予防給付の回数の根拠(その1)~予防訪問介護

渋谷区の単独事業についての記事で、

「要支援1」→「一律週1回」というのは不適切。

と書いたので、そのあたりの根拠について整理してみます。

まず、報酬告示(平成18年厚生労働省告示第127号「指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準」)から予防訪問介護について見てみます。

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別表・指定介護予防サービス介護給付費単位数表

1 介護予防訪問介護費(1月につき)
 イ 介護予防訪問介護費(I) 1,234単位
 ロ 介護予防訪問介護費(II) 2,468単位
 ハ 介護予防訪問介護費(III) 4,010単位

注1 利用者に対して、指定介護予防訪問介護事業所(指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第35号。以下「指定介護予防サービス基準」という。)第5条第1項に規定する指定介護予防訪問介護事業所をいう。以下同じ。)の訪問介護員等が、指定介護予防訪問介護(指定介護予防サービス基準第4条に規定する指定介護予防訪問介護をいう。以下同じ。)を行った場合に、次に掲げる区分に応じ、それぞれ所定単位数を算定する。
 イ 介護予防訪問介護費(I) 介護予防サービス計画介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第8条の2第18項に規定する介護予防サービス計画をいう。介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第83条の9第1号ハ及びニに規定する計画を含む。以下同じ。)において1週に1回程度の指定介護予防訪問介護が必要とされた者
 ロ 介護予防訪問介護費(II) 介護予防サービス計画において1週に2回程度の指定介護予防訪問介護が必要とされた者
 ハ 介護予防訪問介護費(III) 介護予防サービス計画においてロに掲げる回数の程度を超える指定介護予防訪問介護が必要とされた者(その要支援状態区分が要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令(平成11年厚生省令第58号)第2条第1項第2号に掲げる区分である者に限る。)
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予防訪問介護では、報酬がI~IIIに区分されています。
IとIIは要支援度の制限はなく、介護予防サービス計画で「週1回程度必要」とされたか、「2回程度必要」とされたかで区分されます。

IIIはロ(週2回程度)を超えるサービスが必要とされた人(ただし「要支援2」に限る)となります。
ということは、
・要支援1なら、「週2回程度を超える回数が必要」と判断されてもIIIにはならない
・要支援2で「週2回程度を超える回数が必要」な場合、たとえば「週3回程度が上限」とは規定されていない
ともいえます。

次に、留意事項通知です。
(平成18年老計発第0317001号・老振発第0317001号・老老発第0317001号「指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」)

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第二 指定介護予防サービス単位数表に関する事項
2 介護予防訪問介護
(2)介護予防訪問介護費の支給区分
 介護予防訪問介護費については、月当たりの定額払いによることとする。注1に掲げる各支給区分(介護予防訪問介護費(I)、(II)又は(III)をいう。以下同じ。)の算定に関する取扱いは次に定めるところによる。
 ・あらかじめ、指定介護予防支援事業者による適切なアセスメントにより作成された介護予防サービス計画において、サービス担当者会議等によって得られた専門的見地からの意見等を勘案して、標準的に想定される1週当たりのサービス提供頻度に基づき、各区分を位置付けること。
 ・その際、1回当たりのサービス提供時間については、介護予防サービス計画において設定された目標等を勘案し、必要な程度の量を介護予防訪問介護事業者が作成する介護予防訪問介護計画に位置付けること。なお、サービス提供の時間や回数の程度については、利用者の状態の変化、目標の達成度等を踏まえ、必要に応じて変更されるべきものであって、当初の介護予防訪問介護計画における設定に必ずしも拘束されるべきものではなく、柔軟な対応を行うべきであること。
(以下略)
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ちなみに、平成18年4月改定関係Q&A Vol.2でも、同様の考え方が示されています。

Q:介護予防訪問介護の利用回数や1回当たりのサービス提供時間についての標準や指針については示されないのか。
A:介護予防訪問介護の利用回数や1回当たりのサービス提供時間については、介護予防サービス計画において設定された目標等を勘案し、必要な程度の量を介護予防訪問介護事業者が作成する介護予防訪問介護計画に位置付けられる。実際の利用回数やサービス提供時間については、利用者の状態の変化、目標の達成度等を踏まえ、必要に応じて変更されるべきものであり、当初の介護予防訪問介護計画などに必ずしも拘束されるものではない。
 また、過小サービスになっていないか等サービス内容の適切性については、介護予防支援事業者が点検することとされている。

予防訪問介護については、要支援1=週1回、要支援2=週2回という一律機械的な算定は、少なくとも国レベルでは示されていません。


予防通所サービスについては、次の記事で。