/12/07/212104

ちなみに、私が送った意見はこちら。
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2023/12/22/213139


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 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(仮称)案に関する意見募集の結果について

令和6年1月25日
厚生労働省老健局老人保健課

 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(仮称)案について、令和5年12月4日(月)から令和6年1月3日(水)まで御意見を募集したところ、計336件の御意見をいただきました。
 お寄せいただいた御意見の要旨とそれに対する考え方について、内容により分類し、以下のとおり取りまとめましたので、公表いたします。
 皆様の御協力に深く御礼申し上げるとともに、今後とも厚生労働行政の推進に御協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

1 高齢化が進み介護を必要とする人が今後増えていくことが見込まれる中で、介護に携わる人たちも、介護サービスを受ける人たちも皆、安心することができるような改正を求めます。

 高齢者の増加と生産年齢人口の減少が進む中で、介護サービスの質と量を確保しつつ、将来にわたって介護保険制度を維持していくことは、重要な課題と認識しており、本省令案も含め、引き続き、不断の見直しを行ってまいります。


1(1)[1]、2(1)[1] 入院時に医療機関が作成したリハビリテーション計画書の入手及び把握の義務化

2 入院時のリハビリテーション情報についての入手・把握に当たって、「リハビリテーション実施計画書」に限定する必要はないのではないか。また、リハビリテーション実施計画書は患者・家族向けの文書であり、専門職同士の情報連携に適切でないのではないか。

 いただいたご意見を踏まえ、一定の要件の下、「リハビリテーション実施計画書」以外の情報共有も認めることといたします。その上で、運用の詳細について検討を行って参ります。


3 リハビリテーション計画書の入手については誰が行うのか。ケアマネジャーの業務負担になるのではないか。

 リハビリテーション計画書の入手については、事業所の実情に応じて、可能な限り負担が少ない形で行っていただきたいと考えています。


4 リハビリテーション計画書の入手は入院中か、それとも入院前か。ケアマネから連絡がないと、入院したかどうか事業所が把握できないのではないか。

 医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書の入手については、退院後のサービス提供に当たって求めるものです。


5 リハビリテーション計画書の入手について、介護事業所に義務を課すなら、医療機関側に対しても対応が必要ではないか。また、医療機関と在宅側で負担増にならないような検討を行って欲しい。

 いただいたご意見を踏まえ、医療機関とのスムーズな連携について検討して参ります。


6 リハビリテーション実施計画書の入手の義務づけは、訪問看護ステーションからの理学療法士の派遣についても同様に義務づけられるのか。同様に取り扱うべきではないか。

 訪問看護におけるリハビリテーション実施計画書の扱いについては、ご意見として承ります。


1(2) 経過措置期間の延長

7 令和3年度改定において、令和6年度から業務継続計画の作成が義務化されることとなり、当事業所も、早い段階から計画的に策定を進め、整備を完了した。しかし、令和6年度が見えてきた段階で義務化見送りとはどういうことか。どのように質の向上を図るべきと考えているのか。

 居宅療養管理指導を除く全サービスについて、令和6年度より業務継続計画の策定が義務づけとなります。一方で、居宅療養管理指導については、事業所のほとんどがみなし指定であることや、体制整備に関する更なる周知の必要性があること等を踏まえ、経過措置期間を3年間延長することしております。なお、経過措置期間においても、居宅療養管理指導事業者は業務継続計画の策定に努める義務があります。
 居宅療養管理指導事業所を含む全ての介護サービス事業所において業務継続計画が早期に策定されるよう、計画の策定状況を毎年度調査し、周知及び必要な支援に取り組んでまいります。


3(1)、8(3)[1] ユニットケアの質の向上のための体制の確保

8 ユニットケア施設管理者研修の努力義務化について、ユニットリーダー研修の評価も実施していない状況で、現状の「原則要介護3以上」という状況に合わない考え方を推し進めるのか、利用者のことを全く考えていないやり方であり賛成できない。

 介護給付費分科会における議論を踏まえ、ユニットケアの質の向上・普及促進の観点から、ユニットケア研修のカリキュラムの見直しを検討することとしており、御意見も踏まえ、適切に対応してまいります。


9 ユニットケア施設管理者研修を受講するためには、費用・時間を要するため、資格取得を促すことは努力義務の範疇では困難。また、介護職員が自費で負担するにしても資格の有用性から考えて難しい。努力義務であっても事業者に加算などで支援する仕組みの構築が必要不可欠ではないか。
 また、ユニットケアの質の向上は必要だが、ユニットケア施設管理者研修受講の努力義務化が質の向上に資する施策とは思えない。

 ユニットケア施設管理者研修の努力義務化は、ユニットケアリーダー研修の受講を促進し、ユニットケアの質の向上を図るためには、施設管理者の理解も必要であるとの意見があることを踏まえ、見直しを行うものです。
 受講費用については、研修の実施要綱上「法人の負担を原則とし、都道府県等がその一部を負担しても差し支えない」としているところ、受講料を含め、ユニットケア研修の内容の見直しについて、実施主体である都道府県等や研修団体等の意見を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。


4(1)管理者の兼務、10(2) 管理者の兼務範囲の明確化

10 管理者の役割について現状を分析し、足元から見つめ直す議論も必要。「管理者がその責務を果たせる」及び「提供する介護サービスの質を担保できる」限度は、「同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する敷地内にある事業所・施設等」であり、今回の見直しによって、管理者の負担増や、管理者業務に支障が生じることにつながるのではないか。
 また、管理者の兼務可能な範囲を拡大する場合、自治体による解釈の違いを減らしつつ、管理者の負担が重くならないよう、同一敷地内等ではない事業所等と兼務する管理者は常勤が求められる職員との兼務は認められないなど、通知やQ&A等で別の条件を付加するべきではないか。

 今回の見直しは、管理者の責務を通知等で明確化した上で、管理者がその責務を果たせる場合には、同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する敷地内にある事業所・施設等に限らず、事業所間の兼務が可能である旨を明確化するものです。
 管理者の兼務範囲に係る具体的な考え方については、兼務が認められない場合の例として、現状でも、通知上「管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合」等を例示しているところ、今後、通知等でお示しすることを検討します。


11 人口減少の影響で職員確保に苦慮する施設が増加している現状で、管理者の兼務条件の緩和が必須だと思う。質の向上と共に業務の効率化を図る今回の改正案は妥当。

 本案に賛成の御意見として承ります。

 

(つづく)