介護保険最新情報Vol.881(5)

社会福祉施設等(通所・短期入所等のサービス)における感染防止に向けた対応について

 

1.感染防止に向けた取組
 感染防止に向けた取組を徹底する観点からは、日頃から以下のような感染防止に向
けた取組を行うことが重要である。

(1)施設等における取組

感染症対策の再徹底)
○ 社会福祉施設等における感染拡大防止に向けた取組方針の再検討や感染拡大防止に向けた取組の再徹底を行うこと。
○ 感染防止に向け、職員間での情報共有を密にし、感染防止に向けた取組を職員が連携し取組を進めること。
○ 感染者が発生した場合に積極的疫学調査への円滑な協力が可能となるよう、症状{出現2日前から}接触者リスト、利用者のケア記録(体温、症状等がわかるもの)、直近2週間の勤務表、施設内に出入りした者等の記録を準備しておくこと。
○ 入国拒否の対象地域から帰国後症状がある職員等がいる場合、施設長は、すみやかに市区町村に対して、人数、症状、対応状況等を報告するとともに、発熱等の症状により感染が疑われる職員等がいる場合は、保健所に報告して指示を求めること。また、最新情報を収集し、職員等に情報提供すること。
{○ 厚生労働省で開発を進め令和2年6月19日付でリリースされた「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA:COVID-19 Contact-Confirming Application)」について、本アプリは利用者が増えることで感染防止の効果が高くなることが期待されており、下記URLに掲載されている資料も参考にしつつ、本アプリの活用について、職員に周知を行うこと。業者等の施設内に出入りする者にも周知を行うことが望ましい。
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/cocoa_00138.html }

{(面会、外出)
○ 面会、外出に関しては、必要に応じ、入所施設・居住系サービスと同様の対応を行うこと。}

(施設への立ち入り)
○ 委託業者等については、物品の受け渡し等は玄関など施設の限られた場所で行うことが望ましく、施設内に立ち入る場合については、体温を計測してもらい、発熱が認められる場合には入館を断ること。
○ 業者等の施設内に出入りした者の氏名・来訪日時・連絡先については、感染者が発生した場合に積極的疫学調査への協力が可能となるよう記録しておくこと。

(2)職員の取組

(感染対策の再徹底)
○ 職員、利用者のみならず、面会者や委託業者等、職員などと接触する可能性があると考えられる者含めて、マスクの着用を含む咳エチケットや手洗い、アルコール消毒等により、感染経路を断つことが重要であり、「高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版」{、「介護現場における感染対策の手引き」}等を参照の上、対策を徹底すること。
○ 職員は、各自出勤前に体温を計測し、発熱等の症状が認められる場合には出勤を行わないことを徹底すること。なお、過去に発熱が認められた場合にあっては、解熱後24時間以上が経過し、咳などの呼吸器症状が改善傾向となるまでは同様の取扱いとする。なお、このような状況が解消した場合であっても、引き続き当該職員の健康状態に留意すること。
 該当する職員については、管理者等に報告し、確実な把握を行うよう努めること。
 ここでいう職員とは、利用者に直接介護サービスや障害福祉サービス等を提供する職員だけでなく、事務職や送迎を行う職員等、当該事業所のすべての職員やボランティア等含むものとする。
○ 発熱や呼吸器症状等により感染が疑われる職員等については、「「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」{の改訂}について」(令和2年{5月11日}厚生労働省子ども家庭局総務課少子総合対策室ほか連名事務連絡)を踏まえて適切に対応すること。
○ 職場はもとより、職場外でも感染拡大を防ぐための取組を進めることが重要であり、換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に集団で集まることを避けるようにすること。
○ 職員が感染源となることのないよう、症状がない場合であっても利用者と接する際にはマスクを着用すること。食堂や詰め所でマスクをはずして飲食をする場合、他の職員と一定の距離を保つこと。

(3)ケア等の実施に当たっての取組

(基本的な事項)
○ 感染拡大防止の観点から、「3つの密」(「換気が悪い密閉空間」、「多数が集まる密集場所」及び「間近で会話や発声をする密接場面」)を避ける必要があること等から、以下に留意し実施すること。
 ・可能な限り同じ時間帯、同じ場所での実施人数を減らす。
 ・定期的に換気を行う。
 ・互いに手を伸ばしたら手が届く範囲以上の距離を保つ等、利用者同士の距離について配慮する。
 ・声を出す機会を最小限にすることや、声を出す機会が多い場合は咳エチケットに準じてマスクを着用することを考慮する。
 ・清掃を徹底し、共有物(手すり等)については必要に応じて消毒を行う。
 ・職員、利用者ともに手洗い、アルコール消毒による手指消毒を徹底する。
(送迎時等の対応等)
○ 社会福祉施設等の送迎に当たっては、送迎車に乗る前に、本人・家族又は職員が本人の体温を計測し、発熱が認められる場合には、利用を断る取扱いとする。
○ 過去に発熱が認められた場合にあっては、解熱後24時間以上が経過し、呼吸器症状が改善傾向となるまでは同様の取扱いとする。なお、このような状況が解消した場合であっても、引き続き当該利用者の健康状態に留意すること。
○ 送迎時には、窓を開ける等換気に留意するとともに、送迎後に利用者の接触頻度が高い場所(手すり等)の消毒を行う。
○ 発熱により利用を断った利用者については、社会福祉施設等から当該利用者を担当する居宅介護支援事業所又は相談支援事業所等(以下「居宅介護支援事業所等」という。)に情報提供を行い、当該居宅介護支援事業所等は、必要に応じ、訪問介護等の提供を検討する。
○ 市区町村や社会福祉施設等においては、都道府県や衛生主管部局、地域の保健所と十分に連携の上、必要となる代替サービスの確保・調整等、利用者支援の観点で居宅介護支援事業所等や社会福祉施設等において必要な対応がとられるように努めるものとする。

リハビリテーション等の実施の際の留意点)
○ 社会福祉施設等においては、利用者の廃用症候群防止やADL維持等の観点から、一定のリハビリテーション又は機能訓練や活動を行うことは重要である一方、感染拡大防止の観点から、基本的事項における「3つの密」を避ける取組を踏まえ実施すること。

 

(つづく)